

<ロックは淑女の嗜みでして>「何よりも必要なのは“熱さ”」制作現場の“セッション”をプロデューサーが語る

アニメ「ロックは淑女の嗜みでして」(毎週木曜夜11時56分~、TBS系/ABEMA・FOD・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)がいよいよクライマックスを迎えている。親の再婚で庶民から急にお嬢様となった主人公・鈴ノ宮りりさ。彼女がお嬢様のみが通う学園=「桜心女学園高等部」で、黒鉄音羽と出会い、物語が動き出す本作。ロックへのピュアな情熱を燃やすキャラクターたちに心熱くなる視聴者も多いことだろう。最大の魅力であるパワフルな演奏シーン、声優陣の熱演について、西ヶ谷英武プロデューサーを直撃。観る者の心に火を点けるエモーショナルは、どのように生み出されているのかを聞いた。
心に突き刺さるセリフが感動的
――「ヤングアニマル」(白泉社)で連載中の原作ですが、まずアニメ化の経緯について教えてください。
原作の「ロックは淑女の嗜みでして」は、以前から拝読しておりまして、“インストゥルメンタルロック”と“お嬢様”という二つの全く異なる要素のギャップが非常に際立っていて面白いなと思っていました。また、昨今のアニメにおいて『ガールズバンドもの』というジャンルは一つの潮流。その中で、アニメプロデューサーとしては、一石を投じるではないですが――題材の面白さで他作品と差別化が図れると思いました。
――福田宏先生の原作にはどのような魅力を?
何よりも“熱さ”ですね。加えて、キャラクターたちに語らせるワードのセンスが抜群なんです。それぞれのセリフが計算されていて、キャラクターの魅力やストーリーの芯を強く感じさせてくれる。特に、庶民出身ながら上流の世界で自分を隠しながら学園生活を過ごすりりさが、ロックを通じて内面を爆発させる様子が魅力的ですよね。
――りりさ以外でも音羽の「“好き”以外にやる理由があるなら教えてください」など、心に刺さるセリフがたくさんあります。西ヶ谷Pは印象に残っているセリフはありますか?
一つ挙げるとすればアニメの第8話です。りりさと音羽、ティナ、環が初めて音を合わせるシーンですね。その中で、初心者であるキーボードのティナの演奏が下手で、環がクビを宣告する。それを止めるりりさが、「どうしてそこまで、そいつをバンドに残したいんだ?」と環から聞かれ、「自分らしく生きたいとあがく奴とロックしたいからよ!」と語る場面はすごくグッときて感動的でした。
「BAND-MAIDさんには感謝しかありません」
――本作の綿田慎也監督とは、どのように制作を進められましたか。
まず原作へのリスペクトを強く持って臨まれていますね。もう一つは「ロック」という言葉について。ロックって世代や文化によって捉え方が異なりますから。そこは監督ご自身も非常に苦労されて、「これが正解なのか?」と常に自身に問いながら制作されていました。
――演奏シーンもリアルで素晴らしいですよね。実際、音楽に関してはどのように作っていかれたのでしょうか。
劇中で彼女たちが演奏する楽曲については、既存曲のカバーで、それをどう表現するのかが鍵でした。実際には、サウンドプロデューサーの野崎心平さんが劇中で使うカバー曲をアレンジし、主題歌を担当頂いているBAND-MAIDさんに演奏頂いています。さらにBAND-MAIDメンバーの方々のモーションキャプチャーを用いて、アニメーション化しました。今回、一曲ごとの難易度が非常に高いため、彼女たちには猛練習をして頂いたと聞きました。BAND-MAIDさんの演奏の収録はアニメ同様、大げさでなく、滴るほどの汗で、体力の限界に挑むような壮絶な現場になりました。迫真の演奏シーンが実現したのはBAND-MAIDさんのおかげで…もう感謝しかありません。
声優陣の役に対しての熱意と愛情
――りりさたちの演奏の熱さは、まさにその現場の“熱”が映っているようですね。そして声優陣の熱演も魅力ですが、まず関根明良さん演じるりりさについてはどのように決まったのでしょうか。
関根さんはお嬢様としての表の顔とロックに傾倒する内面という、二面性のあるキャラクターがオーディションで見事にはまっていました。どちらの顔も自然に出せる方なんですよね。頑張ってお嬢様をやって、ロックをやっているときのほうが“素”という人間くささをお芝居で表現してくださり、非常にりりさにフィットしていましたね。
――音羽役の島袋美由利さんはどんなところが魅力でしたか。
音羽のお嬢様らしさを可憐に表現して頂いているうえに、罵詈雑言で豹変するところはアフレコを拝見していても驚くほどでした。もう間近でお芝居を見ていると正直、恐怖を感じるくらいで(笑)。その圧倒的な声量は、生まれは違うけれどりりさと噛み合っている感じもして、お芝居がまさにセッションのようでしたね。
――では、院瀬見ティナ役の福原綾香さんは?
