モデルプレスのインタビューに応じた中島健人(C)モデルプレス

Sexy Zone中島健人、役者人生の正念場で感じる“過去と今”「1つの道に繋がっていく」<「おまえの罪を自白しろ」インタビュー>

2023.10.01 18:00

Sexy Zoneの中島健人(なかじま・けんと/29)が映画『おまえの罪を自白しろ』(10月20日公開)で主演を務める。これまで“完璧アイドル”“キラキラ王子様”のイメージがそのまま投影された役柄が多かった中島が、社会派の映画で等身大の自分を表す。

「映画『ラーゲリより愛を込めて』に出演した時がエピソードゼロだとしたら、今回の『おまえの罪を自白しろ』は最初の扉です」──役者人生の正念場で感じた過去、そして今の“中島健人”とは。

中島健人、役作りのために国会議事堂に

中島健人、堤真一/メインビジュアル(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
中島健人、堤真一/メインビジュアル(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
今作は、誘拐事件をきっかけに動き出す、スリリングで壮大なスケールで描かれる前代未聞のタイムリミットサスペンス。中島は、数々の疑惑を持つ大物政治家の父・清治郎(堤 真一)の秘書を務める、政治家一家・宇田家の次男である晄司役を演じる。「20代後半になって、出演する作品の題材の傾向が徐々に変わってきました。人間を描きながら社会の風刺もしている、しっかりとした骨太な作品に出演できるようになれたんだなと、嬉しい気持ちが溢れます。オファーが来た時には、早く挑戦したいという気持ちでした。社会派の映画は、じりじりと時が流れていく感覚なのですが、じりじりと時が流れていく中でも、すごく爽快なテンポでストーリーが進んでいってスカッとする感覚だったので、時の流れを感じなかったです。見ていてすごく刺激的で、快活な時の流れだったなと思います」

堤真一、中島健人(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
堤真一、中島健人(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
今作で初めて議員秘書の役を演じるにあたり、実際にスーツを着て国会議事堂に自ら取材に出向いたという。「プロデューサーと一緒に議員秘書の方に1日の流れなどを取材しました。議員秘書の役を演じるにあたって国会議事堂の中もちゃんと把握しないといけないと思い、議員会館も見に行きましたし、あとは会館の食堂でカツカレーを食べました。めちゃくちゃ美味しかったです!実際に仕事ぶりを見て、スケジュールとか全部タブレット管理だったのは驚いたし、近代的な側面を感じました。議員さんのお部屋にも行かせていただいたのですが、置かれている書類の量がものすごいなどで、忙しさが如実にわかるんです。汗水流して議員さんを支えているという雰囲気がすごく出ていたので、自分もまずはマネージャーさんをよく観察して役に投影しました」。

中島健人「心が揺さぶられる」刺激的シーンに自信

堤真一、中島健人(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
堤真一、中島健人(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
怒りに震え声を荒げる晄司を演じる中島の“新境地”にも注目が集まっているが、怒りを表現するシーンは中島自身も自信を持ってアピールできるほど刺激的なシーンになったという。

「最初水田監督と打ち合わせをした時に、『僕がこの脚本を読んだ時の最初の晄司への印象は、周りに出てくる登場人物の皆さんの色があまりにも濃すぎて晄司が見えない』という話をしました。そこから色付けをしていったので、今はちゃんと晄司として良い表現ができたなと自信があります。晄司は登場人物の中でも、感情の緩急を見せるので、権力を持つ議員に対して戦わざるを得ない状況になった時に、人はこんな見たことのない表現をするんだというところを、晄司を通して表現しました。その表現模様みたいなものは、自分自身も演じていて楽しかったですし、スクリーンを見ていたら結構ビビると思います。

水田監督は、基本1テイク、2テイクくらいでオッケーなんですけど、その表現をするシーンは6テイクくらいやりたかったなと思うくらいスカッとするシーンで、『このシーン良いな』と思っていたら予告にも使われていました。精神を思いっきりぶん殴られたくらいの刺激的なシーンなので、見ていて何かしらの感情がそそられる、心が揺さぶられるんじゃないかなと思います。

議員と議員秘書の関係でもあるけど、親子でもある。本来ならビジネスとして割り切れることも、そこに個人的な感情が入り交じってしまう晄司の表情に注目していただくと、この映画の見方が変わるのかなと思います。この映画の唯一無二の強い作品性の1つですね」。

