「風邪ひいた」と送ったら彼から「スポーツドリンク」だけ。冷たいと感じて「何それ」と返した私が、続いて届いたメッセージに笑ってしまった夜
「スポーツドリンク」だけ届いた画面
熱で頭がぼんやりしたまま、スマホを手に取りました。連絡をするか少し迷いましたが、週末の予定を彼と話していたこともあり、「風邪ひいた」とだけ送ったのです。大げさな言葉は、なんとなく気が引けました。
返信を待つ時間は、普段よりずっと長く感じました。ようやく通知が鳴って、布団の中で身を起こしかけたその時、届いていたのはたった一単語でした。「スポーツドリンク」。画面を見つめたまま、何度かまばたきしてしまったのです。
大丈夫?とか、どうしたの?じゃないんだ。心配の言葉ひとつもなく「スポーツドリンク」だけ。熱で気持ちが弱っていたのか、胸のあたりがつきんとしました。
「何それ」の返信で動き始めた温度
むっとした気持ちを抑えきれず、「何それ」とだけ打ち込んで送りました。言い過ぎだったかな、と後悔する前に、すぐ続けて通知が鳴ったのです。開いてみると、そこには「買ってく」の文字。
その瞬間、頭の中でパズルのピースが合いました。彼はきっと「スポーツドリンク買っていく」と打とうとして、途中で誤って送信してしまったのだと。慌てている彼の指先が目に浮かんで、さっきまでの刺々しさが、すっとほどけていきました。
「え」と返すと、また少し間を置いて「あとゼリー」。その短さがなぜだかとてもおかしくて、毛布を口元に引き寄せて、ふっと笑ってしまったのです。
少しずつ積み重なる優しさ
やりとりはぶつ切りなのに、画面の向こうで彼が走り回っている気配が、不思議と伝わってきたのです。
文章を書くのが苦手な彼だということは、付き合って1年半の私が一番よく知っていました。普段の連絡も、最低限の一言ばかり。今日のやりとりも、いつも通りといえばいつも通りだったのです。違ったのは、その短い言葉の先に、具体的な行動がまっすぐ繋がっていたことでした。
30分もしないうちに、玄関のインターホンが鳴りました。ドアを開けると、息を少し切らした彼が、コンビニの袋を両手にぶら下げて立っていたのです。
そして…
袋の中身は、本当にスポーツドリンクと、いくつかのゼリーでした。ほかにものど飴、レトルトのおかゆ。私が何も頼まなかったはずなのに、必要そうなものが一通り入っていたのです。
思わず「メッセージは下手だけど行動は早いね」と言いました。彼は照れくさそうに笑いながら、黙ってスポーツドリンクのキャップを開けてくれました。短い言葉しか送れない人が、こうしてそっと寄り添ってくれる。彼を特別に優しく感じられたのでした。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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