バイクの2人乗りシーンで危機一髪!? 『青春18×2 君へと続く道』主演の清原果耶が語る“撮影の裏話”
映画『青春18×2 君へと続く道』の主演・清原果耶さんにインタビュー。藤井道人監督との3度目のタッグ、台湾での撮影、好きな映画などお話を聞いてきました。
『青春18×2 君へと続く道』は、『新聞記者』(2019)『ヴィレッジ』(2023)などを手がけた藤井道人監督の最新作。
台湾を舞台にバックパッカーのアミ(清原果耶)とカラオケ屋でバイトをしているジミー(シュー・グァンハン)が出会い、交流を深めていく姿を描いたさわやかなラブストーリーです。
藤井監督作は3作目の出演となる清原さんですが、台湾ロケは初。アミ役について、台湾ロケの思い出、そしてターニングポイントとなった作品や好きな映画についてもお話を伺いました。
清原果耶さんにインタビュー
――『青春18×2 君へと続く道』は藤井道人監督から、出演のお話があったと聞いていますが、依頼があったときのことを教えてください。
清原果耶さん(以下、清原):ご依頼をいただく前から、この映画の内容について藤井監督からお話を伺っていました。アミ役を私に任せようと思って脚本を書いてくださっていたそうです。
とてもうれしかったので「挑戦したい」と強く思いました。
――脚本を読んでいかがでしたか? アミ役について教えてください。
清原:藤井監督の作品に出演させていただくのは3作目なのですが、これまでとは違い、とても明るく朗らかな女性の役で、監督がそのような役を任せてくださったことをうれしいと思うと同時に、緊張もしました。
――アミは冒険心に富んでいて、人生を楽しんでいる感じがとても素敵な女性ですが、複雑な事情も抱えていますよね。アミの役をどう解釈しましたか?
清原:私は脚本を読んだとき、セリフ1つひとつにアミの個性が存在していると感じたので、このセリフを丁寧に演じていけば、きっとアミになれると思いました。
彼女の感情はとてもシンプルで、観客の皆さんが共感しやすいキャラクターだと思います。だからあまり難しいことは考えず、自然に役に入っていった感じです。
藤井監督作、3作目にして初の明るい役!?
――プレッシャーはなかったですか?
清原:以前に出演させていただいた藤井監督作品、『デイアンドナイト』(2019)『宇宙でいちばんあかるい屋根』(2020)は、アミのようにはつらつとした感情表現がある役ではなかったので、最初はすごく緊張しました。
アミの喜怒哀楽はこの映画にとって重要で、そこを丁寧に演じないとエピソードがつながらないんじゃないかと勝手におびえていたんです。
でも撮影が始まったら、藤井監督がやさしく導いてくださったので、おびえる必要はなかったなと(笑)。案外、大丈夫でした。
――ではクランクインからスムーズだったのですね。
清原:そうですね。私は日本ロケからスタートしたのですが、そのときはまだジミー役のシュー・グァンハンさんなど、台湾の共演者とお会いする前だったんです。
台湾でグァンハンさんとの芝居がどう展開していくか分からなかったので「まずはやってみます!」という感じでスタートしました。
あまり作り込まず、ナチュラルなスタンスで撮影に入ったのが良かったのか、どのシーンもあまり身構えずに撮影に臨むことができたと思います。
バイクの2人乗りシーンで危機一髪?
――台湾ロケを楽しみにされていたそうですが、撮影はいかがでしたか? 日本の撮影との違いなど感じたことはありますか?
清原:台湾のスタッフさんは日本のスタッフさんと同じように映画愛にあふれていて、「映画が大好き」という気持ちが常に伝わってきました。
夜遅くまで撮影が続いたり、ハードな日があったりしましたが「しんどい、大変」という雰囲気はまったくなく、「頑張って撮影するぞ!」「終わったらおいしい夜食を食べて帰ろう」という感じで、テンションも意識も高い現場でした。
――苦労したシーンはありますか?
清原:ジミーが運転するバイクの後ろに乗せてもらうシーンです。私はバイクの後ろに乗ったことがなかったので、どれくらいの力でつかまったらいいのか分からず、シートの後方にちょこんと控えめに座っていたんです。
でもいざ走り出したら、お尻が浮いて、吹き飛ばされるんじゃないかと。すごく焦りました。
グァンハンさんに「そんなつかまり方じゃダメだよ」と言われ「気を付けます!」と言って、それ以降はしっかりつかまって撮影に臨みました。あのときは本当にびっくりしました。
完成した映画を見て号泣
――シュー・グァンハンさんとの共演はいかがでしたか?
