「サユリタネイ」デザイナー種井小百合さん 「レディスのオーダーメイドを広めたい」
「日本の女性に服のオーダーメイドを広めたい」と話すのは、デザイナーの種井小百合さん。仏有名メゾンで経験を積み、ジャケットなどのオーダー主力のレディスブランド「サユリタネイ」を運営している。百貨店やレストランなど様々な場所で期間限定店を開き、オーダーの楽しさを伝える。
(高塩夏彦)
パリで学んだもの
仏デザイン専門学校に留学し、「ジャン・ポール・ゴルチエ」でオートクチュールの技術を学んだ。退職後は、パリの百貨店の前で偶然出会った高田賢三氏の元で働き始め、さらに経験を積んだ。
印象的だったのは、フランスでの日本の生地の評価の高さだという。「パリで学んだ技術と国産生地を合わせた自分のブランドを持ちたい」と考え、19年に帰国してサユリタネイを立ち上げた。20年には東京・銀座に小さなオーダーサロンを開いた。
主力アイテムは、トルソーを使った立体裁断でパターンを起こしたジャケットやワンピース。体に美しく沿うシルエットが魅力で、尾州産地などの生地で提案する。中心価格は10万円台。
しかし、運営するうちに、「レディスでオーダーをできる場所はまだ少ない。もっと敷居を下げて、多くの人に着てもらうために、外へ出るべきだ」という思いが生まれた。23年にサロンを閉めて、期間限定店での販売にかじを切った。
ワインと合わせて
開催場所を試行錯誤し、ついに手応えを得たのが、24年5月に東京・渋谷のフレンチレストランで開いた期間限定店だ。ワインを飲みながら、カジュアルにオーダーを楽しめる企画。店の常連客で、仕事を持つ女性たちに受けてよく売れた。
6月には高島屋日本橋店の「サロンルシック」で期間限定店を開いた。外商顧客が多い同店に合わせて、国内外の高級生地を選べるようにした。中心価格は25万円に上げた。
一部持ち込んだ既製品のシャツなどは、ほぼ完売したが、4日間の会期で受注したオーダーはジャケット1着のみだ。しかし、売り上げや数字では見えない収穫があったという。
「お客様の服への意識が高く、生地や縫製の話を熱心に聞いてくれた。新しい客層との出会いにもなり、次につながりそうだ。今回は〝ごあいさつ〟と捉える」。半年ごとに定期開催し、顧客を作る考えだ。次回は、デザインから相談できるフルオーダーも検討する。
地方での期間限定店の開催も視野に入れる。「例えば、ワインとの組み合わせが好評だったから、次は日本酒でも。生地の産地で地場のお酒を飲みながらというのも面白い」。今後も女性とオーダーの接点を増やしていく考えだ。
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