南沢奈央(左)演じるオフィーリアにキスしようとしているシーンを再現するハムレット・菊池風磨(右)/(C)モデルプレス

Sexy Zone菊池風磨、キスシーンで演出家からツッコミ “大役”に中島健人が「興奮」<HAMLET ―ハムレット―/取材全文>

2019.09.08 21:21

Sexy Zoneの菊池風磨が8日、都内で行われた単独初主演を務める舞台『HAMLET ―ハムレット―』のフォトコール&囲み取材に、共演の南沢奈央、安蘭けい、大谷亮介、演出家の森新太郎氏らとともに出席した。


菊池風磨、単独初主演舞台「HAMLET ―ハムレット―」

戯曲が誕生してから400年あまり経った現在に至っても世界中で毎年のように上演されている、言わずと知れた普及の名作「HAMLET」。「クレシダ」「The Silver Tassie 銀杯」「プラトーノフ」など、卓越した演出力で高い評価を得ている森氏が演出を手掛け、菊池は2015年9月に上演された「DREAM BOYS」以来約4年ぶりとなる舞台出演で、Sexy Zoneメンバー初の待望の外部舞台に初出演となり、今回が単独初主演、初ストレートプレイに挑む。

(左から)森新太郎氏、南沢奈央、菊池風磨、安蘭けい、大谷亮介(C)モデルプレス
(左から)森新太郎氏、南沢奈央、菊池風磨、安蘭けい、大谷亮介(C)モデルプレス
初日公演を前に、報道陣向けの取材が行われたが、台風15号の影響で公演はやむを得ず中止に。振替日程やチケットの払い戻しなどに関する情報は、決まり次第公式サイトで発表されるという。以下、囲み取材全文。

菊池風磨、ハムレットのオファーは「青天の霹靂」

― いよいよ初日ですね。初めての外部舞台出演ですが、心境はいかがですか?

菊池:いやもう実感が湧かないですね。今日は台風が夜に来るということなので、(記者を見て)そんな中本当にありがとうございます。お客さんも心配なんですけど…安全を第一に考えて、今協議中なんですよね。一筋縄ではやらせてくれないのがハムレットだなと。ねぇ、森さん?そうですよね?

森:俺に振るなよ!(笑)

菊池:いっちばん笑ってる(笑)。

森:台風より激しいものが吹き荒れるでしょう、彼の心の中で。

菊池:ありがとうございます!

南沢奈央、章平/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
南沢奈央、章平/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
― 外部舞台初出演にして、ハムレットをやると最初にお聞きしたときはどう思いましたか?

菊池:完全に伝達ミスだと思ったんですよ。僕じゃないと。(中山)優馬と風磨と間違えてるんじゃないかと3回くらい確認したんですけど、何回確認しても風磨だった。

― (笑)。それから消化するのが大変だったのでは?

菊池:結構ずっと実感が湧かなかったですね。立ち稽古に入ったくらいからですかね…もう逃げられないんだな、と思ったのは。

安蘭:逃げようと思ってたの?(笑)なんで逃げようとしてたの。

全員:(笑)

菊池:いやいやいや、もうそれだけ重圧がありましたし、思ってもみなかったんですよね。(事務所の)先輩方や役者の先輩方が「ハムレットを一度やってみたい」とおっしゃっているのをよく聞いていたので、僕はもう少し経験を積み重ねていった時に、ハムレットをやりたくなるものなんだなと思っていました。だから「ハムレットをやりたい」と思えるようになったらレベルアップしたのかなという指標として見ていたので、まさかそれが…まだハムレットをやりたいとも思ってもない時から。青天の霹靂です。

― 森さんの演出はかなり厳しかったとお聞きしました。

菊池:厳しいですよ~!この後も稽古が残っているらしいです。本番前に。

森:さっきフォトコールをやったら、いろいろと見えて来ました。

菊池:(苦笑)

森:なので、この後舞台の前に空けて、と言ってあります。

森新太郎氏(C)モデルプレス
森新太郎氏(C)モデルプレス
― こんなにニコニコされながらも厳しいんですね。

菊池:やっぱりインスピレーションが豊かな方なので…

森:豊かな方(笑)。

菊池:なんか昨日言ってたことと180度違う時とかがあるんですよ。

森:悪口か、お前!(笑)

