申真衣、仕事も結婚も“やってみる”。自分を貫く『VERY』カバーモデル

申真衣、仕事も結婚も“やってみる”。自分を貫く『VERY』カバーモデル

2021.12.10 11:10

取材・文:高橋千里

撮影:佐々木康太

編集:松岡紘子/マイナビウーマン編集部

雑誌『VERY』2022年1月号のカバーモデルに抜擢された、申 真衣(しん まい)さん。モデルデビューのきっかけは、子ども服のイベントに遊びに行った際『VERY』編集部に声をかけられたことから。

「編集部の方って、誰にでも声をかけるんですよ」なんて笑いながら話してくれたが、多くの人の中から思わずスカウトしたくなるようなオーラは、会ってまだ数分しか経っていない私でさえ強く感じることができた。

最初は単純な好奇心で読者モデルとして出演していた申真衣さんは、誌面での圧倒的存在感が多くの読者の目を引き、1年も経たないうちに専属モデルに抜擢。仕事も家庭も多忙な中、うまくバランスを取りながらモデルの仕事も続けてきた。

そんな彼女は、かつて勤めていた大手証券会社を30代で退職。その後起業し、株式会社GENDAの代表取締役社長を務めている。

「私はまだ起業家として成功しているとは言えないけど、自分にとって新しいことに挑戦できているし、自分のためになっていると思えています。ちゃんと生きていけているな、という自信にもつながっていますね」

今回は、そんな第一線を駆け抜ける彼女に、アラサー女性が抱える仕事と結婚の悩みをぶつけてみた。

■失敗を恐れないロジカルな考え方

結婚、妊娠、出産──。大きなライフイベントが控えているかもしれない30代において、転職や起業などの新しいチャレンジにはリスクもつきものだ。

しかし申真衣さんは「失敗してもいいから、一度やってみようと思った」と、年齢にとらわれない考えを口にした。

「会社員時代、昇進に向けて2年半くらいはかなり根詰めて働いて昇進できたんですが、次のステップを考えた時に、このまま金融機関で働き続けるといつか尻すぼみになってしまう気がして。私は働くことは長く続けていきたいので、10年くらいのスパンで新しいことに挑戦して、成長し続けたいなと思ったんです」

とはいえ、ひとつの会社に長く勤めていると、年次も役職も上がり、お給料も高くなっていく。そうなると今度は「今この会社を辞めると、年収が下がってしまうんじゃないか」という不安がつきまとう。

「『会社員でお給料が上がりすぎて転職できない』という方、私の周りにも多いですね。ですが、『だから、お給料が上がる前に転職しよう』は違うと思うんです。最終的にしたい仕事の給与水準が同じなら、辞めるまでは高くて転職する時に下げる方が、低いままをキープするより生涯年収は高いですから。それよりも長期的に作りたいキャリアを意識して転職を決めるのがいいと思います。」

あくまでもロジカルに、緻密に計算しながら人生設計を立てている申真衣さん。しかし、子育てとの両立という点における不安はなかったのだろうか。

「多忙すぎると健康を害しちゃうけど、私の中でやるべきことや睡眠時間など優先順位をつけているので、不安はなかったですね。それに、無理になったらやめればいいやと思っていたから」

そう語る彼女の表情は潔く、まっすぐだった。

今の20代女性は、“バリキャリ世代”と呼ばれていた少し上の世代から価値観がちょっとずつ変化し、肩の力を抜いてしなやかに働こうとする人が増えてきたようにも思う。今の時代を生きる女性に必要なものはなんなのだろう。

「いわゆる“しなやかなキャリア”は、“リスクの高いキャリア”でもあると思うんです。だからこそ、ちょっと先のキャリアに投資をすることが大事だと感じます。

具体的には、今自分がやっている仕事以外に、新しいスキルを身につけるとか。例えば今日お話しさせていただいてるライターさんのお仕事だと、動画撮影・編集のスキルなども今すごく求められていますよね。掛け算が多い方が、大きく変わる時代にも寄り添って働いていけると思います」

