町田啓太「自分では想像していなかった」水谷豊の演出に驚き “完璧”イメージへの本音も聞いてみた<「太陽とボレロ」インタビュー>
2022.06.03 08:00
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モデルプレスのオリジナル企画「今月のカバーモデル」で2022年6月のカバーモデルをつとめた町田啓太(まちだ・けいた/31)が出演する映画「太陽とボレロ」が、3日に公開。
「色々なアイデアを沢山いただいてそれをどう自分で咀嚼して表現できるかというのは挑戦ではありましたが、毎回その演出を受けられるのが楽しみでしたし、何より水谷さんに会いに行くのを楽しみにしていました」
今作は俳優としても活動する水谷豊の監督作品第3弾。水谷監督の演出を振り返り、懐かしそうに笑顔でそう語る町田。撮影中一番刺激を受けたことや吹き替えなしで挑んだトランペットの練習の苦労、そして俳優として現場での在り方など、話を聞いた。
水谷豊監督作品第3弾 映画「太陽とボレロ」
「太陽とボレロ」は、存続危機にある地方都市のアマチュア交響楽団を舞台に、バラバラになった個性豊かな演奏者を1つにまとめようと奮闘する主人公・花村理子(檀れい)を中心に描いたユニークな人生讃歌。理子の大学時代の恩師・藤堂役として水谷監督自身も出演している。楽団キャスト陣は吹き替えなしで、プロのオーケストラと「ボレロ」を演奏。さらに、世界を舞台に活躍する指揮者・西本智実氏率いる、イルミナートフィルハーモニーオーケストラの美しい旋律が、映画をいっそう輝かせる。
町田は入団5年目で音楽と仕事の両立に悩むトランペット担当の田ノ浦圭介役を演じている。
町田啓太、水谷豊の演出で受けた刺激「自分では想像していなかった」
― 本作は水谷さんの演出・脚本作品ですが、まずオファーを受けたときの心境を改めてお聞かせ下さい。町田:光栄でした。いつかご一緒できたらなと思っていたのですごく嬉しかったですね。お会いするのが本当に楽しみでした。作品も本当に温かみのある作品です。トランペットは、過去に少しだけ触ったことがあったのでご縁も感じました。
― 「水谷さんの演出に出会って改めて演じることを深く追求した」ともおっしゃっていましたが、水谷組の現場はいかがでしたか?
町田:水谷さんをはじめ、本当に作品を作るのを楽しんでいる現場だなと思いました。笑いも絶えなくて、水谷さんが楽しそうにされているお陰で僕もすごく楽しくなりました。色々なアイデアを沢山いただいてそれをどう自分で咀嚼して表現できるかというのは挑戦ではありましたが、毎回その演出を受けられるのが楽しみでしたし、何より水谷さんに会いに行くのを楽しみにしていました。この現場は皆そうだったと思います。
― 演出は監督が現場で実演して下さるそうですが、印象的な演出や現場でかけられた言葉はありますか?
町田:それはもう、本当に全シーンでした(笑)。細かいところまでイメージを伝えて実践して下さって、それが抜群に面白いので、毎回「どうしようかな」と思いながらやっていました。
檀さん演じる理子の後ろでそろりと聞き耳を立てに行くシーンがあるんですが、歩き方も水谷さんが「こういう感じで」とその場でやって下さって、ああいう動きも自分では想像していなかったですし、確かにその動きがあることによって役に愛嬌が足されて膨らみが生まれて「やっぱりすごいなあ」と毎回毎回思っていました。
演じる前にもそうやってアイデアを下さいますし、実際に演じてみてから途中で「こういうセリフもちょっと言ってみて」「やってみたらそういう言葉を言いたそうにしていたから」と言って下さるときもあって、本当にすっごくよくキャスト陣を見て下さっているんだなと実感しました。
― 今後もしまた水谷さんとご一緒されるとしたら、どんな作品に挑戦されたいですか?
町田:それはもうどんな作品でも嬉しいんですけど、より多く、同じシーンで共演できる役が良いです。今回は本当にちょっとだけで2人のシーンもなかったので、願望としてはそういうシーンがある作品だったら良いなと思います。
町田啓太、トランペット奏者・圭介役で共感した部分
― 今回演じる圭介は、割と人間味が感じられる部分が大きいと思うんですが、雰囲気作りで意識している点はありますか?町田:最初はフラストレーションが溜まっているがゆえに擦れているのかなと思っていたんですが、いざ現場に入ってお芝居をしていると、水谷監督が演出で僕が思っている以上に圭介という人物のダメな部分をチャーミングになるように広げて下さったんです。それでもっとどんどんやって良いんだなと思い、さらに楽しくなりました。観た人にとってそれが面白みになっているということが分かって、今回すごく良い経験をさせてもらえたと思います。
― 圭介に共感する部分はありましたか?