表情の演技だけではなく、衣装にも晄司を演じる上での仕掛けがあった。

「議員秘書と議員の衣装の違いを、ネクタイやスーツの光沢感で出すようにしていました。最初の衣装合わせの時、かっこいいスーツもたくさんあった中で僕が選ばせていただいたのは、目立たないものだったんです。主役は議員さんなので、議員秘書として黒子に徹するという意味も込めて、目立たないスタンダードなスーツチョイスをしました。ネクタイも、気持ち的にも光沢があまりない方がいいかなと思い、輝きを消す気持ちでマットなものを選ぶように意識していました。目立たないネクタイで自分の身を引き締めて、派手ではないスーツを装うことで、自分自身の中で晄司に対してのアイデンティティを形成していくという意識で衣装を選びましたね。衣装はメイクと同じくらい役のパーソナリティを作るので、映画を見て『実は衣装にそんなからくりがあったんだ、そういう心情をこの衣装で出していたんだ』と衣装からも情緒の仕掛けを見てもらいたいです」。

中島健人、山崎育三郎(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
中島健人、山崎育三郎(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

中島健人「いろんな自分に出会える歩み方を今後もしていきたい」

以前のインタビューで「夢を叶える秘訣」を聞くと、「10年先まで自分の理想を明確化すること」と答えていた中島。「僕のパブリックイメージみたいなものがどうしても芝居にもついてきてしまうという状況だった」と話していた時期から、日本のみならず世界での活躍などを経る中で、見事にパブリックイメージを払拭するような作品に携わることが増えている。

堤真一、中島健人、佐藤恋和、池田エライザ(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
堤真一、中島健人、佐藤恋和、池田エライザ(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
「ちゃんと等身大の自分をしっかりと表すような役に出会えているなと思っています。うちの会社の人間として、出るべき作品のフェーズの流れに沿って、映画やドラマに出演できているなと。たまたまこの映画の公開のタイミングで法律を扱うドラマにも出て、社会派の骨太な作品に出ている期間が重なっているのですが、それは俳優という面を通して考えた時に、すごく自分の理想の流れにいるんじゃないかなと思うし、そこでこんなに面白い作品に出会えたのもラッキーだなと思います。

もちろん人間なので『この役は自分に合わなかった』『この役は自分にハマっていたな』と思う役はそれぞれあると思います。でも『この役は自分に合わなかったな』と思っていたものが意外と好評で、みなさんにお声がけいただくことが多い時もあるし、自分から見た役と客観視された役の見られ方はまた全然違うんだなと思うので、自分の理想は50%で持つことが大切だなと思いました。生きていく中でもそうですが、表現していく中で自分の理想を50%、客観視される時の相手の理想を50%が1番ちょうどいい自分のバランスなのかもしれないです。

理想の自分が100%の思考だと独りよがりな表現になってしまうので、いろんな理想を吸収していく時間を今は過ごしていきたいなと。それにはいろんな経験が必要だと思うし、作品に対しても、音楽に対しても、できるだけ自分の気持ちにすぐ反応する歩み方を今はしていきたいです。

その意味ではこの作品は、自分が今こういう作品に出るべきだ、日本映画にもっと挑戦したいという自分自身の扉を最初に開けてくれる映画なんじゃないかな。社会派の、大人の作品に出る自分自身の時間の中で、映画『ラーゲリより愛を込めて』に出演した時がエピソードゼロだとしたら、今回の『おまえの罪を自白しろ』は最初の扉です。

本当にいろんな経験をさせていただいていて、いろんな人を見て、環境にいて、やはりそこには繋がりや情がすごく大切なことなんだなと感じます。その出会いや情が自分自身の喜怒哀楽を表現する1つの道に繋がっていくこともすごく実感しているし、悪いことも良いこともやはり交互に繰り返していくのが人生だとすごく思うので、自分の感情の起伏や波みたいなものは、色鮮やかになっていけたら良いなと思うんです。それは淡白なものではなくて、いろんな自分に出会える歩み方を今後もしていきたいなと思います」。

中島健人、過去の経験が自信に

中島健人(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
中島健人(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
自身のことをよく分析し、明確に言語化している中島だが、これまで培ってきた経験から「自分が数年前に歩んでいた経験は間違っていなかった」と確かな自信を得ていた。

「芸能界に入った頃、本当に友達がいなかったんです。リハーサル室とかでも、みんなでお菓子を食べて集まってわいわい騒いでいる集団の中にいなくて、一緒に何かを共有するよりも自分自身が今やるべきことやった方がいいという考えの人間だったから、運だけではなくて死ぬほど努力をしないといけないと思って、その頃は『遊びに行こう、海に行こう』と遊びに誘われても断っていたんです。正直めっちゃ行きたかったです。 遊びたかったし、海にも行きたかったです(笑)。海に行った後にすげぇ肌を焼いてきた同期の子達を見て羨ましかったですけど、でもあいつらが肌を焼いている時間に俺はちょっとでも踊っていたいなというプライドがありました。

