インタビューに応じるアンジャッシュ渡部建

渡部建「現状はすごく厳しい」それでも「お茶の間で見られるタレントに戻りたい」地上波復帰にこだわる思い

2025.07.04 08:30
インタビューに応じるアンジャッシュ渡部建

YouTube番組「アンジャッシュ渡部がいつか地上波のグルメ番組に出ることを夢見て、ロケハンする番組」が2023年4月にスタートしてから今年で3年目。チャンネル登録者数は50万に迫り、投稿動画のアベレージも好調だ。現在はネット番組での出演も増えはじめ、「渡部はやっぱり面白い」という再認識が高まっている。しかし、「白黒アンジャッシュ」以外、グルメどころかいまだ地上波への復帰は遠いのが現実だ。そんな自分の現状、道標はどこにあるのか。ロケハン番組の撮影に密着し、今の胸中を聞いた。

今でこそ好調も、最初は「やっぱりな」

――このロケハン番組が始まった経緯を教えてください。

僕が昔から番組でお世話になっている放送作家のカツオさんという方がいまして、彼は僕が出演した「有田哲平の引退TV」(ABEMA)も手掛けています。僕はその番組で、なぜ復帰したのか、なぜ芸能界を引退しなかったのかという思いを打ち明けました。賛否があったのは承知しています。でも、カツオさんはそのときの僕の言葉を信じてくれて、一緒に地上波復帰を目指そうと動いてくれた。もう1人の放送作家の西村隆志さん(「ZIP!」「テレビ千鳥」など)や、映像ディレクターの杣俊輔さん(「大悟の芸人領収書」「ニューヨーク恋愛市場」など)たちに声を掛け、賛同してくれるスポンサーさんを探して、用意してくれたのがこの番組です。

ただ、正直に言うと最初は構えた部分もありました。今でこそファミリー感覚ですけど、カツオさん以外、全然知らないメンバーだったし、何ならそんなに信用していない。当時の僕はそんな風でした。だって、当時の僕なんかいくらでも演出できるじゃないですか。【街の人に全く相手にされない渡部】【店に入れてもらえない渡部】【やっぱり渡部は終わったか】って。そういう編集もできるわけですよ。だから最初はコミュニケーションもぎこちない収録だったと思います。

――それでもスタートしたわけですよね。断ろうとは思いませんでしたか?

その考えはなかったですね。信用していないと言ったのは少し間違いで、どういう人たちか分からなかった、というのが正しいですね。やっぱりカツオさんが集めてくれた人たちというのが大きかった。想像するようなひどいことにはならないだろうと。分からない人たちだけど、僕の特性を知っているカツオさんの人選なんだから、どう転んでも「なんだこれ?」にはならないだろうと思いました。

――実際に編集されたのを見たときはどんな思いでしたか?

いい意味で想像と違っていました。すごい熱量を注いでくれたのが分かる映像で、「ああ、この人たちとなら」って、そこで僕の中にあった壁が取り払われたような気がします。でも悔しかったのは、結果が振るわなかったことですね。やっぱり難しい、早々に終わっても仕方ないと思うくらいでした。

――渡部さん自身、自分のYouTube番組「渡部チャンネル」が苦戦していて、難しいと吐露していましたよね。

そうですね。YouTubeを甘く見ていました。特に自粛前の僕は認知だけはあったし、芸能人のYouTubeブームより少し早く動いたので(2020年1月に初投稿)、楽勝だろうなっていうぐらいの、はっきり言ってほぼノープランでスタート。で、全然ダメでした。その苦い経験があるのでロケハン番組も「やっぱりな」ってなりましたよね。

――続けていくことで、登録者数50万も見えて来ました(取材時)。口コミのような広がりだったと思いますが、今の反響はどう感じていますか?

これこそ本当に、今でこそですね。「さまぁーずチャンネル」で取り上げていただいたり、中田のあっちゃん(オリエンタルラジオ・中田敦彦)がすごく褒めてくれたり、スタッフやロケハン先の皆さんの協力があって、今なんとかこういう形になっているんだと思います。僕の気持ちとしては、単にタレントのYouTubeチャンネルが50万を達成したというのとは、数字の意味が違うなっていう気がしています。

――ロケハン先での反応はどうですか?

スタート時はまだ復帰してからほとんど活動できていない状況だったので、どういう視線で見られているのかよく分からなかったんですよね。それからの今、番組の認知と僕も僕なりに露出が増えて、以前より笑顔で受け入れてもらえているという感覚はありますね。

――お店にはおおむね撮影OKをもらえている印象ですが、全く相手にされないような状況もあるわけですか?

お店の印象が悪くなるからカットしているだけで、全然ありますよ。特にスナックは危険なスポットですね。「飲んでけよ」とつかまり、出るに出られなくなるという。

「ネットで頑張ります」と諦めるのは簡単

――YouTubeやABEMAでは「渡部、面白い」と、いい雰囲気で迎えられています。出れば厳しいことを言われるに違いない地上波にこだわり続けるのはなぜですか?