清原:初めてお会いしたときはクールな方という印象だったのですが、撮影を通じてグァンハンさんを知るうちに、芝居に対して情熱的に取り組む方だと感じました。
監督とも細かく打ち合わせをしていましたし、ジミー役がグァンハンさんで良かったです。
――現場では、清原さんとグァンハンさん、どのようにコミュニケーションを取っていたのですか?
清原:通訳さんを介してお話ししたり、お互いに日本語と中国語を毎日教えあったりして、少しずつコミュニケーションを重ねていきました。おいしい飲食店を教えていただいたりもしました(笑)。
最初の顔合わせでスタッフとキャストで食事に行ったのですが、撮影の合間もときどきみんなでご飯会をしたりして、楽しい時間を過ごしました。
――清原さんは完成した映画を見たとき、感動して泣いてしまったと聞いたのですが、涙腺を刺激したポイントを教えてください。
清原:全部ですね。特に私が出演していないシーンは試写で初めて見たので、ジミーのアミへの思いを知り「こういう思いでアミのことを考えていたんだ」と思うと、もう悲しさと切なさで涙が止まりませんでした。
たぶん私の中にアミの感覚が残っていたから余計に泣けたんだと思います。とても不思議な体験でした。
朝ドラでお世話になった大先輩に感謝!
――清原さんのキャリアについて伺いたいのですが、12歳くらいからこの世界でお仕事をされていますよね。今につながるターニングポイント的な作品はありますか?
清原:NHKの連続テレビ小説『あさが来た』です。初めて本格的に芝居をした作品ですが、本当に何も分からなくて、撮影現場ではスタッフの方に「違う!」と怒られたりしながら、撮影スタジオに通う日々でした。
連続テレビ小説は、月曜日から金曜日まで撮影があって、土日しか休みがないんです。なのにわざわざその休みの日を使って、共演した俳優の三宅弘城さんが私の演技の練習に付き合ってくださったんです。
「お芝居を嫌いになってほしくないから」と。
そうやって丁寧に教えていただき、芝居って面白い、もっと上手になりたいと思うようになりました。三宅さんには本当に感謝しています。
――素敵な大先輩ですね! そこから芝居に磨きをかけてきた清原さんにとって、お芝居の醍醐味とはなんでしょう?
清原:芝居は、しんどさも含めて楽しいと感じています。どの作品でも難しいことはたくさんあるし、壁にもぶつかりますし、稽古が必要になるなど、大変だと思うことはたくさんあります。
でも、それを乗り越えた先には達成感や楽しいと思えることが必ずあると思うんです。
なので、できることはちゃんとやって、撮影現場では調和を大切にして「いい作品に出会えた、いい現場だった」と思えるような仕事をしていきたいです。
若き日のアンジー出演映画に刺激を受ける
―All Aboutはみなさんに好きな映画などについてお話を聞いているのですが、清原さんはいかがでしょうか? 好きな映画、思い出の映画など教えていただきたいです。
清原:初めて映画館で見た映画は、ディズニーのアニメーション映画『アナと雪の女王』(2013)です。たしか私が小学校6年生くらいで、友達と一緒に見に行きました。刺激を受けた映画は、配信で見たのですが『17歳のカルテ』(1999)です。
―ウィノナ・ライダーとアンジェリーナ・ジョリーが出演していましたね。
清原:当時は誰が出演しているか分からないまま、なんとなく見始めたんです。とにかく俳優さんたちの演技がすごくて。かなりの極限状態を保ち続けないとあんなお芝居はできないのではないかと思いました。何度も見ている映画です。
――『17歳のカルテ』は、心を病んだ女性たちが入居する施設が舞台になったシリアスな映画ですよね。コメディーやアクションよりも、シリアス系の方が好きなのですか?