菊池:昨日言われた通りにやったことで、すっげぇ怒られたりとかすることもあったんですよ。

― ジャニーさんみたいですね。

菊池:そうですね、近いです、本当に。だから懐かしい感じがしました。Jr.の時に、理不尽なことで怒られていたのを思い出しました。

全員:(笑)

菊池:いや、(森氏が)理不尽って言ってるわけじゃないですよ!(笑)理不尽と言ってるわけじゃないですけど、ちょっと思い出すところはありましたね。でもそういう意味で言うと、その場その場で変えることにはどちらかと言うと慣れているので、楽しくできました。だから変えれば変えるほど良くなっていってる実感はありますし、変えた分だけ楽しめている感じはあったので、「辛いな」というだけじゃなくて「楽しいな」と思える時間も結構ありましたね。

「気持ち良いな」「これは決まった!」ってときがあるんですよね。でもそういうときに限って後ですっげぇ怒られたりするので、それが難しいところです(笑)。でも、実感として良かったと思ったところを「さっきのところは良かった」ってサラッと言われたりすると、ちょっと抱かれてもいいかなって。

全員:(笑)

菊池風磨の「印象が悪かった」森新太郎氏が明かす

菊池風磨(C)モデルプレス
菊池風磨(C)モデルプレス
― 森さんから見た菊池さんはどんな役者ですか?「抱かれてもいい」と言っていますが(笑)。

森:…あぁ、抱いてもいいですけど。

菊池:あははは!まさかの。

全員:(笑)

森:彼は初めてのストレートプレイで、いきなりハムレットで、大変だなぁとは想像していましたが本当に大変でした。僕のひと夏を返してほしいくらい、本当に大変でした(笑)。でも逆に言うと、もう上に行くしかないんで。さっきまでできなかったことができたりして、だからそれは楽しいですよ。もう本当に上に行くしかない。

― 最初に菊池さん主演で『HAMLET ―ハムレット―』をやると聞いた時、森さんはどう思いましたか?

森:いや、まず「誰?」と思った。

全員:(笑)

森:名前は聞いたことありましたけど、芝居をしてるなんて聞いたことがなかったから。それで初めて会った時もものすごく印象が悪かったんですよ。俺の舞台を観に来たんですけど、目が虚ろで、ボソボソと「お疲れ様です」って。それだけで、芝居の感想とか何も言わないんですよ。「こいつとは絶対にもう無理だ」と思った。

菊池:(爆笑)

森:でも後で「実は差し入れをもらってます」と(スタッフに)言われて、それがすごい美味しいんですよ!で、「あぁ、意外といいヤツなんだな」って(笑)。

― 今はもう「抱いてもいい」というくらい?(笑)

森:いや、そこまではいってないですけどね!?今日の初日で、俺が「抱かせてください」って言うかもしれない(笑)。

― 南沢さんは、菊池さんの相手役を演じられるということですがいかがですか?

南沢:本当に森さんがおっしゃっていたように、日々変わっていくハムレットが見ていて本当にドキドキしました。どんどんかっこよくなっていって、難しいセリフもちゃんと心から言っていて、様になっているというか。すごいなぁと思いました。

菊池:そんなに真っ直ぐ見られるとドキドキしちゃう。

南沢:本当に楽しくやっております。

南沢奈央(C)モデルプレス
南沢奈央(C)モデルプレス
― 南沢さん自身もすごく難しい役ですよね。

南沢:そうですね。でもオフィーリアという役はいつかやってみたいと思っていた役だったので、こういうタイミングで来て森さんの演出で出していただいて、稽古していくなかで試行錯誤してやっていたんですけど、それこそ昨日言っていたことが翌日に全然違うことを言われたりとか、「昨日言ったこと全部忘れて」と言われたりとか(笑)。

菊池:ね。ありますよね。

南沢:でもいろいろやっていくうちにどんどん見つけていけたかなという感じがあるので、まだまだ本番を通して成長していきたいなと思います。

― 安蘭さんは菊池さんと初共演ですよね。こんな息子はいかがですか?

