モデルプレスのインタビューに応じた唐田えりか(C)モデルプレス

注目の“CM美女”唐田えりか、初ヒロイン映画でカンヌへ 「辞めようと思っていた」時期に舞い込んだ大きなチャンス<モデルプレスインタビュー>

2018.05.08 15:00

モデルで女優の唐田えりか(20)が、モデルプレスのインタビューに応じた。CMで一躍脚光を浴び、現在は女優のほか、ファッション誌『MORE』専属モデルとしても活躍。さらに、2017年には韓国事務所BHエンターテインメントと契約し、現地で出演したLG V30のCMも話題に。そして2018年、初のヒロインをつとめた映画『寝ても覚めても』(9月1日公開)が、「第71回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門に出品されることが決定した。CMから飛び出した注目の美女が、今度は映画の世界へ――今回のインタビューでは、ブレイクに期待がかかる唐田に、デビューから今日までの道のりを振り返ってもらった。

“CM美女”唐田えりか、初ヒロイン映画で初カンヌへ

唐田えりか(C)モデルプレス
唐田えりか(C)モデルプレス
1997年9月19日生まれ。2014年にスカウトされ芸能界入り。2015年7月に放送された月9ドラマ「恋仲」(フジテレビ系)にゲスト出演し、女優デビュー。

唐田えりか、東出昌大(C)2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/COMME DES CINÉMAS
唐田えりか、東出昌大(C)2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/COMME DES CINÉMAS
映画『寝ても覚めても』は、芥川賞作家・柴崎友香氏が第32回野間文芸新人賞を受賞した同名恋愛小説を映画化。唐田は、主演・東出昌大が一人二役をつとめた亮平と麦という、瓜二つの顔を持つ2人の男の間で揺れ動く女性・朝子を演じた。

東出昌大主演映画「寝ても覚めても」ティザービジュアル(C)2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/COMME DES CINÉMAS
東出昌大主演映画「寝ても覚めても」ティザービジュアル(C)2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/COMME DES CINÉMAS
メガホンをとったのは「ハッピーアワー」の濱口竜介監督。濱口監督にとっても初カンヌとなり、フランス現地時間5月8日から19日に開催される映画祭には、濱口監督、東出とともに、唐田も参加する。

スカウトがきっかけで芸能界入り モデル志望のはずが…

唐田えりか(C)モデルプレス
唐田えりか(C)モデルプレス
― 唐田さんはスカウトがきっかけで芸能活動をスタートさせたということですが、まずは当時のお話をお伺いできますか?

唐田:姉が2人いて、姉が買っていたファッション雑誌を小学生の頃から見ていたので、その頃からモデルさんになるのが夢でした。中学生の頃には、原宿でスカウトしていただくこともあったのですが、当時は入りたい事務所さんがあったので、違う!とかここじゃない!とか妙なプライドからなかなか一歩踏み出せずにいて。でも、そのこだわっていた事務所さんに履歴書を出す勇気もなく…そうしているうちに、高校生の頃バイト先で、今の事務所にスカウトされたのがきっかけで芸能界に入りました。

― そのときスカウトされたのが、“こだわっていた事務所”?

唐田:いや…実は違うんです(笑)。正直そのときはうちの事務所(広末涼子、戸田恵梨香、有村架純らが所属するFLaMme)のことは知らなかったんですけど、調べてみたら有名な人がいっぱいいる!ってワクワクして、ここだ!って思えたんです。

― そのまま、モデル志望で芸能界入りして…

唐田:そのつもりだったんですけど、入った後に女優さんの事務所?って気が付いて(笑)。自分がお芝居をするって考えが全くなかったので、入っちゃえば一緒かなー?くらいに考えていたのですが、演技レッスンが始まって数ヶ月経った頃に、あれ?ってなりました(笑)。

― そのときに、意志を伝えることはなかったですか?

唐田:元々モデルのお仕事に興味があるという話しはしていたんですけど、実際にレッスンが始まってからは言う勇気が出なかったです…。「演技レッスンがあるから」って言われて、きっとそういうことも必要なんだなって受け入れてました。全然上手くいかなかったので、楽しく思えなくて、早くモデルのお仕事がしてみたいなという気持ちでした。とにかく受け身で、最初は思っていた姿とのギャップとか、衝撃がすごかったです。

― それはまだ高校生の頃?

唐田:高校生3年生でした。18歳とか。

― 唐田さんと言えば某CM(2016年~)で話題になったかと思いますが。

唐田:それは、事務所に入って数ヶ月のときでした。

― 大抜擢!

