転職に有利。「適応力」が評価される理由

転職に有利。「適応力」が評価される理由

2019.12.26 11:10

就活や転職のときの採用面接において「適応力の高さ」をアピールしたいとき、どのようにすれば効果的に伝えられるでしょうか?

そもそも適応力とはなんなのか、適応力はどういう場面で必要なのか、適応力を高めるにはどうすればいいか……このコラムでは、適応力について深く考えてみたいと思います。

■適応力とは?

一般的に、適応とは「環境に合うように行動の仕方や考え方を変えること」という意味であり、適応力とは、「そういった適応ができる能力」のことをいいます。

これを仕事に当てはめると、働くうえでの適応力とは「職場環境や仕事内容に合わせて、自分の行動や考え方を適切に変えていける能力」となります。

もう少し具体的にいうと、たとえば転職や配置転換などで新しい職場で働き始めるときに、雰囲気や仕事内容に早く慣れることができて即戦力となる人は、「仕事の適応力が高い」といえます。

また、同僚や上司、取引先の担当者、顧客といったさまざまなタイプの人とうまくやっていける能力も適応力のひとつです。さらに付け加えるなら、職場の人員が減ってしまったとき、ライバル企業が現れたときなど、仕事の環境が厳しくなったときに、その逆境の中でもなんとかして困難を乗り越えていける能力も適応力といえるでしょう。

適応力が高い人は、会社や同僚からとても重宝がられます。今後AIが台頭しビジネス環境がますます厳しさを増してくる中、適応力が高い人は、まさにこれから必要とされる人材なのです。

適応力がある人の特徴

では、適応力が高い人というのは、実際どのような人なのでしょうか? 適応力が高い人の主な特徴を5つ挙げてみます。

◇1.好奇心旺盛でいろいろなことにチャレンジする

自分の行動や考え方を変えるのは、実はとても難しいことです。人は無意識に安定を求めるので、変化によって一時的に安定が崩れることを恐れて、どうしても従来のやり方や考え方に固執してしまいがちになります。

そんな中でも変われる人とは、好奇心が旺盛で、いろいろなことに興味を持ち、とにかくなんでもやってみようと思える性格の持ち主です。変化を恐れず、むしろ新しい何かに出会えることを楽しめる、それが「適応力が高い人」に共通する一番の特徴です。

◇2.人懐っこく誰とでも気軽に接する

新しい環境や新しく出会う人に早く適応するためには、自分の殻に閉じこもらず、自ら飛び込んでいく必要があります。

それが自然にできる人は適応力が高いということになります。性格的にはオープンで明るく、人懐っこくて誰とでも気軽に接するのが苦ではないことが重要となります。

◇3.前向きで楽観的な考え方ができる

自分にとって不慣れで不利なアウェイの環境のとき、自分にできることをコツコツやり続ける姿勢が、早く・うまく適応するためには大切です。それができる人は、たいてい前向きで楽観的な考え方が自然にできています。

「ムリだ」と思ってしまったら何も行動できません。「きっとなんとかなるだろう」と思えることがとても重要になってきます。

◇4.作業の目的や手順を考えて仕事をしている

新しい職場でも時間が経てば自然に慣れて適応できていくものですが、誰よりも早く適応できる人は、ただ漠然と言われた通りに動いているわけではありません。教えられた手順のひとつひとつの意味を考えながら行動します。

「この作業の目的はなんだろう」、「なぜここでこの手順が必要なのだろう」といったように、ひとつひとつ目的と意味を考えるのです。こうすると、その作業上のポイントを早く掴むことができるので、より早く・より高いアウトプットが出せるようになります。

◇5.チームや他人のためを考える

適応することは、その職場の戦力になるということです。いくら仕事ができても、職場にトラブルをもたらすようではいけません。

したがって、派閥をつくったり、自分の仕事だけしかやらずまわりが困っていても一切協力しなかったり、自分の意見や考え方を押し通そうとしたり、といった人は適応力が高いとはいえないのです。

職場の空気を読み、働きやすい気持ち良い雰囲気をつくることができる人こそ、「適応力が高い」といえます。そういう人は、チームや他人のために貢献しようという意識が高く、きっとまわりからの信頼も厚いはずです。