安蘭:始まった時から母親心で「大丈夫かなぁ」と見てたんですけど…

菊池:そんなに!?(笑)

安蘭:初主演舞台でハムレットはかなりハードルも高いだろうしプレッシャーもあるだろうし、この人はこのプレッシャーに打ち勝てる精神があるのかなという心配があったんですけど、奈央ちゃんが言っていたようにどんどん良くなっていって、ここまで成長できたのは本当に森さんのおかげなんだなと。「森さんにちゃんと謝りなさいよ」って母親の心で言いたいですね。

安蘭けい(C)モデルプレス
安蘭けい(C)モデルプレス
菊池:承知いたしました!

全員:(笑)

― 大谷さんは菊池さんについてどんな印象ですか?

大谷:差し入れの梨がまた美味しい!びっくりするほど!

全員:(笑)

菊池:差し入れ奉行ですか!?(笑)

大谷:あんなに美味しい梨は…!それでものすごいグッと鷲掴みされて。生まれて初めて食ったくらい美味い梨だった。僕は敵対する役なので、全然任せて大丈夫だという感じが最初の頃からしていました。みんながおっしゃるように、幕が上がる直前になると本当に立派になって、僕が出ていないシーンでもすごく面白そうなので安心して、僕らがしっかりしないといけないなと思っています。

大谷亮介(C)モデルプレス
大谷亮介(C)モデルプレス

菊池風磨が大役 Sexy Zoneメンバーの反応は?

― Sexy Zoneとしても初めてのストレートプレイですよね。

菊池:さようです。

全員:「さようです」(笑)。

― メンバーは何か言っていましたか?

菊池:いやびっくりしてましたよ!まさか僕がハムレットをやるとは思ってもいなかったみたいで、3度聞きくらいされました。

― 誰がですか?

菊池:中島(健人)とか興奮してましたし、マリウス(葉)は生粋の宝塚さんのファンで大好きなので、僕よりも『安蘭さんと一緒なんだぁ!』って身震いしてました(笑)。(佐藤)勝利も、同じ時期に今ドラマや映画を撮っているので、そこで『お互い頑張ろうね』みたいなのはありました。

― 中島さんもソロコンサートでシェイクスピアをやっていたので、今回やりたかったのでは?

菊池:そうですね。どうなんですかね。でも観に来てくれるみたいなので、お互い刺激を与え合えたらなと思います。

― セリフもすごく多いと思うのですが、プライベートのオンオフの切り替えは大丈夫でしたか?

菊池:そんなにこれをやっていて気が沈むとかはなかったですけど、セリフの量がハンパじゃないので、稽古場にいないときはずっと台本とにらめっこでしたね。

― 台本の覚え方はありますか?

菊池:ずーっと友達やマネージャーさんに読み合わせを付き合ってもらったりしてました。

南沢奈央、章平/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
南沢奈央、章平/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
― 言葉の意味や言い回しなど、初めて目にするものもあったのでは?

菊池:最初全然わからなかったですね。古典というものに僕はあまりふれたことがなくて、先程お話にあったんですけど、森さんの演出の「プラトーノフ」を観に行かせていただいたときに、あらすじは把握していたんですけど全然わからなくて。お客さんが笑っているところとかでも何で笑ってるのか全然わからなくて、合わせて笑うみたいな。その時に「これダメだ。ハムレットできないかも…」と思って。屍のような状態で森さんのところに挨拶に行ったのが、それだったんですけど(笑)。

森:全然キラキラとしてなくて、ジャニーズか!?お前、って(笑)。

― 今はもうキラキラしていますよ!?

森:今はやっとしてきた。というか稽古序盤から全然キラキラしてた。

― 今はキラキラ度は何%ですか?

森:昨日のゲネプロなんてかなりキラキラでしたね。今日はやっとお客さんが入るので、ちょっと僕も想像できませんけど、キラキラですね。

菊池:キラキラしますよ!そりゃあ!キラキラしますよ!

全員:(笑)

― 後半では自身の狂気じみた演技力を出していくのも大変だったのではないですか?

