伊野尾慧、八乙女光 (C)モデルプレス

Hey! Say! JUMP伊野尾慧&八乙女光、戦時の記憶伝える「取材関係なしに、お話聞きに行きたい」<「#あちこちのすずさん」インタビュー全文>

2019.08.03 19:53

Hey! Say! JUMP伊野尾慧&八乙女光が3日、10日放送のNHKスペシャル「#あちこちのすずさん~戦争中の暮らしの記憶~」(NHK総合/21:00~21:49)と連動した「#あちこちのすずさん」キャンペーンについてインタビューに応じた。


「#あちこちのすずさん」キャンペーン、八乙女光&伊野尾慧が協力

「#あちこちのすずさん」キャンペーンは、恋にオシャレ、食べ物...戦時中でも毎日を懸命に暮らしていた、映画『この世界の片隅に』(2016 年製作/監督 片渕須直/原作 こうの史代)の主人公・すずさんのような人たちを探して、「#あちこちのすずさん」の投稿でつなげていこうという企画。

番組の放送に合わせ、2人がMCを務めるラジオ番組「らじらー!」(ラジオ第1)など、さまざまな番組やメディアがデジタルでも連携することに。普段“戦争を難しく伝えていた”というNHKが、「とにかく若い人たちに伝えたい」という製作側の思いから、今回伊野尾・八乙女が抜てきされ、ラジオの番組内でもすでに取り組みを行ってきた。

八乙女光 (C)モデルプレス
八乙女光 (C)モデルプレス
また10日の放送に合わせ、2人は戦争時の体験を取材すべくロケを実施。制作統括は、「2人とも一日ずつのロケで結構長かった。八乙女さんは3、4時間炎天下で虫取りをやってくださった。伊野尾さんのおばあちゃんの手紙のロケも、4、5時間つきあってくれて、お2人とも飽きずに、番組という以上に、好奇心を持ってやってくださったのが伝わった」とロケを振り返った。

10日は「NHKスペシャル(以下:Nスペ)」のスタジオ内に「らじらー!サタデー(20:05~21:55)」のラジオブースを設置し、表裏同一放送という試みも行われる。

伊野尾慧&八乙女光、若者世代に戦時の記憶伝える思い

伊野尾慧 (C)モデルプレス
伊野尾慧 (C)モデルプレス
「若い世代の人たちに向けて、こういうことを伝えていくことの大切さをどう感じた?」と聞かれると、八乙女は「(戦時中のことを)知らないで世代がどんどん変わっていったら、同じ過ちを繰り返してしまうのではないかと個人的に思っています。それをつなぐことによって、いかに平和が大事なことなのかを知るべきだなって。何が本当の平和なのかということを、戦争を勉強することによって知ることができるので、それが大事なポイントかなと思いました」と真摯に回答。

伊野尾は「取材を通して、カメラを回していないところでのお話とかがすごく面白くて。それこそ取材したおばあちゃんが、今テレビでは大食いの番組とかが多いけれど、『本当に下品だ。ぜいたくしすぎだ』って。あ、そうか、今の価値観で面白いとか、当たり前だと思っていること自体が、その当時の人たちにとっては全然違うことだし、同じ日本で、何十年かしか違わない世代だけれど、それだけ価値観を変えてしまうという戦争というのは衝撃的なことなのだと思いました」と思いを語り、「取材関係なしに、機会があったらお話聞きに行きたい」と語っていた。(modelpress編集部)

八乙女光&伊野尾慧「#あちこちのすずさん」インタビュー取材会全文

ー 「#あちこちのすずさん」の取材を終えての感想を教えてください。

八乙女:「らじらー!」内で、実際にリスナーの方のひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんたちの実体験を聞くというのがあり、その中に戦争当時の食事を研究している方がいて、その方の内容が面白そうだったのがきっかけで、ロケに行きました。実際にお会いした方のおじいちゃんが、当時5歳くらいのときに、何を食べていたかという、戦時中の食べ物に関するロケでした。

ロケのスタートが、「はい、スタート!」というのではなく、緩やかにスタートしたのですが、なぜかというと、足元にあるものが全て食べられる、野草を食べていたという話から始まったんです。「これ食べれるんだよ」って、まずヨモギから始まって、その人は採った瞬間に何も躊躇なくヨモギを食べて、「おいしいから食べてみな」と言われてぼくも食べたのですが、正直噛めば噛むほど苦かったですね。

印象的だったのが、「これは戦争当時、好きで食べていたんですか?飢えをしのぐために食べていたんですか?」と質問したら、「味がするだけで、当時はおいしい」と言っていたんです。苦いだろうが、しょっぱいだろうが、とにかく味が無いものが多かったので、味がするということがすごく大切だったらしくて。

あとはイナゴを食べるとか。僕の田舎の方に住んでいたので、イナゴの佃煮とかは食べたことがあったのですが、当時はこういうものを食べていたんだ、と。貴重な醤油を少しだけつけて、炒めて実際に食べたりしました。おいしかったです。

野草も本当にいろんな種類を食べて、すごくおいしいものもありました。「なんでこれ、和食料理屋さんに出てこないんだろう?」って思うくらい、本当においしいものがあったり、あとは珍味みたいな味がするものがあったり。なんか、すっぱい不思議な味。梅干しがすこし入ってるのかな?というような味のものがあって、ステーキの上に乗せたら合いそうな、いろんな野草を食べました。

その中で、そのおじいさんから、戦争当時は空襲が来たら水路というか、どぶのようなところに身を隠してたんだよ、とか、この葉っぱをトイレットペーパーに使ったんだよ、とか、あとは娯楽の話とかを中心に聞きました。

伊野尾:本当に楽しかったです。戦争の話は、自分のおじいちゃんおばあちゃんから聞く機会はもちろんあったりしましたが、実際に戦争を経験した当事者の方からお話を聞ける機会というのは本当に貴重なものだと思うし、そういった方々もどんどんご高齢になってきて、そういった声を実際に聞きに取材に行けるというのは僕も初めてだったので、すごく刺激的でしたし、勉強になることもありましたし、本当に楽しかったです。

― 今回「らじらー!」と連動していますが、生放送ならではで「これをやりたい」「これを伝えたい」ということをはありますか?

