「ニコニコ」サイバー攻撃についてNewsPicksがYouTube動画公開身代金4.7億円支払ったとの情報が

2024.06.25 18:44

提供：ユーチュラ

6月23日、「NewsPicks」（登録者数126万人）がチャンネルを更新。ニコニコ動画へのサイバー攻撃の実情を解説しました。

ニコニコへのサイバー攻撃をNewsPicks記者が解説

6月8日未明より、KADOKAWAのグループ企業の複数のサーバーにアクセスできない障害が発生。原因はサイバー攻撃であるとされ、ドワンゴが運営する「ニコニコ動画」などのサービスが停止するなど多大な影響を及ぼしています。

KADOKAWAおよびドワンゴが14日に発表したプレスリリースによると、サイバー攻撃はデータを暗号化する「ランサムウェア」を含む大規模なものであったことが明かされています。

この動画は6月22日にNewsPicksが公開した有料記事「【極秘文書】ハッカーが要求する『身代金』の全容」の内容を解説したものです。

NewsPicksの大酒記者によると、このサイバー攻撃はKADOKAWAの社内システムをも機能不全にし、社員IDをかざして使うコピー機が使えなくなったり、給料の支払いができなくなったりして社内が大混乱に陥ったとのこと。

KADOKAWAは障害発生直後、データ保全のために関連するサーバーをシャットダウンする対応をとりましたが、その後何者かがサーバーを遠隔で起動させたことで被害はさらに拡大。最終的には関係者がデータセンター内まで立ち入って電源のケーブルを引き抜くことで対処したといいます。

「日本国民を人質にとってKADOKAWAを脅している」

サイバー攻撃に用いられた「ランサムウェア」とは、暗号化したデータの復元と引き換えに身代金を要求するマルウェアです。大酒記者は、「今まさに（KADOKAWAが）身代金を要求されているらしい、ということが浮かび上がってきたんですよね」と述べます。

NewsPicksはKADOKAWAの経営陣や関係者らに広範な取材をし、「KADOKAWAが既に身代金を払ってしまった」という情報を手に入れたといいます。

編集員の後藤氏は、6月17日、「Killmilk2023」を名乗る人物からドワンゴCOOの栗田穣崇氏宛に差し出された英語のメールを解説します。Killmilk2023は「ユーザー関連情報」や「社内文書（契約書・法的文書）」「社員の個人情報」などの機密情報を含むデータを「1.5テラバイトダウンロードした」と通達。

Killmilk2023が提示したリンクには流出したデータの一部がファイリングされており、なんとKADOKAWA夏野剛社長「運転免許証」の情報まで含まれていたのだとか。

大酒記者は「（Killmilk2023が）日本国民を人質にとってKADOKAWAを脅している状況」と説明しています。

5億円近くを支払った？　さらに約13億円の要求か

それ以前のやり取りを見ると、なんと栗田COOからは298万ドル（約4.7億円）のビットコインが既に支払われていたそうです。しかしハッカーはそれに満足せず、さらに10億円以上の金額を振り込むよう要求しているのだとか。

企業のコンプライアンスが問われる状況で取締役会を通さずに約4.7億円もの支払いをしたという栗田COO。この金額のふっかけに抗議する文面を返信したようです。KADOKAWA及びドワンゴの公式発表ではこうしたハッカーとのやりとりは公表されていません。大酒記者が「株主のお金をもうとりあえず5億円近く送っちゃってる」と述べると後藤氏は「そうそうそこがね。まずやばいと思うんですよ」とガバナンス不全を指摘しました。

ハッカーの追加要求は825万ドル（約13億円）にのぼり、支払期限は7月1日に迫っていると説明されています。

NewsPicksへの批判「犯罪者の脅迫に加担している」

6月22日、KADOKAWAの夏野社長は前述の記事「【極秘文書】ハッカーが要求する『身代金』の全容」にコメントを寄せ、

このような記事をこのタイミングで出すことは、犯罪者を利するような、かつ今後の社会全体へのサイバー攻撃を助長させかねない行為です。Newspicksに強く抗議をするとともに、損害賠償を含めた法的措置の検討を進めてまいります。
なお、本記事についてコメントすることはございません。

と述べました。

同日、KADOKAWA取締役の川上量生氏はXで、

記事の中身についてはコメントしませんが、犯人と称するグループからの一方的な情報をスクープと称して喜んで記事にするnewspicksのやり方は、犯罪者の脅迫に加担する行動であり、メディアとしての良識を疑います。非常に残念です。

と表明しています。

夏野社長のXアカウント乗っ取り被害

一報、取材を担当した後藤氏は記事のコメント欄で、「ハッカー側からの情報提供はまったくなく、今回の報道で彼らに依拠している点は一切ありません」と川上氏の主張に反論。「記事内の複数のKADOKAWA関係者が取材をうけてくださっているのは、彼らの内部で起きていることに強い危機感をお持ちだからだと理解しております」と続けました。

これについては、23日の動画の概要欄でも「ハッカーからのリークを一方的に報じていると事実無根のコメントがありますが、改めて明確に否定いたします」と記載されています。

24日、川上氏はXで夏野社長のXアカウントが乗っ取られたことを報告し、「これはNEWSPICKSの報道による犯罪者グループとの関係の変化によるもの」と述べました。

さらに、「脅迫中の事案について報道をするというのはこう言うことです」「今後起こる同様の事象について責任をとる覚悟でもって報道されたのでしょうか？」とNewsPicksを批判しました。

なお、夏野社長のアカウントは数分間乗っ取られただけで、上記のポスト時点では回復したとのことです。