“24歳で株式会社設立”高杉真宙、模索した俳優としての理想形<モデルプレスインタビュー>
2021.05.03 08:00
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「株式会社って立ち上げないらしいですね、意外と!(笑)」
そう他人事のように話して笑いを誘うのは、4月上旬、デビューから所属した事務所を契約満了をもって退所し、「株式会社POSTERS」の設立を発表した俳優の高杉真宙(たかすぎ・まひろ)。屈託のない笑顔や丁寧な姿勢はこれまで通りだが、24歳にして独立の道を選んだ彼の内面には確かな変化があったようだ。1stフォトエッセイ『僕の一部。』(幻冬舎/発売中)の元となる連載を執筆した直近の3年間を振り返りつつ、新たなスタートを切った今の心境、思い描く未来をモデルプレスのインタビューで語った。
エッセイに残した3年間「本当にたくさんのことが起きた」
連載「漫画喫茶・タカスギへようこそ」は、一人暮らしの自宅に1500冊超を所有するほどの漫画好きである高杉が、読者から寄せられたお悩みにふさわしい一冊を紹介する形で執筆したもの。新たな書き下ろしと“漫画喫茶の店主の1日”をテーマに撮影した写真を加え、フォトエッセイとしてまとめられた。本格的な執筆活動は初めてだが、お悩み一つ一つに真剣に向き合い、読み手が楽しめるよう起承転結も意識したという高杉。
「最初は照れが大きかったです。ドラマや映画と違って、自分の書いたものが直で載っているというのは不思議な感覚だったんですけど、とても楽しかったですし、“僕は文章を書くのが好きだな”というのは今回の大きな気づきでした。それと、こういう発信の場ってこれまでの自分にはなかったなと。僕自身、最初はパーソナルな部分を見せるのがあまり好きではなかったんですけど、これからはもう少し人となりを見せられたらいいなと思いましたし、そう思える一つのきっかけになったかもしれません」
連載の冒頭には高杉自身の近況がつづられ、季節や時の流れを感じることができる。フォトエッセイの“おわりに(エピローグ)”では、連載を開始した2018年3月からの3年間を「自分にとって大事な時期」と表現。
「本当にたくさんのことが起きた3年間な気がします。今年25歳になるんですけど、20歳から25歳までの5年間と、その前の5年間とでは比べものにならないくらい濃かったと思っていて。エッセイでそのうちの3年間を残すことができたので、今改めて読んでみると自分の成長を感じられますし、色んなことが起きていたんだろうなと思わされるような文章だったので、読んでいて楽しかったです。自分の作品で言うと『賭ケグルイ』がこんなに長い間楽しんでいただけたことは嬉しいですし、映画にたくさん呼んでいただけるようになったのも大きな出来事でした」
自粛期間に考えた、俳優としての理想「自分ももう少し関わりたい」
特にコロナウイルス感染拡大による自粛期間は、“視聴者”と“作り手”の両面で、エンタメの価値を改めて捉え直す機会になったという。「こんな状況でも、作品は必要だなと思いました。必要ない人もいるのかもしれないけれど、結局僕も作品に救われたうちの一人だったので。それと、作品作りという行為自体にすごく感動を覚えましたね。こんな中でも、求められるから作っていけるんだなと思いますし、見てくださる方たちがいることのありがたさや、その作品にまた携われる喜びは、自粛期間があったからこそ強く感じることができたと思います」
感染対策で様々な制限を余儀なくされた現場は「結構大変だったなぁ…(笑)。大変だったんですけど、やっぱり芝居は面白いなと思いました」と本音。未曾有の出来事は、俳優としての理想の形にじっくりと向き合うきっかけにもなった。
「自分としてはこれまで通り俳優という仕事を続けていくつもりではありますが、これまで以上に一つ一つの作品にもっと深く携わっていきたいという気持ちが強くなったんです。俳優としての立ち位置って難しくて、どうしても作品の撮影中しか関わることができない。それって寂しいなと思ったんですよね。こんなに面白いことをしているのに、撮影期間と公開前の宣伝で稼働するという関わり方なので。そういうことも含めて、難しいけれど『自分ももう少し関わりたい』と。自分が作品に関わる分量を一つ一つ増やしていきたいなと思ったことが大きかったです」
自ら様々なアイディアを練り、晴れて会社設立を発表した日にはInstagramで初のライブ配信も実施。「新しいことを始めるのは緊張しますが、楽しみでした。これで皆さんがどんな反応をするのかな?と考えたり…」と無邪気に笑い、今後はSNSや動画制作などにも力を入れていきたいと明かした。
「“記憶に残る”こと、“びっくりさせる”こと。この2つは、俳優としてもそうだし、新会社の中でもやっていきたいことかなと思います。大変な熱量のいることだと思いますが、できたらいいなと。『POSTERS』という会社名には、人それぞれ見えている世界や軸がある中で、その一人称をもっとピックアップして映画のポスターみたいにできたらいいな、という想いが込められています。色んな人の、色んな考え方をもっと知りたい。その好奇心が強いので、ゆくゆくは会社にも色々な考えを持つ作り手の方々を集められたらいいなと思っています。その前に、まだ僕自身が25歳で、世の中的に『どうなんだろう?できるのかな?』と思っている方々も多いと思うので、まずは僕がしっかり頑張って、色々なものを見せていかないといけないですね」
【Q&A】無人島に持っていく漫画3作品を選ぶなら…!?