唐田:周りの友達も、母も「すごいね」って泣いてくれました。私ももちろん嬉しかったんですけど、スタート地点に立てたみたいな感覚は正直なくて…。

― CMからブレイクを果たす方も大勢いらっしゃいますが、それでも?

唐田:私はいけるっていう希望みたいな自信はずっとあるんですけど、お仕事が決まったからその思いが生まれてるという感じでもなく。ただ、「あのCMの子ですよね?」とか声を掛けていただけますし、知っていただくきっかけになったのかなとは感じています。

― CMをきっかけに街で声を掛けられることは増えましたか?

唐田:増えたと思います。「唐ちゃんですか?」とか声を掛けていただけて嬉しいです。でも、未だに慣れなくて、知り合いだっけ?とかどこかで合った人かな?とか思っちゃうんです(笑)。

初々しい(笑)。

唐田:この性格は変わらないんじゃなくて、変われないんだろうなと思います。

― その真っ白さは武器になりそうですね。

唐田:地元の子に会ったときにも、「そのままでいてね」って言われますし、もうここまできたら変われないんだろうなって開き直ってます(笑)。

― 「変われない」という唐田さんが、芸能界に入って影響を受けた人や言葉、心に残っているエピソードがあれば教えて下さい。

唐田:事務所の先輩の山口紗弥加さんに偶然会って、「最近どう?」って声を掛けていただいたことがあったんですが、落ち込んでいたときだったので、ワ~って泣いちゃって。突然だったので紗弥加さんはすごくびっくりされていたんですけど、演技が楽しいと思えないし全然出来ないって相談をしたら、「そういう時期って大事だよ。今思ってることを日記に書いておくといいよ」ってアドバイスをくださったんです。「その日記を後から見返したとき、それが支えや励みになるときが絶対来るから。今の時期は絶対に無駄じゃないよ。今は、いつか自分が思い描く場所に到達できるときのための助走なんだよ」って。「今を超えたら何かあるかもしれないのに、今辞めたらダメだよ」とも言ってくださって、それはすごく心に残っています。

― 素敵なエピソードですね。

唐田:本当にいい先輩です。ほかにも、事務所で疲れて寝てしまっていたときに、有村架純さんが「最近どう?疲れてない?お芝居を楽しいって思ってくれてるといいな」って手紙を置いてくださったことがあったのですが、すごく嬉しかったので覚えています。有村さんは、私が初めてレギュラー出演させていただいた「こえ恋」(2016年、テレビ東京)というドラマが放送されたときも、LINEで感想をくださいました。事務所には素敵な先輩ばかりいるので、私もそうなりたいって憧れがあります。

唐田えりか、韓国でも即CM抜てき 現地事務所所属で活動開始

― CM美女として注目を浴び、お芝居の世界へ飛び込み、その後、2017年には韓国事務所BHエンターテインメントとも契約し、本格的に韓国での活動もスタートさせましたね。

唐田:元々、私がK-POP好きだったので、韓国でもお仕事をしてみたいなっていうのは希望としてあったんです。でも、所属とかは全く考えてなくて、例えば撮影で韓国に行くとか、そういう関わり方が出来たらいいなくらいの感覚でした。そういうお話をマネージャーさんとしていたら、日本の同じ事務所に所属している韓国のハン・ヒョジュさんという女優さんのドラマ撮影を韓国で見学させていただけることになって、そこでBHエンターテインメントの社長さんやスタッフの方とお会いして、そのあとしばらくして所属という形になりました。

― 韓国では、LG電子のCMが話題になったとか?

唐田:所属してすぐに決まったCMです。

―日本に続き!

唐田:確かにそうですね(笑)。所属が決まったのも、CMが決まったのも『寝ても覚めても』の撮影中だったらしく、マネージャーさんが私が動揺するといけないからって、映画がオールアップした日に全部教えてもらいました。ただただ、えっ?って驚きました。すごく嬉しかったですし、頑張りたいなと思いました。

「辞めようと思っていた」時期に舞い込んだ大きなチャンス

― 海外へと活躍の場が広がる中、初のヒロインをつとめた映画『寝ても覚めても』が、第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門へ。オーディションからヒロインに選出されたということですが、振り返ってみていかがですか?

唐田:ちょうど1年前くらいにマネージャーさんを通じて「こういうオーディションがあるんだけど、受けてみない?」とお話をいただきました。当時は上京して1年になる頃で、事務所の寮に住んでいたんですけど、実はこれからどうしようって考えていた時期だったんです。

― 悩んでいた時期に、大きなチャンスが。

唐田:演技が楽しいと思えない時期で…。演技に対して苦手意識が強くて、出来ないし楽しいと思えないし、これから大きな仕事が決まっているわけでもないし、先が見えないし…と。

― 具体的に何か壁にぶつかった、ということでしょうか?