■適応力が求められる場面とは

上述したように、適応力は仕事の多くの場面で役に立ちます。たとえば、次のような場面においては特に力を発揮することができます。

◇1.転勤や配置転換の場面

住んだことのない都市への転勤、未経験の業務をする部署への配置転換など、仕事環境も同僚の顔ぶれもガラッと変わるときほど、適応力が高い人には有利です。

住居や職場が変わったことでのストレスややったことのない仕事に対する不安は、慣れてくればいずれは解消しますが、慣れるまでの期間が短いと即戦力になることができます。

◇2.新しい業務やプロジェクトに関わる場面

新しい業務を任されたり、プロジェクトメンバーに新たに加わったりなども、適応力が高い人にとって腕の見せ所です。

持ち前のチェレンジ精神や前向きさ、貢献しようという意識は必ず役に立ちますし、スキルアップやキャリアアップにもつながるでしょう。

◇3.トラブル対応の場面

突発的なトラブルが発生したとき、頼りになるのは適応力が高い人です。

初めて経験することでもパニックにならずに落ち着いて対処できますし、臨機応変な対応も得意。関係者とのコミュニケーションもうまくとることができて、問題解決へつながる大きな役割を果たします。

適応力が求められる仕事

どんな仕事においても、「適応力」はあったほうが有利な能力なのですが、特に次のような仕事で高い適応力が求められます。

◇1.営業職

営業は多くの人と顔を合わせる仕事です。

人にはいろいろなタイプがいますので、どんなタイプにもうまく対応できる適応力は、相手といい関係をつくって商談をまとめるうえで強力な武器となります。

◇2.接客業

接客業も多くの人を相手にする仕事ですので、適応力は高いに越したことはありません。

特に、相手の要望に即座に対応する臨機応変さが求められるシーンが多いので、その場その場の状況に合わせて判断して行動できる適応力があると、質の高い接客を提供することができます。

◇3.相談員・カウンセラー

他人の相談に乗る仕事にもいろいろありますが、相談業務も適応力が高いほどうまく対応できるでしょう。

うまくコミュニケーションをとって相手の置かれた状況を的確に理解し、型通りの受け答えではなく、柔軟に考えたうえでの適切な提案を示す。そんな対応ができるために適応力の高さは役に立ちます。

◇4.案内係

多くの人が集まるイベントや展示場などでの案内係も、適応力が高い人ほど適任だといえます。

すぐに仕事環境に馴染むことができてコミュニケーションも得意、さまざまな問い合わせにも臨機応変に答えられる能力が存分に発揮されるでしょう。

◇5.管理職

組織をまとめる管理職やチームリーダーの仕事も、適応力が高いほうが有利です。

部下やメンバーはそれぞれ固有の考え方や価値観を持っています。その違いを受け入れる柔軟性と、それぞれに合わせたコミュニケーションがとれることによって、組織をうまくまとめることができます。

■面接で適応力をアピールする方法

就活、転職、社内人事評価などで面接を受けるときに、自分の適応力をアピールする機会もあると思います。

そんなときに、どのように適応力をアピールすればいいのかも考えてみましょう。

◇適応力をアピールする際の注意点

まずは、アピールする際の注意点に触れておきたいと思います。

☆「適応力」という単語は使わない

「私は適応力があります」という表現よりも、「私は初対面の人とでも臆せず話すことができます」や「私は仕事を覚えるのが早いとよく言われます」といった表現のほうが、自分の良さが相手によく伝わります。

「適応力」という単語は漠然としていますので、より具体的な表現に置き換えて、適応力があることをアピールするように心がけてください。

☆つじつまが合わなくならないように注意する

面接では、「なぜ前の会社を辞めたのか」「なぜ今の会社を辞めようと考えているのか」といった退職理由を聞かれることがあります。そんなときに、人間関係や会社の雰囲気が合わなかったと言ってしまうと、適応力が高いはずなのに合わないなんておかしいのではと思われて、話につじつまが合わなくなります。

もちろん適応力が高くても人間関係で悩むことはありますが、適応力をアピールするのですから、慎重に言葉を選ぶ必要があります。

「キャリアアップをしたい」「いろいろな分野の経験を積みたい」「以前から興味があった分野で働いてみたい」といったあなたの退職理由の中にある前向きな思いを伝えれば、適応力の高さとつじつまが合わなくなることはないでしょう。

臨機応変さがあるとはいっても、あらかじめ想定問答については準備しておいたほうがいいということです。

☆アピール過剰にならないようにする

自分をよく評価されたいと思えば思うほど、ついついアピールしたくなるものです。

しかし、アピールは度が過ぎると嫌味に聞こえてしまうことがあるので注意が必要です。アピール過剰と捉えられてしまうかどうかは相手次第でもありますので、持ち前の空気を読む力をフルに発揮して、面接官の顔色を伺いながらアピールの仕方を調節するといいでしょう。

