下請法改正案を閣議決定 発注者に価格交渉を義務付け
政府は3月11日、下請け取引適正化を目的とした下請代金支払遅延等防止法(下請法)と下請中小企業振興法(下請振興法)の改正案を閣議決定した。現在開会中の通常国会での成立を目指し、公布から1年以内に施行する。価格転嫁の促進が主な目的で、価格交渉を親事業者に義務付け、下請法の適用基準も見直す。既に26年度の利用廃止を閣議決定した約束手形による支払いの禁止も規定した。用語も見直し、「下請事業者」を「中小受託事業者」、「親事業者」を「委託事業者」、「下請代金」を「製造委託等代金」に改称し、法の名称も変える。
(有井学)
下請法では「中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、委託事業者が必要な説明を行わなかったりするなど、一方的に代金を決定して、中小受託事業者の利益を不当に害する行為」を禁止規定に加える。「発注者が受注者に資金繰りの負担を求める商慣習を見直し、中小受託事業者を保護する」(亀井明紀公正取引委員会経済取引局取引部企業取引課課長)ため、手形払いを禁止するとともに、受注者が現金を受領するまでの期間を現行の120日以内から60日以内に短縮する。
従来は資本金だけだった適用基準に従業員数を加える。製造委託で、委託事業者は「300人超」、中小受託事業者は「300人以下」、サービス業などの役務提供委託で委託事業者は「100人超」、中小受託事業者は「100人以下」にする。「委託事業者が下請法の対象除外を目的に、受託事業者に対して増資を求める行為などを防ぐ」のが目的だ。法の執行を強化するため、事業所管官庁の権限を広げ、大臣による指導・助言を加える。
「立場の弱い物流事業者が、荷役や荷待ちを無償で行わされるなど、荷主・物流事業者間の問題が顕在化している」ことに対応し、発荷主が運送事業者へ運送を委託する取引を下請法、下請振興法の対象にする。
下請振興法では「サプライチェーンの取引段階が深くなるごとに価格転嫁の割合が低いことが課題」(鮫島大幸中小企業庁事業環境部取引課長)とし、2以上の取引段階による事業者の振興事業計画を国が認定し、支援する制度を新設、サプライチェーン全体での価格転嫁を促す。さらに、「全国での価格転嫁を促進する」ため、国と地方公共団体の責務規定を新設。主務大臣の権限を強化し、指導・助言後に改善しない事業者へ具体的措置の実施を促す「勧告」を加える。
法の名称は下請法を「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」、振興法を「受託中小企業振興法」に変える。
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