年収の話ばかりしていた私が、初めてうちに来てくれた彼女に家計の本音を打ち明けた日
お金の話しかできない理由
結婚した当初、夫の収入が私の思っていたより少ないことを知りました。マンションを買う話は立ち消えになり、家計は毎月ギリギリで回しています。表向きにはわからないように暮らしてきたつもりでしたが、胸の奥にはいつも、焦りに似た感覚がありました。
習い事の待合室でほかのお母さんと話すとき、なぜか自分から「うちの旦那って年収〇〇万あるんだけど、この辺だとそれでもギリギリだよね」と口をついて出てしまうのです。嘘ではないけれど、盛ってもいる。まるで、自分がそういう世界の住人であるかのように振る舞わないと、その場にいられないような気がしていました。
気づいていた、あの距離
彼女が少しずつ遠ざかっていくのは、わかっていました。待合室の席を選ぶとき、以前よりこちらに来ない。グループチャットの返信が遅くなる。そういう小さなサインが積み重なるたびに、胸の奥がきゅっとなる感覚がしました。
でも直せなかった。「お金の話はやめよう」と思っても、次に会うと同じ話をしている。癖になっていたのか、それとも本当はやめたくなかったのか。自分でもわからないまま、子どもたちが仲良しでいてくれることだけを、ひそかにありがたく思っていました。
初めて家に来た日
子どもたちが遊びたいと言い出して、彼女がうちに来ることになった日、朝から落ち着きませんでした。うちの家の中を見られることが、怖かったのです。質素な家具、古いカーテン、棚に並ぶ安いものたち。私の言ってきたことと、全部食い違う。
でも彼女は何も言いませんでした。子ども部屋を覗いて、壁の手書きのメモをじっと見て、ただそこに立っていました。お茶を出しながら、気づいたら言っていました。「うちって全然お金ないんだよね、実は」。
こんなこと、誰かに言ったことは一度もなかったのに。
そして…
彼女は驚いた顔をしましたが、否定も肯定もせず、ただ少しだけ頷いてくれました。その小さな反応が、どうしようもなく嬉しかった。
年収の話をやめられなかったのは、きっと誰かに「本当のこと」を打ち明けたかったからなのかもしれません。遠回りすぎて自分でもわかっていなかったけれど。彼女がうちに来てくれた日、私は初めて、今のままの自分で誰かの隣に座れた気がしました。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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