モノが少ないからこそ幸せ♡シンプルに暮らす人が大切にしている【5つの習慣】

2025.10.23 17:05

私たちは、情報やモノ、人間関係に囲まれ、知らず知らずのうちに心に荷物を抱えて生きています。そんな時代に思い出したいのが、江戸時代の禅僧・良寛さんの生き方です。しがらみを捨て、流れに身を任せ、独りを楽しみ、ありのままを受け入れ、自分を俯瞰する。そんな良寛さんから、心を整えるヒントを探ってみませんか。

良寛さんとは

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みなさまは良寛さんをご存じでしょうか。良寛さんは,
江戸時代末期の禅僧、詩人、歌人、書家。越後の名家の長男に生まれながらも、18歳で出家し、厳しい修行を行い34歳で諸国修行の旅に出ます。

寺をもたず、日々托鉢で暮らし、真言宗や、浄土宗、日蓮宗、神道にも通じた僧侶。その暮らしぶりは、今で言うところのミニマリストの先駆けのようです。

良寛さんは身軽に生きる上で、大切にしていたコツがいくつかありました。それは、「捨、縁、独、露、書」。大まかにこの5つではないかと思います。私自身も、良寛さんの身軽に生きるコツを、参考にしています。今回は私の実践している5つのことを禅語を交えながら紹介したいと思います。

【捨】しがらみを手放す

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新潟の出雲崎の名主の長男として生まれた良寛さん。幼い頃から賢く勉学に励んだ一方で、動きが鈍く引っ込み思案でした。18才で名主見習いとして父の元で働きますが、社会の喧騒に耐えられなくなり、出家を決意します。地位や、名誉を、全て失ったのですが、この決断がなければ、その後、皆に愛される「良寛さん」は生まれてはいないでしょう。

禅語に放下着(ほうげじゃく)という言葉があります。一切の執着、心を縛り固めるものを捨て去るという意味。しがらみで凝り固まった心が、解き放たれ、新たな道が開けるという教えです。

私も1日1つ、心に引っ掛かっていることや、やらなければならないことに片を付けるようにしています。リサイクルに出すペットボトルを回収ボックスに入れにいったり、昨日の残り物を食べきったり、謝りたい相手がいたら、後回しにせずにちゃんと気持ちを伝えたり。心や動きを縛るものに決着をつけるのです。

【縁】流れに身を任せる

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出家してからの良寛さんは、ご縁に身を任せて生きました。ご縁があると感じれば、先がどうなるかまったくわからなくても、腹をくくり、ご縁に身を任せその世界に飛び込みました。それはとても勇気のいることだったと思います。

「飛び込んだ力で浮かぶ蚊かな」という良寛さんの句があります。水に飛び込んだ蚊が、その勢いでふわりと浮き上がってくるのです。まさに仏の世界に、身ひとつで飛び込み、本質を見極めた良寛さんそのものです。

禅語に、任運自在(にんうんじざい)という言葉があります。どうしようもないことは、流れに身を任せてみる。生きる勇気を失わなければ、きっと良い方向に運んでくれるという教えです。

私もそれに習い、1日の予定はあまりハッキリ決めませんし、今日より先のこともきっちりは決めて動きません。人付き合いもご縁に任せます。予定を立てすぎると、それに縛られてフットワークが重くなる上に、予定通りにいかなくなると落胆も大きいから。

問題が起きても、今できる対処をしたら、後は「なんとかなるさ」と腰をすえて、流れに身を任せるようにしています。じたばたしても解決しないし、今あるご縁を大切にしていれば、道は開けると思っています。

【独】自分と向き合う

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岡山の円通寺で、12年間、修行に励んだ良寛さんですが、師と仰いだ国仙和尚の逝去後、寺を出て諸国行脚の旅に出ます。

諸国行脚とは、野宿をしたり、民家の軒先や納屋で、仮眠をとりながら、托鉢だけに頼って、各地を放浪するというもの。いわば乞食旅です。明日の食事が、摂れるかどうかもわからない、先の見えないどん底で、孤独な日々を送るうちに、外に向かっていた視点が、自己の内側に向けられるようになりました。ルールやこだわりに縛られない、本当の自分を見つけることができたのです。