僕はやっぱりテレビに出たくてこの世界に入って、テレビに育ててもらったんですよね。それに、いまだに地上波で僕を待ってくれているスタッフがいる。「テレビはもう無理です。諦めました。ネット配信で頑張ります」って言っちゃうのは簡単なんですよ。でも、それをしてしまうと僕の中でゴールを見失うというか。地上波に戻れたら全てが許されるなんて思っていないです。けど、世間的にもまず1つ許容してもらえたと思える、分かりやすいゴールなんじゃないのかと思うんですよね。

――手応えは感じていますか?

現状はすごく厳しいです。活動再開から3年半経ってもこの状況なので、気持ちは切れそうです。それでもゴールに向かいたい。だけど、なんていうんですかね。なんか、うまく説明できなくて申し訳ないです。難しい。言葉にすると、気持ちとちょっと違くなるんですよ。

そうですね…。やっぱりどこかで僕は、世間様に許してほしいと思っているんです。もう一回お茶の間に戻りたい。グルメ、地上波ということよりも、もう一回お茶の間で見られるタレントに戻りたいっていうのが本音ですね。とてもとても険しい道のりというのは分かっているのですが。

――YouTubeやABEMAでは人気なので、その方面の番組の誘いはあると思います。

ありがたいことにお話をいただくことはあります 。ある企業がプラットフォームも決まっていないのに、また一緒に番組やりたいからと企画を揉んで、持ち込み先を探してくれたというのは実際にあります。それこそ「スッパイは成功のもとTV」(ABEMA)はそのケースです。ミツカンさんが「何かやりましょう」と声を掛けてくださって実現した番組です。

――そういうのは誘惑になりませんか? ここ(ネット)で十分なんじゃないか、こっちに転がった方が楽なんじゃないかって。

ありがたいオファーであって、それを誘惑というのはピンと来ないですね。それはそれで全力でやる仕事だし、言ってしまえば現状そっちに転がっていますから。「声を掛けてもらったことに全力で応える」のと「地上波を目指す」のは同じだと思います。

――自粛前と自粛後、一番変わったと思うのはどんなことですか?

よく言っていることなんですけど、僕、認知はあったんですよ。でも、人気はなかった。イベントで集客できるわけじゃないし、本やグッズを出してもバカ売れすることもなく。「渡部? 知ってるよ」っていう、そういうタレントでした。でも今はちょっと違って、街中で「渡部さん!」って肩を叩かれて、ものすごい固い握手をされて、「めちゃめちゃ応援してます!」っていうことが結構あるんです。

――ロケハン番組でも、その場所ごとにファンの方が駆け付けてくれていますね。

今までなかったことです。自分ではスタイルが変わったと思わないけど、見られ方が変わったんでしょうね。これも言葉が難しいんですけど、応援してくれる人が増えた気はします。「サインください」は以前もありましたけど、「応援してます」は今になってからです。

諦めない姿勢だけは取り続ける

――この番組はグルメですが、面白く盛り上げる渡部さんのバラエティー力が光ります。芸人仲間やスタッフが渡部さんと何かをやろうとするのも渡部さんが面白いからだと思います。でも、自粛前の渡部さんは“面白がられること”を避けていたイメージがあります。

なるべくそういうところから避けて、情報番組ばかり。お笑いのバラエティーはほとんど出ていない状態でしたね。それで“渡部建”が成り立っていたから、それがいいと思っていました。でも、今はいじられてなんぼ。これを受け入れていくしかない。別に取り繕うわけではないですけど、以前もオファーさえあればバラエティーも全力でやる気はあったんですよ。でもなかったということは、僕がそういう風に見られる空気を出していたんだと思います。

――笑いは好きだけど、笑われる自分は好きではなかった?

僕、笑われるのも嫌いじゃないですよ。でも、笑われる立場にいれなかった。つまり、いじられにくかったんですよね。それも、笑ってもらえる場所を避けていた自分のせいだと思います。

――今、ネット番組中心とは言え、出演の場は徐々に増えてきています。これから地上波復帰のために考えている行動は何かありますか?

今は何か考えて動くということは完全に捨てています。今の僕が戦略的にやろうとしたら、なおさら受け入れてもらえなくなるのは目に見えています。だから同じ答えになりますが、オファーをいただいた仕事はなんであっても死ぬ気でやるだけです。その中で地上波に戻りたいという思いをちゃんと発信する。まだまだお茶の間は遠いし、成し遂げられないかも、というのも本音としてあるんです。でも、姿勢を見せることだけはやめないです。諦めない気持ちだけは持ち続けないと。

アンジャッシュ復活も、必死の先にあること

――最後に、アンジャッシュのことを聞かせてください。今渡部さんは1人でグルメやバラエティーで体を張っています。それはそれで面白いですが、原点はやっぱりアンジャッシュだと思います。コンビの活動はどう考えているのでしょうか?

これも答えが一緒なんですけど、僕が戦略的に児嶋(一哉)を口説いても、向こうは乗らないですよ。客観的に見て、児島が今の僕と組むのにメリットは何もないですから。消極的かもしれないですが、児島がまたやろうと言ってくれるように頑張る姿を見せていく。それしかないですね。

――アンジャッシュのすれ違いコントをまた見たいというファンは多いと思います。

それは児島にも届いていると思います。だからこそ心を痛めていると思います。いつになるのか約束はできませんが、またファンに見せられる日が来ると信じたいですね。

◆取材・文:鈴木康道

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