■“なぜ結婚するのか”を考え、話し合うのが大切

申真衣さんは、仕事だけでなく、結婚に対しても独自の考えを持っている。

20代のころは「結婚をすることが必ずしも幸せなことでない」「結婚することで、自分自身の人生のコントロールを失ってしまう」と思っていた。それは、早くに結婚した周りの友人を見て感じたことだったという。

「うまくいっている結婚、うまくいっていない結婚……いろんな結婚を見て思ったんです。既婚の友達となかなか会えなくなったりすると、結婚って自分の自由が失われてしまうのかなと。あまりポジティブなイメージは持っていなかったですね」

そんな思いで30歳になった頃、お付き合いしていた男性からプロポーズ。悩んだ挙句、まずは“婚姻契約書”を作ってみることにした。

「プロポーズをされた時、改めて『結婚ってなんでするんだろう?』と考えて。自分たちが結婚に何を求めているかをすり合わせるために、ネットで婚姻契約書のフォーマットを探して活用しました。書面に自分なりの希望条件を足して、(夫に)送って、戻してもらって……という仕事みたいなやり取りをしましたね(笑)」

“家事育児は半々でやりましょう”、“いつかどちらかが転勤することになっても、転勤期間は1年半を上限に、なるべくお互い一緒に暮らす努力をしましょう”など、お互いの結婚に対する希望条件をすり合わせていった申真衣さん夫妻。契約書を作ったことで、今まで知らなかった相手の価値観を知るきっかけになった。そして、結婚後も何か問題が起きた時は話し合う癖ができたという。

「相手が結婚に何を求めているかなど、曖昧にしたまま結婚するのは不安ですよね。だから、いつか結婚したいと思っているパートナーがいるなら、今のうちにカジュアルに話し合いをしてみてほしいです。

『彼に結婚の話をして“重い”と思われるのが怖い』というのは、きっと自分自身が結婚を“重い”と思ってしまっているからではないでしょうか。『一生経済的にサポートしてください』と突然言われたら、“重い”と思うのはごく自然なことかもしれません。経済的にだったり、精神的にだったり、いろんな形があると思いますが、私が支えてあげるよ! くらいの気概を持つと、お互い楽になれるはず」

婚姻契約書を作ったことで、結婚生活への不安が100%消えたわけではない。それでも「結婚前に、一生この人とうまくやっていけるか結論を出すことは難しい。うまくいかなかったらそれはそれでしょうがないから、まずは結婚してみよう」と決めた。

そして結婚7年目を迎える今、「夫をパートナーに選んでよかった」と思うことが多いという。

「7年間毎日ハッピーだったかというとそういうわけではなく、もちろんけんかもありました。だけど、結婚する前に感じていた“自分自身の人生のコントロールを失ってしまうんじゃないか”という不安は、夫と話し合いながら解消することができています。ふたりでチームとして一緒にいることで、経済的にも、精神的にも強くなれた気がします」

■「自分の人生」を生きようとする意志

仕事も結婚も「失敗してもいいから、まずやってみる」精神の申真衣さん。だけどやっぱり、失敗した未来を考えると怖くなるのは、多くの女性の本音ではないだろうか。

“いつか結婚するかもしれないから”、”子どもを生むかもしれないから“という未来を予測して、会社や進路を決める女性は多い。それについてはどう思っているのだろうか。

「予測することや準備することはすごく大事で、就職活動や転職活動の時に女性が活躍できない文化の会社を避けることは必要だと思っています。

だけど家庭を持つことって自分だけの意思決定ではできないし、そもそも子どもができるのかどうか、いつできるのかは分からないですよね。だから、あまりにもそれをもとに計画しすぎるのも、選択の幅を狭めてしまうことになるんじゃないかな」

自分が生きているのは、相手の人生じゃない。自分の人生だ。

だから、まずは自分がどうしたいか。それを考えた先に、自分らしい働き方も、結婚も見つかるのかもしれない。すべての「やってみよう」を原動力に変える、彼女のように。

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