チャーハン、焼きそばなど 一点主義の専門店がはやるワケ

近年、一つの料理カテゴリーに特化した「一品を基本軸にしたの専門店」の出店が目立っている。ラーメン店やカレー店のような従来型単一メニュー店の延長ではなく、そのあり方に変化が見られるのが特徴だ。
バリエーションで勝負
現在の専門店は「一品を軸にしながら多様なバリエーションを展開する」点に新しさがある。例えばチャーハンや焼きそばの専門店では、ベースになる基本メニューの完成度を高め、そのベースに味付けやトッピングのバリエーションを増やし選択肢のあるメニュー構成を作っている。焼きそば専門店では、ソース焼きそばに加えて、塩味にしょうゆ、ナポリタン味やカレー味など従来の概念から脱皮し、驚きや新しさを見いだす手法を作っている。
一メニュー主義の店では「とりあえず選択肢を増やした」といった変化では客はついてこないため、ベースとなる基本の一品の質が極めて重要になり「この一品で勝負する」という完成度が不可欠となる。
さらに現代の消費者心理も、一品主義の店の台頭を後押ししている。多くのメニューが主菜と副菜の両方の要素をあわせもち、複数の料理を選ばずとも満腹感が得られるメニューである点も特徴だ。
情報過多の時代には「選ぶこと」自体が疲労感を生む。加えて常に迅速な判断が求められているためタイムパフォーマンス志向も強まり、短時間で確実な選択をしたい欲求が高い。失敗を恐れる傾向もある。
客同士の共感も
そういった点において、一品専門店は提供される料理が明確でわかりやすく、大きな失敗はしないという確実性を感じられ挑戦しやすい。入店前から何を食べるか想像ができる安心感が、客の来店ハードルを下げ、注文までの時間短縮にもつなげている。また、価格の幅も広くは無いので、金額をあまり気にせずに全てのメニューから選びやすいといったメリットもある。
加えて、同じメニューを好むことが明白なため、客同士の共感が生まれやすいのもこの業態の特徴である。例えば焼きそば専門店には焼きそば好きが来店し、客のほぼ全員が焼きそばを食べる。店が高共感空間となるため、心地良さや満足度がおのずと高くなる。
店舗側にとっても、食品ロスの軽減やオペレーション効率化、器材や設備の低投資など多くの利点がある。また、ベースの味を一つに決めることで、アレンジも容易に生まれやすく定期的に新メニューを投入しやすい。
総じて、一品主義の専門店は、現代の消費者にとって極めてわかりやすく合理的で満足感が得やすい食事時間が期待できる業態といえるのではないだろうか。
(日本食糧新聞社/トータルフード・小倉朋子)
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