「PJ ~航空救難団~」第8話より

神尾楓珠“沢井”、恩人・内野聖陽“宇佐美”に12年越しに感謝「父の心を運んでくれただけで、あっぱれです!」<PJ ~航空救難団~>

2025.06.18 11:28
「PJ ~航空救難団~」第8話より

内野聖陽主演、航空自衛隊全面協力のドラマ「PJ ~航空救難団~」(毎週木曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系/TELASA、Tverにて配信)の6月12日放送の第8話で、12年前に自分を救った救難員が宇佐美(内野)だと知った訓練生の沢井(神尾楓珠)が、自分の知らなかった父の最期の様子を宇佐美から聞き、とらわれていた過去から前に進めるようになった様子が描かれた。(以下、ネタバレ含みます)

「人命救助最後の砦」のPJを目指す学生たちと教官の群像劇

「PJ」とは、“パラレスキュージャンパー”の略。海上保安庁や山岳救助隊などでは救助不可能と判断された場合に出動する「人命救助最後の砦」とも言われる航空自衛隊の究極の救難団だ。

本作は、航空自衛隊小牧基地を舞台に、救難教育隊の主任教官・宇佐美誠司と救難員を目指す学生たちのヒューマンストーリー。加えて、PJの過酷な任務の様子をリアルかつ壮大なスケールで描いていく。

“うえすぎひとし”と“さわいじん”

12年前に雪山で遭難した自分を助けてくれた救難員が宇佐美だと知った沢井は、彼に改めて礼を言った。宇佐美も、沢井があの時の少年だったことを知ったのは最近だ。遭難当時、沢井は父親の苗字の“上杉”で、救難隊は“仁(じん)”を“ひとし”と読み違えていた為、要救助者だった“うえすぎひとし”と現在訓練生の“さわいじん”が同一人物だとは、宇佐美をはじめ、誰も気が付かなかったのだ。沢井は、感謝するとともに、自分と共に遭難した父親(和田正人)は何故助からなかったのかを尋ねた。

上杉父子はBCクロカンを楽しんでいたが天候が急変し、一瞬で吹雪になった。ホワイトアウトに見舞われ、仁は足を滑らせ、ロープでつながっていた父と共に滑落してしまった。

父は救難隊が見つけやすいように木に赤い布を巻くことを思いつき、息子を比較的安全な場所に残して木に向かった。そして、枝に布を巻いた。が、その時、乗っていた箇所が折れ、父は落下して頭を打ってしまった。

上杉父子の捜索に来た救難隊は1人で居る仁を見つけ、宇佐美が救出。ヘリコプターに無事収容した。だが、上杉の捜索は状況的に困難との判断から断念して基地に戻ることになった。

だがその時、意識もうろうの仁が「お父さん…ごめん…」とうわごとのようにつぶやき、それを聞いた宇佐美は、「上杉は赤い布の木の周りに居るはずだ。10分待ってくれ。それがダメならオレだけ降ろしてくれ」と頼み込み、1人で上杉の捜索に向かったのだった。

木の下で倒れている上杉を発見した宇佐美は、頭のケガの手当てをした後、日没と天候の急変、上杉の体力を考えて、ヘリが戻ってくるのを待たずに彼を背負って下山することにした。

しかし想定以上に雪は深く、その上、実は先ほど雪山に着地した際に宇佐美は膝をひねって痛めていた。現在も宇佐美を苦しめている膝の痛みは、この時の負傷が原因だ。

そんな理由から想定以上に下山に時間がかかってしまい、上杉は途中で息を引き取った。宇佐美は沢井に、父親を助けられなかったことについて「本当に申し訳なかった」と、深く頭を下げて詫びた。

宇佐美の12年間の自責…

沢井は、父の死は自分が滑落したのが原因で宇佐美のせいではない、と言い、自分の知らなかった父親の話を聞けて良かったと告げた。が、「ただ…」と続けた。彼は、宇佐美に「PJとして、何が正解だったと思うか」と問いかけた。沢井は、仁科(濱田岳)が救難作業中に殉職したことがまだ吹っ切れないでいた。目の前の命と自分の命…いざとなったら自分はどちらを優先するのだろう。心では「助けたい」と思っていても、死と直面したら…?

