洋服屋さんあるある？販売員と声をかけられるのが苦手な客の接客風景に「これなら安心」と反響続出【漫画】

2025.06.18 18:10

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回紹介するのは、漫画家のぼのこさんによる『販売員恐怖症の私。百貨店へ服を買いにいく』だ。

同作はアパレルの販売員を通じた人間ドラマが展開される『アパレる』シリーズのエピソードで、販売員恐怖症である女性の様子が描かれている。以前X(旧Twitter)に投稿されると、3000以上の「いいね」を獲得。そこで作者であるぼのこさんに、同作を手がけたきっかけについて話を伺った。

販売員に声をかけられるのが大の苦手…

学生の頃から“可愛いもの”が大好きなアラサー女子の富和夢子。富和は自分の服装と全く違うシックなファッションの同世代との再会をきっかけに、“大人っぽい服装”にトライしようと考えていた。

しかし、アパレルショップの販売員に声をかけられるのが大の苦手だった富和。それでも意を決し、百貨店の気になっているショップに行くことにして…。

読者からは「声をかけられるのが苦手なのすごく分かる」「作中みたいな店員さんがいれば話してみていいかも」など、さまざまな反響が寄せられている。

時としてお客に不親切な言葉になる「どなたにも似合いますよ」

――『アパレる』シリーズを創作したきっかけや理由があればお教えください。

アパレル販売員として働いていた実体験をきっかけに、この漫画を描き始めました。日々の接客の中で出会ったお客様との印象的なやり取りや、共に働いたスタッフとの関係の中で感じたことをもとに、「仕事と真摯に向き合うことで見えてくる気づきや喜び」を丁寧に描いていけたらと思っています。読んでくださる方にとって、働くことの意味や人との関わりについて考える小さなきっかけになれば嬉しいです。

――Xに投稿された『販売員恐怖症の私。百貨店へ服を買いにいく』を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあれば教えてください。

今回の作品では、販売員として普段何気なく使ってしまいがちな言葉が、本当にお客様の気持ちに寄り添えているのか、そんな問いを読み手に投げかけられたらと思いながら描きました。

たとえば「どなたにも似合いますよ」といった言葉は、接客の場ではよく使われる便利なフレーズですが、お客様の気持ちと少しずれてしまうこともあるかもしれません。このお話は、販売員とお客様の両方の立場を経験したからこそ描けた、身近でリアルな悩みをもとにしています。言葉の持つ印象の繊細さや、伝え方の難しさについて、作品を通じて考えるきっかけになれば嬉しいです。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

特に思い入れのあるのは、お客様(フワ様)が自宅の鏡の前で購入した服を着て、「『誰にでも似合う』って言ったから買ったのに、やっぱりウソじゃん」と呟くシーンです。

この場面は、私自身の実体験をもとに描いたものです。以前、プライベートで服を購入した際に「どなたにも似合いますよ」と勧められて買った白いシャツが、自分にはしっくりこなかったという出来事がありました。そのときに、「誰にでも似合う服」ではなく「自分に似合う服」を求めているのがお客様なのだと、あらためて実感しました。

頭では理解していたつもりでも、実際に体験してみて初めて、その言葉の重みや意味が深く腑に落ちた感覚がありました。だからこそ、このシーンには特別な思いがあります。

――今後の展望や目標をお教えください。

今後も現場に根ざしたリアリティと、小さな視点の転換を促すような作品づくりを続けていきたいと思います。接客の現場では「よかれと思ってかけた言葉」がかえってすれ違いを生んでしまうこともあります。

そうした小さな“違和感”や“言葉の温度差”を丁寧に描くことで、作品を通じてさまざまな立場の方が多様な視点に触れるきっかけになれば嬉しく思います。まだまだ模索の途中ではありますが、自分自身や周囲の人々の体験に根ざした、実感のこもった表現を少しずつ積み重ねていけたらと考えています。

――読者へメッセージをお願いします。

数ある作品の中からこの漫画を見つけてくださり、本当にありがとうございます！アパレル経験のある方はもちろん、そうでない方にも楽しんでいただけるお話をお届けできるよう、これからも作品づくりに励んでまいります。どうぞ応援よろしくお願いいたします！