町田:あります。やっぱり自分が何かすれば変わるかもしれないのに、環境や周りのせいにしてしまうということは少なからず経験があるので。そういう気持ちを演技に投影できれば良いなと思いましたし、その中で生まれてくる人間的にダメな部分がコミカルに映れば結果的には良いかなと思っていたので、そういうところは分かるなと思いました。あとは好きなことに一生懸命であればあるほど、現実とのギャップといいますか、溜め込むということは僕もあるので、どこで発散するのかが分からないところや、圭介の中に主に溜まっているフラストレーションはなぜなのか、音楽が好きだからゆえにそういう行動を取ってしまうのかな?と自分に当てはめて想像できる部分が沢山ありましたね。
― 逆に違う部分は?
町田:そんなにトランペットは吹けないです(笑)。あとは、仕事以外で音楽がずっと好きで長年続けているというのは素晴らしいことだなと思います。
町田啓太、ベテランキャストとの共演で学んだこと
― 今回水谷さんを始め、共演者の方もベテランの方が多く、今回の作品を通して町田さんが俳優として学んだことをお聞かせ下さい。町田:上からではなくて、個人的感想ですが、水谷さんから演出を受けられている姿勢も本当に実直で紳士的で素直でやっぱり素晴らしいなと思ったので、自分も柔軟にありたいなと思いました。
一番印象に残っているのは、もちろん先生役でも出演されている水谷さんです(笑)。皆さん本当に共演できてありがたかったですし、交響楽団として楽団でワイワイと生活を送っているような感じがしたので現場はすごく和やかでしたね。お芝居になった瞬間に皆世界観をグッと構築していらっしゃいましたけど、作品自体もそういうテイストですし、普段は皆さん本当に朗らかで楽しんでやられていました。
― 現場でよくお話されていたのはどなたですか?
町田:田口(浩正)さんは多分気を使って下さっていると思うんですけど、冗談を言ってくれたり会話を広げて下さったり、すごく楽しかったです。田口さんが敬語で話しかけて僕がタメ口で喋るというネタをやっていて、周りから見たら一瞬ピリッとすると思うんですけど(笑)、そういうネタとしてやって場を和ませてくれたり。
(田中)要次さんも、以前映画で共演させてもらったときに息子役だったので、「お久しぶりです」というところからお話して。皆さん本当に優しかったので自然体でずっとフラットにいさせてもらえたなと思います。
やっぱり水谷さんが率先してそういう姿勢でやって下さっていたので、皆さんもそういう空気感の中、ちょっと冗談も交えながら、でも演奏シーンなどのパリッとするべきところはパリッとして、メリハリがきいた現場で心地よかったです。
町田啓太、1年以上トランペットを練習 小学生のときに縁も
― トランペットには以前も触れたことがあるということですが、今回どのくらいの期間練習されましたか?町田:撮影期間がコロナの影響で延びたので、皆さん大体1年以上しています。それぞれパートごとや個別に練習していましたね。僕の場合はゆっくりちょっとずつ積み重ねていきました。
その前は小学校の高学年くらいのときに2年間くらいやったことがありました。音楽の授業で鼓笛隊を絶対やらなきゃいけなくて「楽器は何でもいいよ」となったので、トランペットに惹かれたんですよね。大きい音も出るし光り輝いていてかっこいいなと思って選んだのが最初です。
― 今回触れたとき、指馴染みというか覚えていらっしゃいましたか?
町田:「ああ、懐かしいな」という感じはありましたし、さすがに持ち方は覚えていました(笑)。でも当時すごく頑張って練習していたわけではなかったので、今回はしっかりと交響楽団の一員として音楽が「好き」という役柄のところまで持っていくのはすごく苦労しました。まず音を出すのに苦労しました。
― その中でも何が一番難しかったですか?高音を出すとか。
町田:全部難しかったですが、綺麗な音を出すこと。トランペットなどの金管楽器は唇だけで音階を決めたりするので、低音も高音もやっぱり綺麗に出すことが本当に難しかったです。
― クラシックの音楽に関しては、これまで馴染みはありましたか?
町田:全然詳しくなかったです。ジャズは映画の影響もあって好きで憧れはありましたが、クラシックは敷居が高そうなイメージがあったのでなかなか手を出せずにいました。
町田啓太「完璧」の声に自身の考えは…?
― この間共演経験があるゆうたろうさんにお話を聞いたとき、「町田さんは現場でも常にコミュニケーションを皆さんと取っていて全然休まれていなくてすごい」とおっしゃっていたんですが、町田さんが毎回撮影現場で意識していることは何ですか?町田:「楽しくやりたいな」とは思っています。皆で良い作品にできるように何が自分でできるかな、というのは考えるようにしています。
― コミュニケーションは意識的に心がけていらっしゃるのでしょうか?
町田:個人的に喋りたがる性格なので、そんなに考えてないかもしれないです。(役やタイミングによって)集中したかったり、喋りたくないという方ももちろんいらっしゃるので様子をみながらですが、人間同士で作るものなので、コミュニケーションを取った方がやりやすい関係になるかなと思っています。
― その考えは何かきっかけがあってできたものでしょうか?それとも元々ですか?