唐田:高校を卒業して上京してから本格的にお仕事を始めたんですけど、最初のワークショップとか演技レッスンでは、周りの人の実力を目の当たりにしてマネージャーさんの前で泣いてしまったこともあったんです。モデルのお仕事をしたくて、その思いが強いままお芝居を始めたので、自分が演技を出来るとは思ってなかったですけど、ここまで出来ないんだって現実が見えて悔しくなって、そこで壁にぶつかりました。20歳になるまでに先が見えなかったり、お芝居が楽しいと思えなかったら、そのとき考えようってとにかく頑張ってはいたんですけど、その頃は本当に辛くて、普段は母に相談するタイプじゃないのに、初めて電話して辞めようかなって言いました。それが19歳のときです。

― 20歳目前のタイミングで、葛藤が生まれたんですね。

唐田:オーディションもいつもなら絶対この役とるぞ!という気持ちで行くのに、そういう取り繕った気持ちとか一切なくて、気の抜けた状態で行きました。オーディションの内容も、電話帳を読むように感情を入れずにセリフを読むというもので、手応えもなく、終わった後は絶対受かってないだろうなーくらいの気持ちでした。

― では、手応えのない中、結果を待っている状態で…。

唐田:そうでした。でも、オーディション後に脚本をもらってからは、やる気が出てきて、気持ちが少し変わっていました。脚本を初めて読んだときから朝子という役を自分と重ねることができましたし、泣けたし、脚本を読んでこんなに感情移入できたのは初めてだったので、思い入れが強くなっていったんです。オーディションはその1回だけで、結果発表まで確か2週間くらいあったんですけど、やりたいという気持ちがどんどん膨らんで、決まったって聞いたときには、楽しみな気持ちしかなかったです。

― そのときに悩んでいた気持ちも吹っ飛んだという感覚でしょうか?

唐田:徐々に徐々に、かもしれないです。役が決まって、準備期間に入って、東出さんとか濱口監督と時間を共有する中で、不安を消していってもらったような気がします。撮影が始まる頃には、悩みもなくなっていました。濱口監督には、オーディションの頃から、演技に対して前向きになれない気持ちを話していたんです。

― そうなんですね。最初から悩みを共有して。

唐田:準備期間の間にワークショップに何度か参加させていただいたんですけど、そのときは無理して取り繕っていたんです。でも、濱口監督はそれを見抜いて、その上で導いてくださって。役を演じようとはせずに、自分としてどう生きられるか考えられるようになったら、自然と無理がなくなって、楽になりました。

― 実際に演じてみていかがでしたか?

唐田:撮影の前からご飯に誘っていただいたり、東出さんに「役柄上、これからはタメ口で話そう」って言っていただいて、関係性が早くからできていたので、いい意味で何も考えずに演じることができました。今でも東出さんのことは“でっくん”って呼ばせていただいてます(笑)。本当に役として生きられたなと思います。

― その感覚は、初めての手応えでしたか?

唐田:はい。関係性もできていた分、気持ちも楽だったし、安心感があったんです。あとこの映画が決まる前、辞めようかなって母に相談したとき「辞めたければ辞めればいいし、帰ってきたいならいつでも帰ってきていいよ」ってサラっと言ってくれて、それも大きかったかもしれません。自分には帰る場所があるんだってことが、まだ頑張ろうという気持ちにさせてくれました。

苦悩を乗り越えた唐田えりか、夢を叶える秘訣は?

唐田えりか(C)モデルプレス
唐田えりか(C)モデルプレス
― そういう苦悩を乗り越えて、カンヌへ。最初にカンヌ行き決定の知らせを聞いたときは、どんな気持ちでしたか?

唐田:撮影中は全く賞のことを考えていなかったんですけど、編集段階でスタッフの皆さんが「これで賞を獲れるといいですね」「カンヌに行けるといいですね」って話しをしていて、カンヌかーと聞いていて。そこから、カンヌ行きたいなという気持ちがどんどん大きくなって、「もしかしたら行けるかも」と聞いてからは、とにかく楽しみで楽しみで、毎日のようにマネージャーさんに、発表もうすぐですよね?明日ですよね?って連絡していました(笑)。

