

ル・ボン・マルシェが大型イベント 犬に愛を捧げたパリ百貨店の春物語

この春、左岸のル・ボン・マルシェ(LBM)に、しっぽのある来店客が続々と詰めかけた。カップルや家族連れに抱えられたり引かれたりしてやって来たのは、犬が主役の大型イベント「ジュテーム、犬のごとく」(つまり、「犬みたいにキミを愛してる!」)がお目当てだ。全館(食品フロアを除く)をあげて開催され、ファンたちは尻尾を振るように愛犬と通い詰めた。
(パリ=松井孝予通信員)
仏百貨店初のこの企画、決して奇想天外ではない。少なくとも犬と一緒に暮らす国民にとっては。フランスの民法では14年以降、動物はもはや「動産」ではなく「感受性を備えた生きた存在」として法的に位置づけられ、21年には動物虐待への処罰が強化された。
仏農業省公認の犬籍登録機関「サントラル・カニーヌ」による24年の調査では、中型犬を中心に約760万頭が人と暮らし、飼い主の64%が「犬のいない生活は考えられない」と答えている。コロナ禍では犬たちの存在が人々の心のバランスを支えた。この時期を経て犬との関係はさらに深まり、いま関心が最も高いのはZ世代だという調査結果もある。この流れを受けて、犬を主役にした企画は、必然だったのかもしれない。

館内に入れば、しつけのよいお客様が喜びのあまり、つい「ワン!」と感嘆が聞こえたり。1階から上階へと広がる売り場やギャラリー空間は、犬をモチーフにしたアートや雑貨、アクセサリーで彩られ、思わず犬より人間がはしゃいでしまいそうな世界。毛並みならぬ「センスの良さ」が光っていた。犬の似顔絵が刺繍されたクッション、飼い主と〝お揃い〟のコート、トリュフ風味のビスケットを詰めた人間が食べてもおいしい犬用アフタヌーンティーセット。モード、フード、ライフスタイルが、「犬と人との境界線をあいまいにする」美意識で統一されている。もはや犬は家族以上、コンセプトそのものだ。




そしていかにもLBMらしいのが「文化とウェルネス」のプログラム群。犬と一緒に参加できるヨガクラスでは、ダウンドッグのポーズで本物の犬が横で伸びをする。犬の行動学や栄養学に関するレクチャーには、真剣な顔でメモをとる飼い主がずらり。ドッグカフェでは、「うちの子自慢」をするのが自然な社交となる。
人間と犬がともに育ち合う場。そんな未来型百貨店像が描かれた。でも、本当に犬たちは楽しんでいた? ふと、そう思った。人間が夢中になるほど、犬のまなざしは見えにくくなる。
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