Q.高杉さんが悩んだ時に手に取る漫画は?高杉:ずっと大好きなのは『ボールルームへようこそ』(竹内友/講談社)。悩みを気にせず前に進むために、背中を押してくれるような漫画です。新刊が出るたびに一巻から読み返しています。
Q.今まさに読んでいる漫画は?
高杉:最近、一番面白かったのは少年ジャンプ+で連載中の『ダンダダン』(龍幸伸)。これからオススメしていこうと決めた漫画の一つです。ギャグマンガなんですけど、ちゃんと“少年ジャンプやってる感”があって、その塩梅がきれいだなと。宇宙人とお化けが出てくるんですけど、要素的にどっちも取り入れていくんだなぁとか、やれることがたくさんあるのかなと思うと、ワクワクします。
Q.無人島に3作品だけ持っていくとしたら?
高杉:まずはサバイバル漫画ですよね(笑)。『山賊ダイアリー』(岡本健太郎/講談社)だと、山の猟師の話で銃がないと論外な気がする…(笑)。『自殺島』(森恒二/白泉社)も面白いので、サバイバル系はそのどちらか。1作品をめちゃくちゃ長いのにしておきましょう、何回でも読めるように(笑)。『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)か「こち亀」(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』秋本治/集英社)で。あと一つは単純に好きな漫画で、『ボールルームへようこそ』か『東京トイボックス』(うめ/幻冬舎コミックス)にします!
Q.この世界観を生きてみたい!という漫画はありますか?
高杉:うらやましいなと思ったのは『トリコ』(島袋光年/集英社)。おいしそうな料理がいっぱい出てくるのでぜひ食べてみたいです。
Q.料理はしますか?
高杉:一切しないです(笑)。料理は一つもできないし、まだしようとも思えてないですね…。本当は僕の生活的にはできた方が、部屋から出なくていいというのがもっと成立すると思うんですが(笑)。
Q.最近、一番食べているものは?
高杉:材料で言うならチーズ(笑)。チーズが大好きなので、6ピースのをつい買っちゃいます。
Q. 『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』で共演した藤井流星(ジャニーズWEST)さんと食事に行ったことが話題に。どちらから誘いましたか?
高杉:藤井さんが誘ってくださいまして。はい、だいぶ受け身ですね(笑)。楽しかったです!僕にとって2人でご飯に行くっていうのはハードルが高く、なかなか緊張するので、行けてよかったなって思います。
Q.人見知りは解消した?
高杉:だいぶマシにはなってきました(笑)。25歳で人見知りですとか、部屋にいるのが好きですとか言ってられないなと思って(笑)。僕も(その言い訳を)一生使えると思っていたんですけど、世の中そうもいかないらしいです。それに気づいたのでもうちょっと頑張ろうとは思っているんですけど、なかなか難しい話ですよね…(笑)。
(modelpress編集部)
高杉真宙(たかすぎ・まひろ)プロフィール
1996年7月4日生まれ。2009年より俳優活動をスタート。2012年、映画『カルテット』にて初主演を務める。2014年、映画『ぼんとリンちゃん』にて第36回 ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞を受賞。2017年、映画『散歩する侵略者』にて第72回 毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞。2018年、主演映画『笑顔の向こうに』が第16回 モナコ国際映画祭でエンジェルピースアワード 最優秀作品賞を受賞。近年では『賭ケグルイ』シリーズや、ドラマ「私たちはどうかしている」、映画『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』、舞台「てにあまる」などジャンルに縛られず数多くの話題作に出演。2021年4月12日、株式会社POSTERSを設立。
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