使い捨て同然で退職した私→機械が止まり、元職場から助けを求める連絡が届いた
誰にも評価されなかった10年間
私が勤めていたのは、従業員30名ほどの小さな製造会社でした。入社してすぐに配属されたのは、工場の機械メンテナンス部門。といっても、担当者は私ひとりだけ。古い機械が多く、マニュアルもない状態から、試行錯誤で技術を身につけてきました。
機械が止まれば生産ラインが止まる。だからこそ、休日でも呼び出されることは珍しくありませんでした。それでも「縁の下の力持ち」として会社を支えている自負がありました。ただ、女性だからと上司からの評価は常に低く、昇給もほとんどなし。「機械が動いて当然」という空気の中で、私の仕事は見えないものとして扱われ続けていたのです。
突然の退職勧奨と、使い捨ての現実
転機は、会社の業績が傾き始めた頃でした。人員削減の話が出たとき、真っ先に名前が挙がったのは私だったのです。上司から届いたメッセージには、こう書かれていました。
「メンテナンスは外注で対応できるから、今月末で退職してもらえないか」
私は短く「わかりました」とだけ返信しましたが、10年以上積み上げてきたものが、たった一通で否定された気持ちでした。悔しさと虚しさが込み上げましたが、引き止められることもなく、私は退職届を出しました。会社にとって、私はその程度の存在だったのだと、そのとき痛感したのです。
届いた助けを求めるメッセージ
退職から2カ月が過ぎた頃、見慣れた名前の人からメッセージが届きました。元上司からでした。
「工場のメイン機械が止まって、外注業者も手が出せない状態。お願いだから見に来てくれないか」
続けてこうも書かれていました。
「君しかわからない機械だから。助けてほしい」
読んだ瞬間、複雑な感情が押し寄せてきました。あれほど軽く扱われたのに、困ったときだけ頼ってくる。その都合の良さに呆れる一方で、どこか予想していた自分もいました。外注では対応できない。それは、私が誰よりもわかっていたことでしたから。
そして...
私は少し考えてから、返信を打ちました。
「申し訳ありませんが、現在は別の会社でお世話になっています。対応は難しいです」
それ以上は何も書きませんでした。恨み言も、皮肉も必要ないと思ったからです。退職後、私は自分の技術を必要としてくれる会社に転職していました。今の職場では、メンテナンスの重要性をきちんと理解してもらえています。
あの会社がその後どうなったかは知りません。ただ、私はもう振り返るつもりはないのです。自分を大切にしてくれる場所で、これからも技術を磨いていこう。そう心に決めて、私は新しい毎日を歩み始めています。
(40代女性・技術職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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