MC Mystie (C)モデルプレス

相手を傷つけないラップバトルの原点…MC Mystieの「死にかけた」経験と“友の遺言”<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>

2017.06.14 00:00

11日、東京・SHIBUYA HARLEMにて、フィメール(女性)のみのMCバトル「CINDERELLA MCBATTLE(シンデレラMCバトル)」の第2回大会が開催された。モデルプレスでは、会場に潜入し、大会を終えたばかりの出演者・MC Mystieにインタビューを実施した。

「CINDERELLA MCBATTLE」とは?

日本初のフィメールラッパーを決める第1回大会が1月に開催。グランプリにあっこゴリラ、準グランプリにMC MIRI、ベスト4にa.k.a音Solar・FUZIKOが輝き、大きな反響を呼んだことから第2回大会を迎えた。

前大会にも出場していたMC Mystieは、相手をディスるのではなく尊重したバトルを繰り広げて周囲、観客を圧倒。そのピースフルでリスペクトに満ちたラップは今大会でも健在。優勝者
・椿にやぶれたものの、アツい戦いを繰り広げた。

イベントの様子(C)モデルプレス
イベントの様子(C)モデルプレス

MC Mystieの原点

― お疲れ様です。お疲れ様です。今日のバトルの感想をお願いします。

MC Mystie:今日の感想ですか?楽しかったです、それだけ(笑)。

― MC Mystieさんのラップバトルは他の方とは大きく異なり、相手をとにかくリスペクトしていますが、なんでそのような形になったんでしょうか?

MC Mystie:いくつか理由があるんですけど、1番は私が1度自白血病で死にかけてることですね。その時に、本当に「次会えるかどうか」っていうのは奇跡だと感じました。自分が生きてるか、もしくは相手が生きてるかっていうのは本当に未知数なので、今回会って悲しい思い出を残して次会えなくなったらお互い心が痛むじゃないですか。私は死を宣告をされて先に度立ってしまうことを覚悟した時、今後どんな事情であって何かを守らなきゃいけない時であっても愛を持ってやりたいなって決めたのがまず1つ目。

もう1つは、私92年からアメリカのロングビーチのCripsっていう人たちと関わって音楽をやっていました。当時アジア人でイエローモンキーって言われて、ヒップホップをするのにはそういうところに入るしか方法がなくて…。そういう集団の中に入っていて、本当にたくさんの友達が死んだし、もし生きていてくれたら今もっとラップシーンが変わってたんじゃないかなっていうような心温かい言葉を持ってラップしてたような友達がたくさん死んでるですよね。そんな中、どんな人も死ぬ瞬間にやっぱり言ってたのは「このヒップホップのシーンを頼むよ」って。私は、そんな「争いも先に繋げてくれ」っていう遺言を背負ってますから、それを思うとただ1回のバトルに勝つために言わなくてもいいことを言ってその人を切りつけなくてもいいのかなって。後は、ケロッと笑って忘れられるし喧嘩も楽しめるけど、やっぱ女性ってそうじゃないから、フィメールの戦いだからここそそういうところを抜きにして、いつ会っても「久しぶりだね」「元気だった?」って言えるのが、子供産むことができる“創造”という力持ってる女性にとってはいいんじゃないかなって思ってます。

― バトルを終えた出演者のみなさんが、ステージ横でMystieさんとハグする姿が印象的だったのですが、今のお言葉を聞いてその理由がわかりました。

MC Mystie:なんか勝っても負けてもその人が人生をかけて一緒に作り上げたものは尊いんですよね。「CINDERELLA MCBATTLE」の中に私も入れていただいて、この中で存在することで出来てるって言うことを考えると、誰1人欠けても今日はなかったし、誰1人欠けてもフィーメールのシーンじゃないと思っているので。負けても勝っても「頑張ったね!」って真っ先に言いたいなって思ったんです。

― そんなMystieさんがラップ・音楽をやっていて良かったなと思う瞬間は?

MC Mystie:誰かと一緒に楽しむきっかけを提案できるっていうのが芸術だと思うので、私の場合は友人が死んだっていう時にも音楽があったからこの命を無駄にしないってすぐ思えたました。この人の遺言を今この瞬間からポジティブになって叶えていかないとっていう気持ちになれて。いつもそれがなんか癒やして私を許してくれたっていう音楽ですかね(笑)。

MC Mystie (C)モデルプレス
MC Mystie (C)モデルプレス

次もオーディションから

― 第3回もあるようですが…?

MC Mystie:オーディションからやりますよ、もうオーディションが超楽しいんです(笑)。運とか体調とかいろんなことがあった上で奇跡的にここまで上り詰めてきた人たちによる今日の大会ですけども、オーディションにも色んな人がいてドラマがあって私はそこも見たい。そこを見ずして一緒にイベントを作っていいと思えないので、また次回もやりたいです。

― 最後にファンの方にメッセージをお願いします。

みなさん今日はありがとうございました。会場で一緒に盛り上げてくださる皆様の楽しいさと私の音が一緒になって“音楽”になるっていうのをいつも思って音楽をやってるので、皆様がいてくれて今日の私の1日があったことに感謝です。また一緒にこの素敵なヒップホップの文化を作っていく時に、またあなたに出会えたら嬉しいです。ありがとうございました。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

MC Mystie (C)モデルプレス
MC Mystie (C)モデルプレス

第2「CINDERELLA MCBATTLE」全結果

○CESIA VS ×a.k.a音Solar
○広崎式部 aka ASuKa VS ×千
○加藤真弓 VS ×MC frog
○ladystar VS ×KIYO