菊池:大変でしたね。何が狂気かってよくわからなくなってくる瞬間もあって。ハムレットって、そもそも狂気のフリをして、ハムレット自体が狂気を演じているという設定なんですけど、ハムレットも途中から自分が狂気なのか、はたまた本当の自分なのかどっちかわからなくなってると思うんですよね、僕の解釈としては。

なので途中からどれが本当のハムレットなのかを追求すればするほど掴めなくなってきたりして。それが面白さのひとつでもあると思うんですけど、そこの苦労みたいなものは未だに感じています。それも日によって違ったりします。ここは果たしてどっちなんだろう、と。森さんもどっちなんだろうね、って。確実なところは森さんのご意見をお聞きして…だから本当に二人三脚で作っていくような感じです。

南沢奈央/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
南沢奈央/公開ゲネプロより(C)モデルプレス

左利きの菊池風磨、まさかの大苦戦

― キラキラ度の部分では、フェンシングのシーンもありますね。ファンの皆さんが「キャー」と喜ばれるのでは?

安蘭:う~ん。

菊池:いや、「う~ん」って何ですか(笑)。

大谷:いや~大変だったと思う。

菊池:大変でした。真夏の体育館で最初稽古したんですけど、汗がとまらなくて、舞台上でびちゃびちゃになるくらい2人で汗かいてやってましたね。フェンシングの基本も知らなかったので。

森:頭悪いから、ちゃんと最初に左利きですって言えば良かったのに、言わないで右利きでやってたの。それで全部覚えちゃったから、逆の手で全部やってるの。今はもう慣れたけど、利き腕じゃないほうでフェンシングやってるから。

― そうなんですね!大変でしたか?

菊池:大変でした。まさか僕の意向で左利きにしてもらえると思ってなかったですし、右でやってみようと。僕はあまりやらないですけど、ゴルフとかで左利きの人も右で打つみたいに言うじゃないですか。それと同じ要領かと思ったら、しこたま大変で!すっごい大変で!

森:ある日アクションの担当の人が「言えよ!左利きのあるぞ」って(笑)。でも右でマスターしちゃったから。

南沢奈央、章平/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
南沢奈央、章平/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
― より大変だったんですね。

菊池:だから左利きだからこっち、とか結構合わせてもらいました。これ一番納得いかないのが、今はもうないんですけど、オフィーリアとキスをしそうになる…っていうシーンがあって、僕は右手を添えてキスをしようと思ったんですけど、森さんに「お前左利きなんだから左手添えろ!」って怒られて(笑)。そこは良くないですか!?別に!

全員:(笑)

森:挙げ句にそのシーンなくなっちゃった(笑)。

菊池:だから結構右手左手では葛藤したハムレットでしたね。これどっちなんだ?右手なの?左手なの?っていう。そこも見どころですね。今は右手でやってるな、みたいな。両利きになっちゃった。

― 本当に大変ですね。

菊池:そうですね、いろいろ初めてなので。僕が何かを言うなんてことがおこがましい。全部受け入れるスタンスでやってたら、それはそれで怒られましたね!

― でもハムレットは純粋だから…

森:いやバカだからですよ!

菊池:(笑)違うでしょ!?

南沢奈央、章平/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
南沢奈央、章平/公開ゲネプロより(C)モデルプレス

菊池風磨「これを駆け抜けた時にどう感じるのかすごく楽しみ」

― 菊池さんはハムレットを演じることによって、これから目標が見えてくるのではないですか?

菊池:これを駆け抜けた時にどう感じるのかはすごく楽しみですね。それが少しでも自信になっていたらいいですし、課題が見えていたらそれはそれでいいと思いますし、何か絶対に感じると思うので。もちろん既にいろいろな課題も見えていますし。それが千穐楽を迎えて、終わった後にどういう感情になってどういう気持ちを抱いているのかな、というのを楽しみに演じています。

― ジャニーさんにも観に来てほしかったですね。

菊池:ジャニーさんは、これ(上演時間が)4時間あるので、絶対観に来なかったと思います(笑)。『長いよ!』って言われて、多分観てくれなかったと思うので、逆に今のほうが見てくれてるかもしれないですね。

― 最後に、意気込みとファンの皆さんへメッセージをお願いします。

菊池:僕もスタッフさんも森さんもキャストの皆さんも、本当に命を懸けて挑んでいる舞台なので、最後まで怪我なく走りきりたいと思います。一生懸命頑張ります。ありがとうございました。

― ありがとうございました。

南沢奈央/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
南沢奈央/公開ゲネプロより(C)モデルプレス
舞台『HAMLET ―ハムレット―』は東京・グローブ座で10月6日まで、大阪・森ノ宮ピロティホールで10月9日から15日まで上演される。(modelpress編集部)

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