25年春夏欧州メンズファッションウィークの見どころ 自身最後の「ドリス・ヴァン・ノッテン」

2024.06.06 14:00
提供:繊研plus

25年春夏欧州メンズファッションウィークがまもなく始まろうとしている。ロンドン、ミラノ、パリの通信員が今回の見どころを紹介する。

ロンドン クリエイティブカルチャーにスポット

6月7日から3日間にわたって開かれるロンドン・ファッションウィーク・ジュンは、従来のコレクション発表とは違い、ファッションを軸としたロンドンのクリエイティブカルチャーにスポットを当てる新フォーマットのイベントとなる。

40周年を記念して、プログラムには展覧会、パネルディスカッション、デジタルイベントなどを含む40のイベントが組み込まれている。その中で、今年10周年を迎えた「チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイ」に加えて「カシミ」「デンジルパトリック」がショーで、新進デザイナーの「ハリ」がプレゼンテーションで25年春夏のコレクションを発表する。

コロナのパンデミック(世界的大流行)以降、年3回ジェンダーレスのファッションウィークを開催しているロンドンだが、この6月は改めてメンズに焦点を当て、サビル・ロー・テーラーの合同イベント、若手デザイナーの合同展も開かれる。

クリエイティブカルチャーとしては、ロンドンにおける「ブラック」「南アジア」「クィア」の三つのカルチャーを選出。それぞれの現在地を紹介する展覧会を2日間行う。「ブラック」は自己愛、「南アジア」はテキスタイルとクラフトマンシップ、「クィア」は若手クリエイターの声がテーマ。初日の7日は業界関係者、翌日は一般公開される。

(ロンドン=若月美奈通信員)

フィレンツェ/ミラノ オープニング飾る新生「モスキーノ」

6月11~14日にイタリア・フィレンツェで開かれる25年春夏向け「第106回ピッティ・ウオモ」は、ゲストデザイナーとしてメンズのショーを行う「マリーン・セル」に注目したい。「エコ・フューチャリスト」を掲げ、海外セレブからの支持も厚いエッジーなサステイナブルファッションだ。「ピエール・ルイ・マーシャ」は、初のランウェーショーを行い、メンズとレディスを発表する。「プランC」は、初のメンズコレクション。レディスのパターンから着想した10ルックのジェンダーレスなカプセルコレクションを発表する。日本アパレル・ファッション産業協会が主導する「Jクオリティー・ファクトリーブランド・プロジェクト」も再び出展する。

6月14~18日までミラノで開かれる25年春夏向け「ミラノ・ファッションウィーク・メンズコレクション」は、24のショー(うちデジタルショー4)、52の展示会、八つのイベントを予定している。

オープニングを飾る「モスキーノ」は、メンズに加え、レディスのプレコレクションも同時発表。2月に就任した新クリエイティブディレクターのアドリアン・アッピオラザに期待が高まる。

ロンドンから舞台を移し、ミラノ初出場となる「マーティン・ローズ」にも注目だ。アンダーグラウンドのカルト的人気を博するコレクションで、コンテンポラリーなメンズウェアの方向性に影響を与えてきた。ロンドンでは、市場や小学校など面白いショーロケーションだった。今回の会場は未発表だが、どんな仕掛けになるのか楽しみだ。24年秋冬でデビューコレクションを発表したサイモン・ホロウェイが率いる「ダンヒル」もロンドンからの移住組だ。

「カナーリ」は、ブランド設立90周年のイベントを開催。「MSGM」は15周年を祝い、メンズとレディスの合同ショーを予定している。

(ミラノ=高橋恵通信員)

パリ 自身最後の「ドリス・ヴァン・ノッテン」

五輪・パラリンピックを目前に、パリ・ファッションウィークメンズが6月18~23日に開かれる。37メゾンがショー、35メゾンがプレゼンテーションで参加する。IFM(フランスモード研究所)のバチェラーたちの卒業コレクションショーで幕を開け、「ターク」がとりをつとめる。

ファッションウィークを主催する仏オートクチュール&モード連盟は、今回のカレンダーもラグジュアリー、クリエイター、若手とバランスの良さを強調している。しかし五輪の影響によるコスト高やリスクを避け、パリからミラノに発表や展示会などを移したブランドは少なくない。バイヤーも同様、ミラノに目が向いているようだ。合同展トラノイは中止した。また中心地のメトロや道路はすでに封鎖されているので、ショー設営や移動の支障は避けられないだろう。

本題のカレンダーだが、初日に披露されるファレル・ウィリアムスによる「ルイ・ヴィトン」、自身による最後のデザインとなる「ドリス・ヴァン・ノッテン」のショーに視線が集まりそうだ。ショーでカムバックする「ビアンカ・サンダース」は、ポルトガル靴組合と協業した初のエコレスポンシブルシューズを発表する。「サンローラン」で実力をつけたピエールフランソワ・ヴァレットが20年に立ち上げたウィメンズ&メンズブランド「ヴァレット」は前シーズンに続きショーを行う。

ドリス・ヴァン・ノッテンの24~25年秋冬メンズコレクションから

ショーデビューで最も注目されているのは、ベルリンの「032C」だろう。これは同名のカルチャーマガジンの共同創設者、リア・コッホが手がけるブランドだ。プレゼンテーションでは初参加のLVMHヤングファッションデザイナープライズにノミネートされ、カナダのアーツ&ファッションアワードを受賞したエメリック・チャチュアの「3.パラディ」のほか、カムバックの「クレージュ」に期待がかかる。

(パリ=松井孝予通信員)

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