

人と関わるのが苦手。「内向型な人」の特徴
内向的な性格に悩んでいる人は少なくありません。
世間一般的には、明るく社交的な外向型の人がもてはやされる風潮があります。もしあなたが「他人と関わるより自分ひとりでいるほうが気楽だ」というタイプだとしたら、今の仕事や生活に生きづらさを感じている部分があるかもしれませんね。
このコラムでは、内向型の人がどうすれば自分の性格を活かして生きていくことができるか、そのヒントをお伝えします。
■内向型の性格とは?
人の性格は「内向型」と「外向型」に分けられます。このタイプ分けは、およそ100年前、スイスの心理学者で精神科医のユングが提唱したものです。
ユングは2万人もの患者の分析から、人の内面的な特性をいろいろな角度から分類しました。その後、この理論は多くの研究者によってさまざまな検討が重ねられてきましたが、最も基本的な部分である「内向型」「外向型」の分類はずっと変わっていません。
◇内向型と外向型の違い
そもそも内向型とは、意識が自分自身の内側に向かうタイプのことで、逆に、自分の外側に向かうのは外向型となります。
また、内向型は出来事の意味を考えるのに対して、外向型は物事をそのままストレートに捉えます。内向型はひとりになることで心の充電をしますが、外向型は周囲と関わることで元気になります。
一般的に、内向型は内気で消極的、控え目でおとなしい、あまり人と関わりたがらないといったイメージがあるかもしれません。一方の外向型は、陽気で積極的、活発で雄弁、社交的でオープンな性格といったイメージでしょうか。
このようなイメージがあるため、もしかすると外向型のほうが理想的だと思っている人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。それぞれに長所もあれば短所もあるのです。
◇内向型の長所と短所
内向型の長所としては、
・思慮深い
・集中力がある
・クリエイティブ
・慎重
・冷静
・計画的
・粘り強い
といったことが挙げられます。
逆に短所は、
・考えすぎてしまう
・周りの目を気にする
・人との付き合いに消極的
・生真面目すぎる
・こだわりが強い
・自分の考えをあまり主張しない
といったことが一般に考えられています。
☆長所は短所で、短所は長所
ところで、ここで重要な点に触れておきましょう。
便宜上、長所・短所という言葉を使いましたが、長所イコール優れている、短所イコール劣っている、と短絡的にとらえるのは間違いです。
たとえば、じっくり考えることは、「思慮深い」とも「判断が遅い」とも言い表すことができます。要するに、ある事柄についてプラスの側面を見るか、マイナスの側面を見るかの違いによって評価が180度変わるのです。
ほかにわかりやすい例を挙げると、身長140センチの女性は、ファッションショーのモデルとしては不向きかもしれませんが、乗り物に乗るときは座席が狭くても苦にならないでしょう。
つまり、身長140センチという事実があるだけで、それが有利に働くときは長所、不利に働くときは短所とみなされるだけのことなのです。
◇「内向型=悪い」では決してない
こう考えると、「内向型は悪い」とはならないことがわかるはずです。
一般的に、社交的で活動的な外向型のほうが好ましいとされる風潮はあるのですが、だからといって、内向型が劣っているというわけでは決してないのです。むしろ、世界的に成功している経営者や指導者、著名な芸術家や科学者には内向型のほうが多いと言う人さえいるくらいです。
自分が内向型か外向型かで一喜一憂する必要はなく、自分が当てはまるタイプの適性を発揮できる分野で頑張ればいい、ということを覚えておいてください。
■内向型になる原因とは?