清原:そうですね。コメディー映画も見なくちゃと思うのですが、映画館で映画鑑賞するなら、考えさせられる映画を選びがちです。
――清原さんの映画館のお気に入りの座席、ベスポジがあったら教えてください。
清原:ベスポジは……まずはシアターの全体の座席を見て、スクリーンを真正面からそのまま受け止めて鑑賞できる席を選びます。なので後ろすぎず、前すぎず、真ん中あたりの席が多いです。
すべての人の青春を包み込んでくれる映画
――最後に『青春18×2 君へと続く道』を楽しみにしているファンの方に向けて、注目ポイントをお願いします。
清原:完成した映画を見たとき、青春や初恋が、なんて真っすぐに伝わってくる作品だろうと思ったんです。
私は子どもの頃からこのお仕事をしているので、青春時代について語れるものはあまりないのですが、それでもこの映画は、すべての人の青春時代を大事に包んでくれるような映画だと思いました。
なので気負わずに温かい気持ちで見ていただきたいですし、この映画を見てくださった皆さんの心が楽になったらうれしい。そんな気持ちになってくれることを願っています。
清原果耶(きよはら・かや)さんのプロフィール
2002年1月30日生まれ。大阪府出身。2015年、NHK連続テレビ小説『あさが来た』で女優デビュー。『護られなかった者たちへ』(2021)で第45回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。その他の主な映画出演作は『3月のライオン前編/後編』(2017)『まともじゃないのは君も一緒』(2021)『線は、僕を描く』(2022)『1秒先の彼』(2023)など。舞台『ジャンヌ・ダルク』で第31回読売演劇大賞杉村春子賞を受賞。公開待機作として『碁盤斬り』(2024年5月17日公開)『片思い世界』(2024年公開予定)などがある。
『青春18×2 君へと続く道』2024年5月3日(金)より全国ロードショー
高校生のジミー(シュー・グァンハン)がカラオケ店でバイトをしていた夏。彼は日本から来たバックパッカーのアミ(清原果耶)と出会う。財布を無くしたという彼女はカラオケ店で住み込みで働くことに。交流を深めていくうちに、彼女に淡い恋心を抱くジミー。しかし、2人に突然の別れがやってくる……。
監督:藤井道人
脚本:藤井道人、林田浩川
原作:『青春18×2 日本慢車流浪記』(ジミー・ライ著)
出演:シュー・グァンハン、清原果耶、ジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳
撮影・取材・文:斎藤 香
メイク:牧野裕大(vierge)
スタイリスト:井阪 恵(dynamic)
執筆者:斎藤 香(映画ガイド)
関連記事
-
名探偵コナン、山崎賢人、草彅剛も登場!強力なメンツがスクリーンで大暴れする「GW必見映画まとめ」All About
-
せっかくの旅行なのに雨が…でも、大丈夫! “雨の日の沖縄”が楽しくなる「とっておきの遊び方」4選All About
-
横浜高島屋で売れてる「お土産スイーツ&グルメ」BEST10! 横浜で人気の帰省土産【2024】All About
-
三県境、海底トンネル、最短鉄道! 都心から2時間以内で行ける「珍スポット」3選All About
-
千鳥格子のコートをひらり、黄色い衣装でモデル風…ファッションでも魅せる【3月のくまモン】All About
-
過去最低の出生率“0.72”…少子化が進む韓国で今、「結婚しない」「出産しない」若者が増えているワケAll About
「その他」カテゴリーの最新記事
-
大谷翔平 8戦ぶりマルチ安打 ロバーツ監督「今夜のショウヘイは良かった」打撃内容を高く評価デイリースポーツ
-
バレーボール 真鍋監督が主将・古賀を称賛「役職は人間を成長させる」デイリースポーツ
-
古賀紗理那 五輪切符獲得までの心境吐露「古賀紗理那史上1番必死だった大会」「途中で“無敵モード”」デイリースポーツ
-
【阪神】佐藤輝が1か月ぶり長打で打率2割台死守 〝二軍再降格〟危機から生き残る東スポWeb
-
さんま 桂ざこばさんを追悼「もういっぺん会いたかった」「ちょっと早いよなあ」東スポWeb
-
加藤あい41歳 泥まみれモノトーンコーデにも絶賛殺到「どうしてそんなにかっこいいの!?」デイリースポーツ芸能
-
所属選手が現行犯逮捕報道のラグビー・横浜キヤノンイーグルスがXでおわび「事実確認ができ次第、チームとして適切な対応をとらせていただきます」デイリースポーツ
-
ファイターズガールが台湾できつねダンスを披露 独特のリズムにスタンドは大盛り上がりで拍手喝采デイリースポーツ
-
ミセス〝MV炎上〟にロザンが持論「批判ではなく議論するべき」東スポWeb