韓国メンズファッションに革靴文化が普及 注目はソウルの「ユニペア」
近年、韓国のファッションブランドは大きく変化し、日本市場に新しい風を吹かせている。かつての、東大門や南大門の市場で見られるような〝市場ファッション〟や派手なブランドロゴのイメージは一新され、ニッチなファッションブランドが台頭している。プチプライスの商品など以前は品質が不安定とされていたが、最近では異なる評価を受ける。
(ライター=エフグラウンド代表・野田佳代)
特に注目を集めているのが、アイウェアブランドの「ジェントルモンスター」。阪急うめだ本店に進出し、さらに東京青山にも店舗を構える。韓国最大のファッションモールである「ムシンサ」や、Y2Kファッションの代名詞である「マーティン・キム」も日本に進出。韓国国内で8店舗運営し、世界30カ国に卸している「アーダーエラー」も勢いがある。今年に入って阪急うめだ本店や神戸阪急に出店した。
長く楽しめる
かつての韓国ブランドのイメージは払拭(ふっしょく)され、国境を越えたファッションの新たな展開が進む一方、韓国国内のメンズファッション市場は日本ではあまり知られていない。そんな中で注目されているのが、革靴文化の浸透を掲げるユニペア(ソウル市)。シューズセレクトショップから事業を拡大し、韓国のメンズファッションシーンをけん引する。ウォンシック氏とジェヨン氏のカン兄弟が率いる。
トレンドよりもクラシック、長く楽しめる価値に重きを置く。グローバルスタンダードにふさわしいファッションを通じて、韓国のメンズのライフスタイルを向上させたいという思いから起業した。
「ユニペア」では、世界中のグッドイヤーウェルト製法の靴を販売する。「オールデン」や「トリッカーズ」「ジョン・ロブ」「クロケット&ジョーンズ」「カルミナ」など有名な靴メーカーを取り扱い、クラシカルなウェアに合う革靴を履くカルチャーを定着させた。日本のシューズリペアショップである「レッシュ」の韓国初のソウル支店も店内で展開する。
複合施設開く
韓国ではサイズの測定や、スーツやカジュアルなどスタイリングに合わせて革靴を履く文化になじみがなかったため当初のビジネスは容易ではなかったが、徐々に事業を軌道に乗せ、17年にはイギリスのネクタイ専門ブランドである「ドレイクス」のトータルコレクションも立ち上げた。
さらに、21年にはデニム&ミリタリーブランド専門の「ジョスガレージ」を立ち上げ、24年2月には4階建ての複合施設をオープン。アパレルファッションブランドを中心にセレクトする「&ユニペア」やコーヒー豆の専門店なども運営している。今では自社ブランドも販売する。
さらに、アメリカのアウトドアライフスタイルブランド「グラミチ」の韓国初の旗艦店を立ち上げ、フランスの革靴ブランド「パラブーツ」のディストリビューションも手掛ける。
ファッションをテーマにしたユーチューブチャンネル「フッテージ・ブラザーズ」を開設し、約6万人の視聴者に向けた情報発信も行っている。現在の売り上げは、100億ウォン(約11億円)ほど。彼らのビジョンとイノベーションが、韓国のメンズファッションシーンに新しい息吹をもたらしている。
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