― 楽しみでしょうがなかったことが伝わってきます(笑)。

マネージャー:好きなことに関しては、連絡がしつこいんです(笑)。

唐田:(笑)。分かりやすいんですよ。そのときも、明日分かったらすぐ連絡ください!とか(笑)。連絡が入ったのは朝の5時位だったんですけど、楽しみすぎて起きてたのですぐに返信しました。「決まったよ」って連絡がきて、ぶわーって鳥肌が立って、プロデューサーさんとか、キャストのグループLINEとかにもすぐに連絡を入れて。自分だけ興奮して早起きしていたので、なかなか既読がつかなくて、ふてくされて二度寝しました(笑)。

― 可愛らしいエピソード(笑)。

唐田:ちょうど次の日に、監督とキャストの皆でプロデューサーさんの誕生日会を計画していたので、あわせてカンヌのお祝いもしました。私がケーキを買いに行ったんですけど、サプライズで「お誕生日おめでとう&カンヌ」って書いてもらいました。

― その偶然が重なったのも、すごいですね。

唐田:すごいですよね!タイムリーと言うか。嬉しかったです。

― カンヌまであと少し。今の心境を教えて下さい。

唐田:映画祭自体初めてなんです。なので、まだ良くわかっていなくて…。事務所でもカンヌは初めてらしくて。

― 初映画祭でカンヌ。『寝ても覚めても』は大きな転機になったのでは?

唐田:本当に特別過ぎる作品です。この作品のおかげで演技に対して前向きになれましたし、もっとお芝居を頑張りたい、もっとお芝居のことを知りたいと思えるようになれました。女優さんとしての欲が出てきて、好奇心が強くなりました。でも…安心はできない。

― というと?

唐田:極端ですけど、ここで安心したら死ぬ、みたいな危機感が常にあって…。

― 初ヒロインをつとめた映画がカンヌへ出品されることが決定した今も?

唐田:家族とか地元の友達とか事務所の方々とか、色々な人に支えられているという実感がすごくあって、その人達のためにはこの業界で活躍することが一番の恩返しになるんだろうなって思うと、じゃあ次のお仕事は?ってなるんです。もっと、もっとやらなくてはと。

― 今、まさに女優として新たな一歩を踏み出した唐田さん。そんな唐田さんが今実感する“夢を叶える秘訣”は何ですか?

唐田:まだ、私も夢を叶えた実感がないので恐れ多いのですが、やりたいことを口に出すことは大事だなと思います。それを発するのは怖いことだし、私もモデルをやりたいってことを家族にしか言えなくて、友達にはなかなか話すことができなかったです。でも、口にすることで、責任感も生まれるし、それに対して周りの協力が得られるかもしれない。欲深くなることは大切だと思うので、今夢に向かってやっていることを無駄だと思わずに、頑張って欲しいです。

― ありがとうございました。

話した印象は、とにかく素直。人柄がにじみ出たようなピュアな笑顔と、はっとさせられるほどの圧倒的な透明感は、これから先の活躍を期待するには十分な要素だと思う。日本と韓国、2つの事務所に所属してすぐに大手CMに抜てき、そして初ヒロインをつとめた映画でカンヌへ…まだ真っ白な彼女は、何かを“持っている”女優な気がしてならない。(modelpress編集部)

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唐田えりか(からたえりか)プロフィール

生年月日:1997年9月19日
出身地:千葉県
血液型:A型
身長:167cm
趣味・特技:音楽鑑賞・書道

2014年スカウトをきっかけに芸能界入り。2015年7月にフジテレビ系の月9ドラマ「恋仲」にゲスト出演して、女優としてデビューを果たした。2015年9月にはオーディションを勝ち抜き某CMに初出演し、話題になった。ファッション誌『MORE』の専属モデルとしても活躍中。主な出演作は、ドラマ「こえ恋」(2016年、テレビ東京)、「ブランケット・キャッツ」(2017年、NHK総合)、「トドメの接吻」(2018年、日本テレビ)、映画『ラブ×ドック』(2018年5月11日公開)、『寝ても覚めても』(2018年9月1日公開)など。

また、2017年には韓国事務所BHエンターテインメントと契約し、本格的に韓国での活動もスタートさせた。

映画『寝ても覚めても』

出演: 東出昌大 唐田えりか 瀬戸康史 山下リオ 伊藤沙莉 渡辺大知(黒猫チェルシー)/仲本工事/田中美佐子
監督: 濱口竜介
原作:「寝ても覚めても」柴崎友香(河出書房新社刊)
音楽:tofubeats

<あらすじ>

東京。カフェで働く朝子は、コーヒーを届けに行った先の会社で亮平と出会う。真っ直ぐに想いを伝えてくれる亮平に、戸惑いながらも朝子は惹かれていきふたりは仲を深めていく。

しかし、朝子には亮平には告げていない秘密があった。亮平は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦に顔がそっくりだったのだ――。
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