こんな禅語があります。閑坐聴松風(かんざしてしょうふうをきく)。内なる声に耳を傾けるという意味。人混みの中では聞こえない、静かな時間を持つことで、心の芯をつかむことができるという教えです。

独りでいることは、なんだか寂しいことだと思う方も、いらっしゃることでしょう。ですが私は、独りの時間が大好きです。ぼーとお茶を飲んだり、趣味に没頭したり、独りで旅行したり。良寛さんに習い、独りの時間を持ち、自分を見つめることで、自分は何が好きで、どんなことを思うのか、たくさんの人の中で埋もれてしまっていた自分を再発掘するんです。そうすることで、自分という「軸」がしっかりとしてきます。

【露】ありのままを受け入れる

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穏やかな性格の良寛さんの周りには、いつも人々が集まってきたそうです。その中には、子供たちや、貧しい人たちもいました。良寛さんは、そんな人々に対しても、いつも同じ目線で接したそうです。相手の弱さを認め、それを責めることはしませんでした。良寛さん本人もまた、ありのままの自分を、大切にされていました。そんな良寛さんの人柄が、さらに人々を惹き付けたのでしょう。

禅のことばに「主人公」(しゅじんこう)という言葉があります。物語の主人公という意味もありますが、禅では、いい人をやめるという意味です。人に合わせてばかりでなく、本来の自分を認め、大切にすることが、自分の人生を生きるということだと、教えてくれる言葉です。

心に不自由さを感じる一番の原因は、自分に嘘をつくことだと思うんです。誰かに合わせることは大切ですが、自分を偽ってまで合わせていると、いつか心と体の帳尻が合わなくなり、不調をきたしてしまいます。

また人に対しても、ありのままを受け入れて付き合うことを、大切にしています。違いを認め、補い合うことが、芯の強い人間関係を、構築できるのではないかと思うのです。

【書】俯瞰する

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良寛さんは、感じたことや、経験を、言葉にする、高い言語化力をお持ちでした。良寛さんは、僧の役目は「座標軸を、人々に思い出させることにある」とお考えでした。日々の暮らしや、修行で感じた、生きるためのコツのようなものを、詩や書にして残すことを大切になさったのです。また、その書くという作業は、自分自身の戒めとしても行っていました。それは「戒語」として、いつでも目にはいる位置に貼っていたそうです。

お寺の玄関でよく目にする、脚下照顧(きゃっかしょうこ)という言葉。これは「自分の足元をよく見なさい」という意味。足元を疎かにせず、足るを知り、今しなければならないことに、しっかりと目を向けよという教えです。

この教えにもあるように、自分自身を俯瞰することがぶれない軸を保つためには、欠かせないということです。少し前に「ジャーナリング」という言葉をよく目にしました。頭に浮かんだことを、ありのまま紙に書き出すことで、思考や感情を整理するというもの。私は好きな本を読みながら、その時に心に響いた言葉を、ノートに書いていくようにしています。これもジャーナリングと同じように、心を俯瞰するのにはぴったりなんです。

その時の心の持ちようで、拾い出す言葉も変わります。それらを文字にして、改めて視界に入れることで、思考や感情を整理するようにしています。

身軽な生き方

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良寛さんの詠んだ句で、特に私の好きなこんな句があります。

「たくほどは風がもてくる落葉かな」
(わずかな煮炊きに必要な燃料は、風に散り落ちる落ち葉で足りるのです)

これは諸国行脚を終えた後に、故郷の新潟に帰り、20年ほど定住した、五合庵で詠んだ句です。私に必要なのは、雨風をしのげる家と、心通える仲間がいれば、それで良いという意味だったようです。

その暮らしぶりは「清貧」そのものでしたが、良寛さんはそれを楽しんでおられたようです。この思考は、ミニマリストやシンプリストの思考の軸となる生き方のように思います。そんな良寛さんの教えは、物質社会に生きる私たちに「本当の豊かさとは何か」を、今もなお、問いかけてくれているのです。

この記事をきっかけにみなさまも「良寛的生き方」を実践してみてはいかがでしょうか。
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