モンチッチが再ブレーク 静かな熱狂で“100年IP”へ、アパレル協業は「密度の濃さ」

ぬいぐるみ・人形など主力のセキグチのオリジナルキャラクター「モンチッチ」関連商品が売れている。若年層やインバウンドもつかみ、一部商品は生産が追い付かないほどだ。OEM・ODM(相手先ブランドによる設計・生産)のレオンと組んで、アパレルとの協業も増やしている。
(高塩夏彦)
50年を超える歴史
モンチッチの誕生は1974年。セルロイドやソフトビニル製の人形を得意としてきた同社が、表情豊かな人形の良さとぬいぐるみの柔らかさを組み合わせた商品として開発した。新鮮さと愛らしい見た目が受け、国内だけでなくドイツ語圏中心とした欧州でも売れるヒット商品となった。
80年代半ばに一度、日本での販売を休止したが、90年代に復活。以降は周年ごとにイベントや新キャラクター「ベビチッチ」の開発などに取り組んできた。しかし「根強いファンに支えられつつ、70年代のような社会現象には届いていなかった」(幡野友紀セキグチIP部シニアマネージャー)。
23年ごろに潮目が変わった。50周年を控えてメディア露出などを増やしたところ、元々の知名度の高さもあって卸先や期間限定店での売り上げが急激に上向いた。国内外の著名人に愛好家が現れ、若い新規客やインバウンドによる購買も増えた。

誕生当社から人気のぬいぐるみに加え、近年は小型のキーホルダータイプが特に売れる。カラーを拡充したところ、バッグなどにつけて持ち運びたい若年層の需要をつかんだ。
勢いは止まらず25年に松屋銀座本店で開いた催事では、13日間の会期で約1億円を売り上げた。同年秋に京都に出した常設展は、約5平方メートルと狭小だが、月商は2500万円と高い坪売り効率を誇る。
アパレルからも熱視線
モンチッチの売り上げが急増する少し前、可能性を感じたレオンの林真吾社長は、セキグチへ飛び込みで協業を打診した。「50年の歴史を背景とした家族3代にわたる知名度は、IP(知的財産)大国の日本でも飛び抜けたポテンシャルがある」(林社長)。
レオンが担うのは既存取引先の大手アパレルとの橋渡し役、商品の企画支援、製造などだ。しかし、やみくもに手を広げる気はないという。「はやっているからという理由で安易な協業を増やせば、一過性のブームとなってIPの寿命を縮めかねない」とみる。
セキグチ側の意見も同じだ。「セキグチの26年2月期の売上高は過去最高を記録したが、数字よりもモンチッチを100年続くキャラクターにすることが大事。丁寧にIPを管理したい」(幡野シニアマネージャー)。
モンチッチの魅力や歴史に共感してくれるブランドのみと組み、互いを引き立て合う「密度の濃い」協業をしたい考えだ。例えば、レオンの生産背景を生かして、服以外に雑貨や菓子などを企画し、売り場ごと作り込むような形を理想とする。既にバロックジャパンリミテッドの「リエンダ」などと実績がある。進行中の企画も多く、今秋冬から本格化する。
「再ブーム、再ブレークで終わらないようにしたい。何度も何年も繰り返せるようなウィンウィンの協業を増やしていきたい」と幡野シニアマネージャー。林社長は「モンチッチとの取り組みがファッション業界の活性化の一助になれば」と意気込む。
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