答えが出せず苦しむ沢井に、宇佐美は「正解は無い」と答え、だから、生きてる自分たちは日々考え、努力を続けるしかないのだと告げた。沢井もそれには同意しながらも、自分は宇佐美のように強くなれるのだろうか…と悩みは深まる。そんな彼に宇佐美は、自分もそんなに強くない、と言うのだった。

宇佐美は、上杉を救えなかったことをこの12年間ずっと引きずっている。当時の宇佐美の日記には、出動から救出までに無駄な動作は無かったか、子供を発見した後に何故すぐに父親の捜索に気を回さなかったのか、自分の能力や技術を過信していなかったか、など反省と後悔の言葉が並び、「生きて救えなければ、何もできなかったのと同じだ」「結果が全てだ」と自責の念がつづられていた。そして「あの子は今、どうしてるだろう」と、仁を気遣う一文もあった。どうしてそこまで宇佐美は固執するのか…それは、仁が自分と重なるからだった。

宇佐美が仁の父をどうしても救いたかった理由

宇佐美の父親は医者だった。息子の宇佐美から見る父は、“お医者様”然としている偉ぶった人物で、そんな父親の態度が嫌だった。父は宇佐美も医者になることを望んだが、それには反発。だが、患者に感謝される父を見て育ったせいか、人を救う仕事には幼い頃からひかれていた彼は、航空自衛隊に入って救難員を目指すことにしたのだ。

そのまま父親とは疎遠になっていたが、PJになった日に父から食事の誘いが来た。ほとんど会話も無く過ごしたが、別れ際に「命だけは大切にしろよ」と父親が言った。その時、宇佐美は父について、偉ぶった医者だと思っていたが命を救うことに対しては真剣なのだと知った。だが、これが父との最後の会話になってしまった。父はこの帰り道に交通事故で亡くなってしまった…。彼は父親の言葉に返事をしなかったことを激しく悔やみ、また「あの時、誘いを断っていれば、父親は死なずに済んだかもしれない…」との思いをいまだに抱えているのだった。

「父の死は、自分のせい」―宇佐美と沢井の共通の思いだ。だから、自分のような後悔と自責の念を抱えて生きてほしくなくて、何としても上杉を助けたかったのだ。救難中に私情を持ち込むのは、プロとして失格だ。だが宇佐美は、どうしても息子の心を救ってやりたかった。

教官としてではなく、人として…

宇佐美は、そんな自分の思いを沢井にどう伝えればいいのか悩んでいた。思いを巡らせて珍しくウジウジくよくよしている宇佐美に業を煮やした元妻の真子(鈴木京香)は「教官としてではなく人として話さないと、思いは伝わらない」と、強がらずに正直な気持ちを伝えるようにハッパをかけた。

宇佐美は、沢井を訓練場ではなく“あいち航空ミュージアム”に呼び出した。私服姿の2人は、館内を回りながらたわいもない会話をしたりして、親子のような雰囲気だ。そして、展望デッキで、いつもとは違う角度から基地を眺めながら、宇佐美はPJになったのは沢井ぐらいの歳だった、と話し始め、自分と父との関係、今の沢井のように父の死に責任を感じていること、同じ思いをさせたくなかったことなどを語った。

宇佐美は、上杉が息を引き取った時、救えなかった悔しさと自分に対しての憤りを感じながらも「せめて息子の元に父親を連れて帰らなければ」と、壊れた膝を引きずりながら麓に向かった。あと少しの距離で目下に人影が見えた時、張り詰めていた気持ちが切れ、膝が限界を超えていたこともあり倒れこんでしまった。

だがその時に、あらん限りの力を尽くして愛する息子を何とか助けようとした上杉の心が宇佐美に流れ込んできて、弱っていた彼の心を奮い立たせ、宇佐美は再び上杉と共に麓へ歩み出すことができたのだと振り返った。そして、「だからオレは、全然強くないんだ」と素直に告げるのだった。

沢井は、父親の“心”を運んでくれた宇佐美は「もうそれだけで、あっぱれですよ!」と言い、雪山で1人になった自分は心細くて暗闇の中に居たが、宇佐美がホイストで降りてきた姿を見て、「どんな世界にも希望はあるのかもしれない」と思った、と告げた。そして今の沢井は、「かもしれない」ではなく「きっと希望はある」と実感しているようだ。「だって、オレが憧れた救難員と、今一緒に居られてるんですから」と、晴れやかな表情で語る沢井に思いが込み上げる宇佐美。

「宇佐美さんは強い人ですよ」

そして、沢井は宇佐美を真っすぐ見つめながら「宇佐美さんは強い人ですよ」と言った。彼は初めて「主任教官」ではなく「宇佐美さん」と呼んだ。人として話した宇佐美の思いが通じたのだ。

沢井は、宇佐美の話から父の思いを12年たって初めて知ることができたのだ。宇佐美がこうして“父の心”を届けてくれた。これまでは父を思い出すたびに後悔がつきまとい、つらく苦しい思い出でしかなかったが、これからは悲しい思い出であることには変わりがないが、父がどれだけ自分を思ってくれていたか、愛してくれたかも感じることができるはずだ。やっと沢井の“心が救われた”。と同時に、宇佐美の心も少しは救われたのではないだろうか。

次回、ついに最終回。65期の訓練生5人は、それぞれの傷を克服しながら成長してきた。全員無事に卒業できることを願いながら見守りたい。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

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