「もっとオシャレしなよ」が口癖の先輩→リサイクルショップで見かけた姿に、何も言えなくなった
先輩の口癖
入社して2年目の春のことです。3つ年上の先輩はいつも素敵な服を着こなしていて、社内でも「おしゃれな人」として知られていました。ただ、その先輩には口癖がありました。
「もっとオシャレしなよ」
お昼休みにすれ違うたびに、私の服装を上から下までちらっと見てそう言うのです。
「その服、先週も着てなかった?」「第一印象で損してるよ」
悪気はないのかもしれません。でも、言われるたびに朝選んだ服が急に恥ずかしくなりました。
笑って受け流す日々
同僚に相談すると「あの人、面倒見がいいだけだよ」と返されました。そう思おうとしました。でも先輩の視線が私の服に止まるたびに、胃の奥がきゅっと縮むのです。
給料のほとんどが家賃と奨学金の返済に消える生活で、毎週新しい服を買う余裕はありません。「気にしすぎだ」と自分に言い聞かせながらも、朝クローゼットの前に立つ時間だけがどんどん長くなっていきました。
駅前のリサイクルショップで
ある金曜の夜、駅前のリサイクルショップに立ち寄りました。少しでも安く夏服を揃えたくて入った店の奥に、見覚えのあるシルエットがありました。
先輩です。
カウンターに大きな紙袋を置いて、店員と何かやり取りをしています。袋の口から見えたのは、先週のクライアント会議で着ていたあのジャケット。そしてブラウスやスカートが次々とカウンターに並べられていきます。
先輩が振り返り、目が合いました。ふたりとも、その場から動けませんでした。声をかけようとしましたが、言葉が出てきませんでした。
そして...
翌週の月曜日、先輩は私の服について何も言いませんでした。その翌日も、その次の日も。「もっとオシャレしなよ」がもう聞こえてきません。ほっとしたはずなのに、胸のあたりがざわざわして落ち着かないのです。
毎週違う服を着ていた先輩。その服がどこから来て、どこへ行くのか。あの紙袋の中身を思い出すたび、「オシャレしなよ」という言葉がまったく違う響きで耳の奥に残ります。
(20代女性・広告代理店)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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