いろんな出会いの中で先人たちの話を聞くと、自分が数年前に歩んでいた経験は間違っていなかったと、今になってあの時頑張って良かったなと思います。この映画に出演したことも、数年後にこの映画の扉を開けて良かったなと思えるようにしたいし、きっとそうなってくんだろうなと確信できるくらい、この映画で精神を委ねていける方々に出会えたし、チームとして良いご縁ができたなと思います」。

中島健人(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
中島健人(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
「今の自分もそうですが、同世代、特に芸能の仕事をしている人間はどこか危なげがあるとうか、安全な橋を渡っているというよりかどこか抜けそうなんじゃないかという橋を渡っている感覚なんです。晄司もきっと同じだと思うのですが、でもその橋を渡りたくなるし、落ちるわけにはいかないので、駆け引きですね」と自身と役に共通する部分を挙げ、真剣な表情で話す。そんな中島自身は駆け引き上手か聞くと、「どうでしょうね。この間友達とオセロをやったのですが、3連敗しました(笑)。でもトータルで4回やって、自分は4分の3先攻を取っていたので、4回目に後攻で取ったら圧倒的な勝ちを得たんです!結局勝ち負けはどうでも良くて、どういうプロセスで勝利が得られるんだろうというところをこの4回で学んだので、そこからまず駆け引きは始まるんだなと思いました」と無邪気な笑顔を見せていた。

中島健人「おまえの罪を自白しろ」…編集後記

中島さんがかねてよりラジオ番組などでも話題に出してくださっていた「モデルプレス」のオリジナル企画「今月のカバーモデル」。2023年10月のカバーモデルを中島さんに飾っていただくことを伝えると「ついに来た…!バシッと決めよう!」とその言葉の通り、完成度の高い1枚を作り出してくれました。

コミュニケーション力や撮影ひとつにしてもすべてにおいて全身全霊でぶつかって来てくれる姿勢にはいつも驚かされます。中島さん“対”記者というよりは、タレントでありつつも、一緒に記事を作り上げる“同志”のような感覚にもなるのです。当たり前のようにも思えることを普通に、それを通常として行うことは実は難しいことでもあるかもしれませんが、そのことを思い出す暇もないくらいに自然とやってのけるのが中島さんの強みだと、短い取材時間の中でも感じました。

ひとつひとつの積み重ねや信念を大切にして歩み続けているからこそ、中島さんの周りには自然と素敵な花束が降り注ぐのでしょう。これからも花道だけを歩けますように。(modelpress編集部)

中島健人主演「おまえの罪を自白しろ」

「おまえの罪を自白しろ」ティザービジュアル(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
「おまえの罪を自白しろ」ティザービジュアル(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
江戸川乱歩賞をはじめ、数々の賞を受賞する社会派ミステリーのヒットメーカー真保裕一の同名小説を、映画『舞妓 Haaaan!!!』(07)をはじめ、ドラマ「Mother」(10/NTV)、「Woman」(13/NTV)など数々のヒット作を生み出してきた水田伸生監督が映画化。

ある日、政治家一族の宇田家の孫娘が誘拐される。さらに犯人からの要求は、身代金ではなく、「明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ」という脅迫。それは決して明かすことが許されない、国家を揺るがす“罪”だった。

「おまえの罪を自白しろ」ポスター(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
「おまえの罪を自白しろ」ポスター(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
「おまえの罪を自白しろ」ティザービジュアル(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
「おまえの罪を自白しろ」ティザービジュアル(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会

中島健人(なかじま・けんと)プロフィール

1994年3月13日生まれ、東京都出身。2011年にSexy Zoneとして1stシングル「Sexy Zone」でCDデビュー。代表作にドラマ「生まれる。」(TBS系/2011)「BAD BOYS J」(日本テレビ系/2013)「黒服物語」(テレビ朝日系/2014)「未満警察 ミッドナイトランナー」(日本テレビ系/2020)「彼女はキレイだった」(2021/カンテレ・フジテレビ系)、映画「銀の匙 Silver Spoon」(2014)「黒崎くんの言いなりになんてならない」(2016)「心が叫びたがってるんだ。」(2017)「桜のような僕の恋人」「ラーゲリより愛を込めて」(2022)など。
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