「足を引っ張る子を入れないで」と言った私→運動会の後、息子に泣いて謝った話
あそこで抜かされるんだよね
小学3年生の息子は足が速く、リレーの選手に選ばれることが毎年の楽しみでした。ところが今年、同じチームに一人だけ明らかに走るのが遅い子がいたのです。その子のところで順位が落ちるのが目に見えてわかりました。
息子も帰り道に「あそこで抜かされるんだよね」とこぼしていて、その悔しそうな顔を見るうちに、私まで胸がざわつくようになっていたのです。
個人面談の帰り際に
その気持ちが抑えられなくなったのは、個人面談の日でした。面談が終わり、席を立ちかけたとき、気づけば口に出していました。「リレーのことなんですが、足を引っ張る子を入れないでほしいんです」
先生は少し間を置いて、穏やかに返しました。
「全員で走ることに意味があると考えています」
それ以上は言えず、教室を出ました。廊下で、同じクラスの保護者とすれ違いました。会釈を返してくれたその方の表情が少しこわばっていたことに、そのときの私は気づいていませんでした。
運動会の日に見たもの
当日、息子は第3走者でしっかり差を広げました。最終走者はあの子です。バトンを受け取り、懸命に腕を振って走っていましたが、後ろからじわじわ追いつかれ、最後は抜かされてのゴール。結果は3位でした。
でもゴールしたあの子は、泣きそうなのに必死に笑っていました。息子が駆け寄って背中をぽんと叩いたのが見えました。
帰り道、息子がぽつりと言いました。「あの子、毎朝ひとりで校庭走ってたんだよ。お母さんが先生に言ったこと、知ってたみたい」足が止まりました。
そして...
家に帰り、息子の前に正座しました。「ごめんね。お母さん、ひどいことを言ってしまった」涙が止まりませんでした。息子は「怒ってたんじゃないよ。ただ、あの子がかわいそうだったんだ」と、まっすぐ私を見て言いました。
息子のためだと思い込んでいたあの言葉は、誰のためにもなっていなかった。毎朝ひとりで走り続けていたあの子の努力を踏みにじったのは私です。
あの子のお母さんに、どう声をかけたらいいのか、まだ答えは見つかりません。でも翌朝、私は初めて校庭に目を向けて、朝練に出かける息子を見送りました。逃げてはいけないと、そう思うようにしています。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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