町田:元々もあったかもしれないですね。後は段々と現場を踏ませてもらってコミュニケーションを取った方がやりやすいなと分かってきたのかもしれないです。
― ゆうたろうさんは町田さんについて「本当に完璧で欠点が見つからない」とおっしゃっていたんですが…
町田:言ってくれるんですよ(笑)。あとは作風や役柄とか、皆さんのおかげなので、(自分自身は)完璧では全く無いです。基本的に完璧な人間はいないし、僕も失敗や反省をしながら生きてきた人間なので、今もそうですけど。なるべく何かがより良くなるように、自分自身もそういう環境を作っていきたいな思っているだけなので、もしかしたらゆうたろうくんもそういう風に思ってくれているからシンパシーを感じてくれたのかもしれないですね。
― 具体的に「こういうところが弱点」というのは?
町田:いっぱいありますよ!漢字が弱くて、読めない漢字には台本にフリガナをつけるところから始めたりしますからね。恥ずかしいこともいっぱいあります。「できる限りちょっと休みたいなあ」「眠たいけどこれやらなきゃ、でも寝ちゃおう」と思う怠け者な部分もありますし、皆そうじゃないですかね?そういう(完璧だと思ってもらえる)役柄を最近多くやらせてもらっているのもあって、それが印象に残っているんだと思うんですけど、町田自身は全然そんなことないですし、大したことないです。
町田啓太の趣味論 俳優業で「満足しているのかも」
― アマチュア楽団なので、ある意味では究極の趣味なのかなと思うんですけど、町田さんにとって人生を捧げるほどの趣味はありますか?町田:ないです(笑)。だからここに出てくる登場人物たちが羨ましいし、それだけの熱を注げるというのは良いなと思います。
― 人生を捧げるほどではなくても気分転換でされるような趣味は?
町田:それもほとんどないんです。しいて言うなら野球くらい。何かそういうものに出会いたいですね。どちらかというと今回のトランペットみたいに、作品で色々なことに新しく挑戦できるのが楽しいから、もしかしたら満足している節はあるかもしれないです。
― 例えば俳優業を始める前はダンスもされていたと思うんですけど、違う趣味に挑戦されたことは?
町田:それがすごく移り変わりが激しいんですよ。「るろうに剣心」に影響されて(笑)、「僕は抜刀斎になる!」と言って剣道を始めたこともありますし、機械や飛行機に興味があったり、ダンスはそれまで1回も触れたことがなかったのに「ちょっとやってみよう」と始めたり。そういうその時々の興味で動いてきた人間なので、俳優は今のところその沢山の興味が散りばめられているところが僕的にはすごく好きだなと思います。でも、何か全部注げることがもし出てきたら、そっちを集中してやっちゃうかもしれないですね。「あいつ最近見ないな」となったら違うことをしている可能性はありますけど(笑)。自分の気持ちに純粋に動いていきたいとは思いますが、今は全くそんなことを考える余地もなくやっています。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
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「太陽とボレロ」ストーリー
花村理子(檀れい)は、奔走していた。アマチュアではあるが、18年の歴史を誇る、弥生交響楽団存続のために。急逝した父親の事業を継ぎ、ひとり残された母親(檀ふみ)の面倒を見るため、ピアニストになることを諦めて、故郷に帰った理子にとって、弥生交響楽団は、厳しい現実を支える、大切な夢だった。3年前から、大学時代の恩師・藤堂(水谷豊)を指揮者に迎えたものの、客足は年々遠のき、苦しい運営が続いていた。創立当時から、楽団を支援してきた鶴間(石丸幹二)とともに、役所や金融機関に掛け合うも、なかなか協力は得られない。そんな折、コンサートの最中に、藤堂が倒れてしまう。個性豊かな楽団員たちの心を、ひとつにまとめていた、おおきな存在を失くした弥生交響楽団に、不協和音が響きだす……。
ついに理子は解散を決意するが、楽団のメンバーたちに、ラストコンサートを提案する。若き楽団員の圭介(町田啓太)やあかり(森マリア)も、音楽を愛する仲間の心を、いま一度合わせようと奮闘するが、バラバラになっていくメンバーの足並みは、なかなか揃わない。もはや修復不可能な状況に、皆がコンサートを諦めかけたとき、入院中の藤堂から、ビデオレターが届く。そして、ちいさな奇跡が起きた。
燃え立つような太陽が西の空に消えて、マジックアワーを迎えるとき。「ボレロ」の力強いリズムにのせて、弥生交響楽団、最後の、そして最高のコンサートが始まる。
町田啓太(まちだ・けいた/31)プロフィール
1990年7月4日生まれ、群馬県出身。劇団EXILEのメンバー。2014年、NHK連続テレビ小説「花子とアン」で主人公の義弟役を務め注目を集める。主な出演作品に、NHK大河ドラマ「西郷どん」(2018)、「青天を衝け」(2021)、 ドラマ「中学聖日記」(2018)、ドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(2020)、「今際の国のアリス」(2020)、「西荻窪 三ツ星洋酒堂」(2021)、「SUPER RICH」(2021)、「ダメな男じゃダメですか?」(2022)などがある。7月からフジテレビ系で主演ドラマ「テッパチ!」(毎週水曜よる10時~)が放送予定。
【Not Sponsored 記事】
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