

死亡事例もある「チャーハン症候群」とは? 加熱しても危険なセレウス菌食中毒の対策法
【大学教授が解説】「チャーハン症候群」とは、セレウス菌による食中毒の俗称です。チャーハンに限らずピラフやパスタでも発生し、夏場にリスクが高まります。加熱しても安心できない食中毒の対策法・予防法を分かりやすく解説します。
「チャーハン症候群」とは、「セレウス菌による食中毒」のことで正式な病名ではありません。ネットを中心に広まった俗称です。加熱しても予防が難しく、チャーハン以外の食品でも発生します。原因と対策法、適切な予防法について、分かりやすく解説します。
チャーハン症候群の症状・死亡例は? 原因となる料理
「チャーハン症候群」という名前から誤解されがちですが、チャーハンだけが原因となるわけではありません。セレウス菌が繁殖した食品を食べることで起こる食中毒ですので、ピラフ、パスタ、焼きそばなどでも起こりやすいです。下痢や嘔吐などの症状が起こります。
命にかかわる例はごくまれですが、「5日前のパスタを食べた20歳の学生がチャーハン症候群により亡くなった事例」が知られています。珍しいケースとは言え死亡例は無視できませんので、十分な注意が必要です。
また、チャーハンは中華料理の1つですので、アジア圏の病気と思われるかもしれませんが、意外にもその起源はヨーロッパです。1970年代のイギリスで、チャーハンによる食中毒患者からセレウス菌が検出され、その後も欧米各国で同様の事例が報告されました。
2023年にアメリカの医師がネット記事で“fried rice syndrome”と呼んだのが始まりといわれています。それをそのまま和訳した用語が「チャーハン症候群」です。
セレウス菌の特徴……「芽胞」状態では、熱や消毒用エタノールも効きにくい
セレウス菌は土壌中に生息する「土壌細菌」の一種です。土壌だけでなく、水やほこりなどの自然環境に、広く存在します。米や麦などの穀物、野菜に付着することは珍しくなく、健康な成人の腸内にも、常在菌として10%程度の割合で常在します。
微量であれば、通常は問題になりません。しかし増殖して大量に増えると、毒素を産生し、下痢や嘔吐を伴う食中毒を起こします。
なお、下痢は、腸内でセレウス菌が増殖するときに生成する「エンテロトキシン」という毒素によって生じ、嘔吐は、「セレウリド」という別の毒素によって生じます。
そして、セレウス菌の最大の特徴は、「芽胞」を形成することです。芽胞は、植物でいう「種子」のようなもので、堅い殻を持ち、加熱・乾燥・紫外線・消毒用エタノールなどに強い耐性を示します。
厳しい環境下では芽胞の形で耐えて生存し、環境が好条件(※セレウス菌は好気性なので、酸素が存在している環境が好条件に相当します)になると、殻から抜け出して「栄養細胞」となります。その後、細胞分裂し、数をどんどん増やすのです。
再び環境が悪くなると、また芽胞を形成することを繰り返します。栄養細胞の形だと、100℃で10分間加熱すれば大部分が不活化しますが、芽胞だと100℃で30分間の加熱にも耐えられますし、消毒用エタノールも効きません。
強火で加熱しても危険? 「チャーハン症候群」の発生メカニズム
強火で調理したチャーハンは安全だと思われがちですが、セレウス菌が芽胞の状態だった場合、調理中に死滅しません。そのため調理後に室温で長時間放置されると、発芽・増殖し、食べると下痢や嘔吐を起こします。再加熱しても、芽胞があれば再び増殖します。特に28~35℃は菌が最も活発になる温度ですので、夏場は危険です。
また、セレウス菌は増殖しても、食材からは特段の腐敗臭のようなものはしません。においをかいで「大丈夫そうだ」と判断しないようにしましょう。
「チャーハン症候群」による食中毒の対策法・予防法
「チャーハン症候群」を防ぐためには、加熱やにおいによる安全性を過信せず、セレウス菌を増殖させないための工夫が大切です。基本となる以下のポイントを押さえましょう。
・調理後はすぐに食べる
・作り置きは急速冷却してから保存
・お弁当も室温で冷ますのではなく、保冷剤や冷蔵庫で素早く冷やす
「チャーハン症候群」は、お弁当でも起こる可能性があります。実際に2023年9月には、青森県の製造会社の弁当からセレウス菌が検出され、全国で554人が腹痛や嘔吐を発症する大規模な食中毒事故が起こりました。
朝は忙しいと思いますが、作りたてのお弁当を温かいままふたをして持ち運ぶと食中毒のリスクが上がります。室温で冷ましてからふたをするように気を付けている人は多いと思いますが、夏場はそれでも不十分です。
室温で冷ましている間にセレウス菌が増殖する可能性がありますので、保冷剤や冷蔵庫などを利用し、急速に冷やした上で持ち運ぶことが大切です。
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)
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