内向型になるか、外向型になるかを分ける原因について、先天的なのか後天的なのか(遺伝的要因が強いか、生育環境の影響が強いか)、という議論に明確な決着はついていませんが、最新の脳科学の研究から、それぞれ脳内の反応が異なるということがわかってきています。
◇内向型の脳は刺激に敏感
ハーバード大学の発達心理学者ジェローム・ケーガン教授の研究で、内向型の人の脳は、外界からの刺激に対してより敏感に反応するということがわかりました。
☆多すぎる刺激は脅威となり、繊細さを生む
敏感なのは外向型のほうではないのかと疑問に思われる人もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。外界からの刺激に敏感であるため、多すぎる刺激は脳にとって脅威となり、それだけ繊細で用心深くなります。
できるだけ刺激を受け取らないように外界と距離を置くようになりますし、受けとった刺激を思慮深く分析するようにもなります。
一方、外向型の脳は、外界からの刺激に敏感でないため、小さなことでは動じません。むしろ刺激をワクワク感として捉え、さらに刺激を求めて外界との関わりを多く持つようになります。
◇脳の反応の違いが2タイプを分ける
このような脳の反応の違いにより、成長過程において内向型は保守的に行動しようとするのに対して、外向型は活動的に行動する傾向が強くなるので、より顕著に違いが形成されていくと考えることができます。
内向型が思慮深く慎重な性格に繋がるのに対して、外向型はおおらかで自信家になっていくというのは、このような脳の反応の違いが根底にあるということです。
■内向型人間チェックリスト
自分はいったい内向型なのか外向型なのか、とても気になるところでしょう。
薄々わかっているとは思いますが、チェックリストを用意しました。「当てはまる」と思う数をカウントしてください。
□グループよりも一対一の会話のほうが好き
□自分が話すより、人の話を聞くほうが好き
□人から、物静かだ、よそよそしい、冷静だと言われる
□よく考えてから話したり、返事をしたりするほうだ
□仕事に締め切りや緊急性があると不安を感じる
□他人の邪魔をするのは好きでなく、邪魔されるのも好きではない
□ホラー映画やジェットコースターなど刺激の強いものは苦手
□創造的で想像力に富んでいる
□楽しい体験であっても消耗したと感じる
□何事も完成するまで他人に見せたり意見を求めたりしない
□SNSのほうが自分を表現しやすい
□共同作業よりひとりで作業するほうが好き
「当てはまる」と答えた数が8個以上だった場合は内向型、4個以下だった場合は外向型、5~7個の場合は内向型・外向型の両方の性質を持つと考えてください。あなたはどのタイプでしたか?
■内向型の人に向いている仕事5つ
自分が内向型か外向型かで悩むより、自分の得意分野をどうやって活かしていけばいいかを考えるほうが建設的な生き方だといえます。
そのためには自分の特徴を理解し、それを活かせるように周囲との関係を作っていくことがポイントになります。内向型の人が働く際に、どのような仕事が向いているのか、どんな点を意識して仕事をしていけばいいのか、考えてみたいと思います。
◇(1)営業職
営業は外向型が向いていると思われるかもしれませんが、それは訪問販売やテレアポなど、ひとりでも多くの顧客にアプローチするアウトバウンド営業の場合です。
営業の本来の役割は、自社商品の良さを伝え、顧客のニーズに合った商品やサービスを提案すること。
商品を周知するための戦略を考えたり、相手に合わせた提案をして契約につなげるインバウンド営業には、親切で丁寧な対応ができ、きめ細かく相手の気持ちに沿った提案ができる内向型の人がうってつけなのです。
ただし、社員同士の競争やノルマが課せられていてプレッシャーがかかる職場は向いていません。マイペースで落ち着いて対応できる環境において能力を発揮できます。
◇(2)事務職
緊急性や締め切りといったプレッシャーがそれほど多くなく、たくさんの人と頻繁に顔を合わせる機会も少なく、他人との共同作業より個人作業が多い事務職も内向型には向いています。
具体的には、総務、労務、経理といった間接部門の仕事、営業サポートのバックヤード業務などです。これらに従事するときには、集中力、慎重さ、計画性、粘り強さといった内向型の特徴が活きてきます。
◇(3)企画職
創造性が求められる企画の仕事も内向型の得意分野のひとつです。
観察力が高く、外界の微妙なことを察知する力に優れている。また、さまざまな情報を深く洞察し、革新的なアイディアを思いつく能力に長けているからです。
ただし、そういった特徴を発揮するためには、周囲の理解が不可欠です。おとなしくて控えめなために自己主張することが得意ではないので、辛抱強く意見を聞いて尊重してくれる人が周りにいると活躍の場は広がります。
◇(4)制作職
Webページの作成、書籍や記事の編集といった制作系の仕事にも内向型は能力を活かせるでしょう。
几帳面でいて粘り強い、集中力もある、アイディア豊富で思慮深い、こういった資質はクオリティの高い制作物を生み出すのに役立ちます。
内向型の人がこの仕事でより成功するために必要なのが、自分に自信を持つこと。周りの意見を謙虚に聞きつつも、自分のセンスをしっかり主張することで、より良いものが作れます。
◇(5)研究職
大学やメーカーの研究職のように、対象物を根気よく調査探求する仕事も内向型には向いています。
あるいは、何かひとつの専門分野に詳しいアナリストの仕事も得意とするところです。
優れた観察力と直観力によって注意深く導き出された分析結果は、周囲とはひと味違った示唆に富んだものとして注目されるでしょう。
内向型の優れた部分に自信を持って生きていい
内向的な性格に悩む人に言いたいのは、外向的でなければいけないという誤った認識を捨てて、内向型の優れた部分にもっと注目して自信を持ってほしいということです。
人は誰しも得意不得意があるものですが、内向型の人は落ち着いた環境で物事を深く探求することが得意なのであって、無理して外向的にならなくていいのです。自分らしさとは何かを考えて、固定観念に縛られずに気楽に生きてみてはいかがでしょうか?
(笹氣健治)
※画像はイメージです
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