何気なく投げた「あんたがリーダーとか無理でしょ」が、10年後に自分の軽さとして返ってきた話
あの頃の私が放った一言
高3の文化祭実行委員会の候補に、クラスの一人の名前が挙がったとき、私はとっさに「あんたがリーダーとか無理でしょ」と笑いました。クラスの真ん中で目立っていた私には、悪気もなければ深い意味もなく、軽い冗談のつもりでした。周りの友達も笑い、彼女は黙ってうつむいていました。それから10年、私はその言葉のことなんてすっかり忘れて生きていました。
彼女の自己紹介
同窓会の会場は、地元の駅前の居酒屋の個室でした。受付で偶然彼女と目が合い、私はとっさに「久しぶり!」と笑顔を作りました。乾杯のあと、一人ずつ近況を話す時間になりました。
順番が回ってきた彼女は、落ち着いた声で「人材会社で12人のチームを任されています」と短く話しました。周囲から「すごい!」と拍手が起こりました。私は手元のグラスを握ったまま、笑顔を作るのが間に合いませんでした。10年前の自分の声が、頭の中ではっきりと再生されたのです。
「ごめんね」と口にするまで
席替えで私は彼女の隣に座り、「すごいね、見違えた」と話しかけました。「ありがとう」と彼女は穏やかに返してくれました。私は自分の話を始めました。結婚して子どもがいること、最近パートを始めたこと。
話しているうちに、自分が当時の話題を避けていることに気づきました。覚悟を決めて顔を上げ聞きました。「高3の時の文化祭のあれ、覚えてる?」。彼女は迷わず「覚えてる」と答えました。私は頭を下げて言いました。「ごめんね、あの時の私、何も考えずに言ってたんだと思う」。
そして...
帰宅後、子どもを寝かしつけたあと、私はキッチンの椅子に座り込んでいました。10年前、軽く投げた一言を彼女がずっと覚えていたこと。それを覚えていなかった自分のほうが、ずっと罪深いのかもしれない。翌朝、彼女から短いメッセージが届きました。「昨日はありがとう。元気でいてね」。怒りも嫌味もない、淡々とした文面でした。返信を打とうとして、何度も書きかけては消しました。簡単に許してもらえるはずがないことだけは、ようやくわかった気がします。
(20代女性・パート事務)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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