八乙女:「らじらー!」でも同じようにしているのですが、基本正直なリアクションをしているんです。「Nスペ」でも、どういう風にトーク展開していくのかわからないので、素直に反応しようと思います。

「らじらー!」もそうですし、「Nスペ」もそうなのですが、僕らの世代や、僕らより下の世代の方に特に聞いて欲しいという思いが強いです。なぜかというと、やっぱりひいおじいちゃん、ひいおばあちゃん達の年代って、今そういう話を聞けるのがギリギリの世代だと思うんです。僕らも今回、ロケや「らじらー!」で触れてみて、「知るべきことだな、教科書に載らないことは大事だな」と思ったので、下の世代の方々に見てもらいたいですね。

伊野尾:今回「Nスペ」のセットの中に「らじらー!」の放送セットを作って、「Nスペ」の放送ぎりぎりまで「らじらー!」を放送するということなので、僕らのできることというか、生放送ならではというのは、「らじらー!」を聞いている、戦争を学校の勉強でしか知らない世代だったりとか、暗いイメージだと思ってしまっている部分も多いと思うけれど、そういう世代の人たちを、この「Nスペ」だったりで上手くつなげられるようにしたいです。いつもの「らじらー!」かな?と思って聞いている人たちも多いと思うので、「Nスペ」につなげる素敵な役割をできたらなと思います。

― 「らじらー!」では「#あちこちのすずさん」のキャンペーンにかなりの投稿数があったそうですが、印象的だったエピソードはありますか?

八乙女:なんだろう…でも全部知らなかったかも。いまだに、バーベキューをやっていた時に、ひいおじいちゃんだったかおじいちゃんだったか忘れてしまったのですが、急に森に行ってセミを捕まえてきて、翅をもぎとってみんながお肉や野菜を焼いている中でセミを置いて焼き始めて、食べて、「これはもう懐かしい味なんだ。セミは当時からしたら大切なタンパク源で」と言って、周りは唖然としていたという投稿があったのですが、それは結構衝撃的でしたね。やっぱり僕らからしたら、懐かしい味って駄菓子とかそういうものになるのですが、そういう感覚で食べるんだな、という風に思いましたね。

伊野尾:まず、「らじらー!」でこういう企画をやったからこそ、自分のおじいちゃんおばあちゃんとかにそういうお話を聞いたりとか、おじいちゃんおばあちゃんが亡くなっている方はご両親とかに「戦争の話してたことある?」と聞いてくれたりとか、番組を通して、戦争ってちょっと、話題にしずらい部分もあったりするかもしれないのですが、家庭でそれを聞いて、投稿してくれたというのはすごく嬉しかったな、と思います。

お便りの内容は本当に全て印象的だったのですが、特に印象的だったのは、当時二十歳くらいだった、診断書を書く役目の方のお話です。自分が書く診断結果で、戦争からケガをして帰ってきた人がまた戦争に行くのか、治療を受けるのかが決まるということで、その診断書を書くのが苦痛だったというお便りがあり、僕らと同世代、若い世代で、文字だけでもこれだけ壮絶なことを経験してるんだと伝わってきました。そういったお話がたくさんあると思うと、また全く違った価値観の中で戦っていたというか、衝撃的な内容だなという風に思いました。

― 若い世代の人たちに向けこういうことを伝えていくことの大切さをどう感じましたか?今後も聞いていきたいことなどはありましたか?

八乙女:やっぱり、知らないで世代がどんどん変わっていったら、同じ過ちを繰り返してしまうのではないかと個人的に思っています。それをつなぐことによっていかに平和というのが大事かということを知るべきことだなって。何が本当に平和なのかということを、戦争を勉強することによって知ることができるので、それが大事なポイントかなと思いました。

伊野尾:確かに取材をしているときは、取材で一番聞かなければならない部分がロケの中ではフィーチャーされる部分ではあるのですが、カメラを回していないところでのお話とかがすごく面白くて。

それこそ取材したおばあちゃんが、テレビを見ながら思う感情とか。今、大食いの番組とかが多いけれど、「そういう番組が本当に下品だ。ぜいたくしすぎだ」って。あ、そうか、今の価値観で面白いとか、当たり前だと思っていること自体が、その当時の人たちにとっては全然違うことだし、それは同じ日本で、何十年かしか違わない世代だけれど、それだけ価値観を変えてしまうという戦争というのは衝撃的なことだと思いました。

僕たちも、僕たちの中で当たり前だと思っていることが違うんだということも感じたし、取材で本質的に聞かなければいけなかったこと以外の部分もすごくおもしろかったので、取材関係なしに、機会があったらお話聞きに行きたいなと思いました。

― 逆に、世代が離れているから聞きやすかった、楽しかったというのはありますか?

伊野尾:でも、聞きづらい話だというのは大前提としてあると思います。すごく大勢の人が亡くなったし、近くの人も亡くなっていると思うし、すごく大変な時代だったというのはあると思う。でも、話を聞きに行く方々にとってはそれが当時当たり前だったというのがあるし、それに対してマイナスのイメージをして取材をするよりは、フラットに、その当時のリアルな感情を聞きたいというのがあったので、興味関心のもと、いろいろ聞かせて頂いてすごくありがたかったです。

― ありがとうございました。

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