ふたりとは一線を画す王子様的なキャラクターで、心の弱さも目立つキャラクターですが、その緩急を見事に演じてくださいましたね。現場ではもう立ち居振る舞いから役に入り込んでいるようでした。そもそもティナは、圧倒的に音楽スキルが低い初心者。そこは楽器を触ったことがなかったり、ロックをあまり聴いてこなかった視聴者の方にも共感してもらえるキャラクターになっていると思います。
――なるほど。白矢環役の藤原夏海さんについても教えてください。
実は最初に原作を読んだ際、一番好きなキャラクターが環でした。とにかく藤原さんの声はサディスティックな迫力があるんです(笑)。また、クールの後半は彼女の芯の強さとデレるギャップを上手く演じて頂き、第10話のあるシーンでは環というキャラクターの魅力にあらためて気付かせてもらいました。
――そのアフレコ現場の雰囲気はどうでしたか。
こちらも非常に熱量の高い現場でした。テストから本気で挑んで頂き、制作サイドとしては皆さんの喉が心配になるほどで…。音響監督の菊田浩巳さんが演技のテンポや掛け合いを大切にされて、失敗しても、罵り合うシーンを頭から録り直すこともあって。熱意と愛情を持って皆さんが作品に向き合ってくださいましたね。
個性の融合を楽しみにしてほしい
――花弁が飛び交う場面など、随所でユニークかつエッジの効いた映像表現も冴えわたっていますね。
たとえば、演奏シーンに関しては3Dではあるのですが、それをいかにシームレスに日常の通常のシーンと繋ぐかというところを大切にしています。いろんな演出の方に入って頂き、ダイナミックなカメラワークや臨場感ある映像表現にこだわってくださっています。
――また、コミカルなシーンも愛嬌たっぷりです。
そうですね。僕もりりさがつい庶民的なところを見せてしまい、「やっちまった!」と心の中で絶叫するシーンが好きです(笑)。彼女の素直な一面が表れていて好きですね。
――その学園一のお嬢様の称号=「高潔な乙女(ノーブルメイデン)」を目指し、「お嬢様の自分」を演じ続けるりりさの悪戦苦闘も楽しみです。今後の見どころについても教えてください。
彼女たちがバンドとしてどのようにまとまっていくかが見どころかと思います。りりさと音羽に、ティナと環が入ってそれぞれの個性がどう融合するかを楽しみにしていただきたいですね。また、物語を追うにつれてサウンドの重厚感もさらに増していきますので彼女たちの成長とともに、ぜひアニメで確かめて頂きたいです。
――最後に、プロデューサーとしてやりがいを感じる瞬間はどんなときでしょうか。
僕らが気に入っている部分や意図した表現、メッセージに視聴者が気付いてくださった時はとくに嬉しいです。逆にあまり伝わらなかったところは反省点として今後に活かしています(笑)。お客様が楽しんで頂いていることが見えたときが一番のやりがいですね。結局、僕は絵を描けるわけでもシナリオを書けるわけでもありません。だからこそ、作る過程をしっかり見届け、バトンを繋いで、気持ちが込められたものを視聴者の方に送り届けることが仕事です。観る方が、心の芯で作り手の想いを感じ取っていただけたら、それが最大の喜びです。
■取材・文=河内文博
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