【ベスト16】
○ワッショイサンバ VS ×KIDA
○CESIA  VS ×しあ
○COMA-CHI VS ×広崎式部 aka ASuKa
○まゆちゃむ VS ×セルラ伊藤 
○MC Mystie VS ×土竜asNason
○椿 VS ×加藤真弓
○ぱっつん VS ×ladystar
○CHARLES VS ×Tomgirl

【ベスト8】
○ワッショイサンバ VS ×CESIA
○まゆちゃむ VS ×COMA-CHI
○椿 VS ×MC Mystie
○CHARLES VS ×ぱっつん

【ベスト4】
○まゆちゃむ VS ×ワッショイサンバ
○椿 VS ×CHARLES

【ファイナル】
○椿 VS ×まゆちゃむ

【Not Sponsored 記事】

関連記事

  1. 女優×ラッパー加藤真弓、会場圧倒の裏に秘めた“表現”への信念「邪道っていうか…」<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    女優×ラッパー加藤真弓、会場圧倒の裏に秘めた“表現”への信念「邪道っていうか…」<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    モデルプレス
  2. 「HIPHOPが人生を変えてくれた」MC frogが過去・未来を語る<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    「HIPHOPが人生を変えてくれた」MC frogが過去・未来を語る<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    モデルプレス
  3. COMA-CHI、12年ぶりにMCバトルに出場した理由 “レジェンド”は今後どう動く?<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    COMA-CHI、12年ぶりにMCバトルに出場した理由 “レジェンド”は今後どう動く?<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    モデルプレス
  4. JKアイドルが何故ラップバトルに参戦?MC KIYO(宮本清花)に飛躍の予感<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    JKアイドルが何故ラップバトルに参戦?MC KIYO(宮本清花)に飛躍の予感<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    モデルプレス
  5. 芸人からラッパーになった理由語る“最低な試合”から激変したまゆちゃむ<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    芸人からラッパーになった理由語る“最低な試合”から激変したまゆちゃむ<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    モデルプレス
  6. 2代目“女性No.1MC”椿が辿り着いた境地 敗戦から変わったこと・ラップをやってきてよかったこと…<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    2代目“女性No.1MC”椿が辿り着いた境地 敗戦から変わったこと・ラップをやってきてよかったこと…<CINDERELLA MCBATTLE インタビュー>
    モデルプレス

「インタビュー」カテゴリーの最新記事

  1. 「御上先生」の兄役で話題・新原泰佑、日曜劇場への覚悟・役への責任感「理解してあげなくちゃいけない」【モデルプレスインタビュー】
    「御上先生」の兄役で話題・新原泰佑、日曜劇場への覚悟・役への責任感「理解してあげなくちゃいけない」【モデルプレスインタビュー】
    モデルプレス
  2. 百田夏菜子が振り返る人生最大の選択 駆け抜けた20代の変化「本気で悩んでよかった」【インタビュー】
    百田夏菜子が振り返る人生最大の選択 駆け抜けた20代の変化「本気で悩んでよかった」【インタビュー】
    モデルプレス
  3. 【百田夏菜子インタビュー】ファンを想うからこそ難しかった挑戦「作ってよかったなと実感しています」
    【百田夏菜子インタビュー】ファンを想うからこそ難しかった挑戦「作ってよかったなと実感しています」
    モデルプレス
  4. 「No No Girls」発・HANA(ハナ)「誰が1番変わった?」に4票集まったメンバーとは テレビ初生出演前の話し合いも【インタビュー連載Vol.8】
    【PR】「No No Girls」発・HANA(ハナ)「誰が1番変わった?」に4票集まったメンバーとは テレビ初生出演前の話し合いも【インタビュー連載Vol.8】
    株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
  5. 「No No Girls」発・HANA(ハナ)YURI、亡き父つづった歌詞で「私は絶対強くなれる」“唯一花道使わない”ステージ演出の裏にちゃんみなの言葉【インタビュー連載Vol.7】
    【PR】「No No Girls」発・HANA(ハナ)YURI、亡き父つづった歌詞で「私は絶対強くなれる」“唯一花道使わない”ステージ演出の裏にちゃんみなの言葉【インタビュー連載Vol.7】
    株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
  6. 「No No Girls」発・HANA(ハナ)NAOKO、最終審査直前に体調悪化で焦り「KOHARUがいれば大丈夫」不安が消えた理由語る【インタビュー連載Vol.6】
    【PR】「No No Girls」発・HANA(ハナ)NAOKO、最終審査直前に体調悪化で焦り「KOHARUがいれば大丈夫」不安が消えた理由語る【インタビュー連載Vol.6】
    株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
  7. 「No No Girls」発・HANA(ハナ)JISOO、憧れの事務所辞め「心の調子が悪くて辛い時期がありました」乗り越えたきっかけは渡米【インタビュー連載Vol.5】
    【PR】「No No Girls」発・HANA(ハナ)JISOO、憧れの事務所辞め「心の調子が悪くて辛い時期がありました」乗り越えたきっかけは渡米【インタビュー連載Vol.5】
    株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
  8. 超特急・小笠原海、グループ結成初期に感じていたターニングポイント メンバー個人活動への本音【舞台「聖剣伝説3」インタビューVol.3】
    超特急・小笠原海、グループ結成初期に感じていたターニングポイント メンバー個人活動への本音【舞台「聖剣伝説3」インタビューVol.3】
    モデルプレス
  9. 超特急・小笠原海、最年長から見たEBiDANの今「整えるのが我々の仕事」【舞台「聖剣伝説3」インタビューVol.2】
    超特急・小笠原海、最年長から見たEBiDANの今「整えるのが我々の仕事」【舞台「聖剣伝説3」インタビューVol.2】
    モデルプレス

あなたにおすすめの記事