件数を数えて「半々だよ」と返した夜、俺が遡って気づいた本当の問題
届いた一通
ソファでスマホを見ていると、彼女から「いつも私から連絡してる気がする」とメッセージが届きました。読んだ瞬間、まず違和感がありました。本当にそうだったかな、と。俺だってちゃんと連絡しているつもりです。少なくとも、ほったらかしにしている自覚はありませんでした。
ただ、感覚で「そんなことないよ」と返すと、また話が長引きそうな気がしました。だったらデータで返したほうが早い。俺の悪い癖です。
「ちょっと待って、見てみる」とだけ送って、トーク画面を上にスクロールし始めました。
数字で答えたつもりだった
先月分のメッセージを、自分の発言と彼女の発言、それぞれ数えました。指で画面をタップしながら、心の中でメモを取っていきます。先月、俺から38件、彼女から41件。今月の途中までで、ほぼ同じ比率。
データを集計し終わって、「先月、俺から38件、君から41件。半々だよ」と送りました。これで誤解は解けるはず。そう思っていました。
それなのに、送ったあとから返事が来ません。30分。1時間。既読はついているのに、彼女からのメッセージが止まったまま、画面の時計だけが進んでいきました。
自分の返信を見直して
何かを間違えたのだと、ようやく察しがつきました。違和感を覚えながら、俺は今度は自分の返信だけを上から追い直しました。
「了解」「OK」「いいよ」「うん」「わかった」同じような短い言葉が、何十件も並んでいたのです。横には、彼女の長い文章。仕事であった話、見つけたお店、休みの日の予定。彼女が時間をかけて打った文章の隣に、俺の短いひとことが貼り付いていました。
彼女が言いたかったのは、件数の話ではなかったのだと、そこでようやくわかったのです。
そして...
翌朝、彼女から「おはよう」と届きました。いつもなら反射的に「おはよう」とだけ返すところですが、今日はすぐに打てませんでした。何を打てばいいのか、考えてもうまくまとまりません。
結局、出てきた言葉は「おはよう」だけでした。送信ボタンを押した瞬間、また同じことを繰り返したと感じました。気づくのは一晩でも、変わるのはこんなに難しいのだと、画面を見つめながら思います。それでも、昨日まで気づきもしなかった自分よりは、ほんの少しでも前に進めたはず。
次に彼女が話しかけてくれたとき、ちゃんと返事をしようと、それだけは決めました。
(20代男性・エンジニア)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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