◇【例文アリ】面接で適応能力をアピールする3つの方法

次は、実際の面接のときに、自己PRで適応能力をアピールする表現方法の例を示しますので、参考にしてみてください。

☆例文1

私の長所は、新しい環境にすぐに慣れることができる点です。

昔の話にはなりますが、親の都合で小・中学校を計5回転校しています。多感な時期でしたが、いつも転校初日に友だちを2~3人つくっていました。自ら積極的に声をかけ、共通の興味のある話題を見つけて話すようにしていたので、親近感を持たれてすぐに仲良くなれたのだと思います。

まわりからはよく人懐っこいと言われますし、転勤が多い御社でも、すぐにまわりの環境に馴染み、良好な関係がつくれると思います。

適応力という単語を使わず、実際の経験を具体的に紹介することで、自分に適応力があることをうまくアピールできます。

☆例文2

人の気持ちに合わせた対応が上手だと言われます。

私は、百貨店で婦人服売り場のリーダーをしていました。忙しいときにスタッフが苛立ち、売り場全体が険悪な雰囲気になりかけた場面では「あと30分乗り切ればきっと落ち着くから、もうちょっとだけ集中してがんばろう!」などと声をかけることを常に心がけていました。

すると、「あのとき、ああいうことを言ってもらって助かった」とスタッフに言ってもらったこともありました。

「どうすればみんなが気持ちよく働けるのか」ということをいつも意識して言葉をかけるようにしています。

具体的な会話の例を示してコミュニケーションにおける適応力があることをアピールすることで、面接官に好印象を与えやすくなります。

☆例文3

私の強みは、問題が発生したときでも落ち着いて臨機応変に対応できることです。

私は飲食店で勤務していましたが、あるスタッフが注文をまちがえてキッチンに伝えてしまい、調理された料理がムダになってしまいそうになった場面がありました。

そんなときに、ほかのお客様にその料理が早くお出しできるとおすすめして、その料理をムダにしないで済むよう対処することができました。

このような経験から、私は何があっても慌てず、今できることを考えて行動できる部分が強みであると考えます。御社で働くうえでも、必ず活かせる経験だと思います。

実体験に加えて、どのようなことを意識して行動しているかも伝えると、たまたまうまくいったのではなく、適応力が高い人だという印象を持ってもらいやすくなります。

■適応力を高めるには?

適応力はビジネスパーソンにとって必要性の高い能力であることをお伝えしてきました。

では、どうすれば適応力を高めることができるのでしょうか? 日頃から意識すると効果がある取り組みをご紹介しましょう。

◇1.不安をコントロールする

新しい環境に身を置いたとき、たいていの人は不安を覚えます。適応するためには、その不安をうまく乗り越える必要があります。

簡単な不安のコントロール方法としておすすめするのは、セルフトーク法です。「なんとかなる」「なるようになる」「死ぬわけじゃない」「ダメならまたやり直せばいい」といった言葉を自分に言い聞かせるように心の中で何度も唱えるのです。

不安が生じたときに、このセルフトークが自然とできるようになるまで意識的に習慣化してみてください。不安になっても行動できるようになることが、適応力を高める基礎となります。

◇2.うまく適応しようとしない

うまく適応しようと思えば思うほど、逆にうまくいきません。かえって自分にプレッシャーがかかり、緊張したり不安になったりと、柔軟性を失ってしまい適応力が低下することになります。

このようなときもセルフトーク法を活用し、「うまくできるに越したことはない」「うまくできるときもあれば、うまくできないときもあるものだ」「自分なりにできることをやろう」と自分に言い聞かせるようにして、自分自身へのプレッシャーを軽減するといいでしょう。

うまく適応しようと思わないほうがかえってうまくいく、ということです。

◇3.いろいろなことにチャレンジしてみる

適応力が低いのは性格的な要素も大きいですが、場数を踏むことで補うことができます。いろいろな環境に自ら進んで身を置いてみることが、適応力を高めるうえでは非常に有効なのです。

新しい仕事を積極的に引き受けたり、自発的に定期的な配置転換を希望したりして、経験の幅を広げることを常日頃から心がけることがきっと役に立ちます。

適応力を身につけてワンランク上の自分になろう

高い適応力はビジネスのさまざまな場面で役に立ちますし、今後雇用の厳しさが増していくビジネス環境において、適応力は必要不可欠な要素だと言えるでしょう。

採用や転職の面接においても、適応力の高さをうまくアピールできるようになることは選考されるうえで有利に働きます。適応力の本質を深く理解して、適応力を高めるために日頃から意識して行動することをぜひ心がけてみてください。

(笹氣健治)

※画像はイメージです

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