子連れの女性と結婚したギャグ漫画家…読み書きできない娘に宿題を教える姿に「ほっこりした」の声【漫画】

2025.05.06 08:30

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回紹介するのは、漫画家の渡辺電機(株)さんが手がけるエッセイ漫画『父娘ぐらし 55歳独身マンガ家が8歳の娘の父親になる話』に注目しよう。

同作は、ギャグ漫画家である渡辺さんが2人の娘を持つ女性と結婚してからの日常を描いた作品で、好評を博して続編『父娘ぐらしそれから 55歳まで独身だったマンガ家が8歳の娘と過ごした4か月間』も刊行されている。

以前X(旧Twitter)に、娘に宿題を教える様子を描いた第17話がポストされると、2000以上の「いいね」を獲得。そこで作者の渡辺さんに、同作について話を伺った。

読み書きできない娘に体当たりの指導をする渡辺さん

ある日、娘の小学3年生「アユ」の国語の教科書に掲載されている絵本『ちいちゃんのかげおくり』を読んで号泣する渡辺さん。しんみりしているなか、アユはスマートフォンで動画を観て笑っていた。

しかし“教科書の音読”はアユに課された宿題。渡辺さんはアユに「じゃあ読んでみよう」と促すと、やる気なく機械的に読み始めたものの、どうやら分かる文字を順番になぞっているだけのよう。「苦痛なだけだよね」と思った渡辺さんは「よくがんばりましたー」「それじゃ音読カードにサイン入れようね」と元気よく接したが、アユはすぐにスマートフォンを手にして動画を観始めるのだった。

そして、渡辺さんは自身の小学～中学生時代を振り返った時に「宿題が苦手だったこと」「父親に宿題を見てらうのが苦痛だったこと」を思い出し、アユにはそんな気分にさせたくないと決意。今度はケーキをご褒美として、アユに漢字ドリルの宿題をやるように指導し…。

渡辺さんと娘のアユとの様子に対し、読者からは「仲良くしている姿を見て心が温かくなった」「冒頭の伏線からのラストの回収で笑った」などの声が寄せられている。

作者・渡辺さん「子育ての話題はどう描いても異論を唱える人が出てくる」

――2冊目となる『父娘ぐらしそれから 55歳まで独身だったマンガ家が8歳の娘と過ごした4か月間』が刊行された経緯を教えてください。

幸いにも1冊目の「父娘ぐらし」が好評をいただき、描きたいエピソードはまだ山のようにあったので、描き続けるのはごく自然な流れでした。ただ、1冊目にも登場した両親が次々に倒れて、父の介護と母の看取り&相続が同時進行で時間と体力を大幅に削られ、だいぶ完成が遅くなってしまいました。

――第17話を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあれば教えてください。

このエピソードに限らないのですが、子育ての話題はどう描いても異論を唱える人が出てくるので、「これが正しい」といいう押し付けの空気を醸さないように、神経を使います。「たまたま上手く行っただけ」という謙虚さは、忘れまいと。

――第17話の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

敢えてネタばらしをすると、カフェで宿題をやったのも、ケーキを2個食われたのも、音読しやすいように単語ごとに区切ってあげたのも実話ですが、お店で音読をやったのはフィクションです。そんな迷惑なことは、さすがにできません。

――個人的に気になったのですが、娘さんは同作についてご存知なのでしょうか？

いつのまにかネットで検索したりして、読んでいました。先生や友だちに訊かれたら普通に話しているようです。中学校の職業体験で近所の書店でお世話になった際は、さっそくカミングアウトして「父娘ぐらし」の単行本のポップを描かせてもらい、ご丁寧に「by娘」と結ばれていました。嫌がるどころか、全力で乗っかっているようです。でも、今後どう気が変わるか分からないので、気をつけてはいます。

――今後の展望や目標をお教えください。

両親の介護と看取りがだいぶ波瀾万丈だったので、それを何とか作品にまとめたいなと思っています。また、母の遺品整理をしていて発見した、女学校時代の文集や、祖父の関東大震災の日記が、どちらも非常に面白かったので、電子書籍にでもまとめて世に出したいです。そして、本業であるヒドいマンガも、忘れずに描いて行きたいです。

――読者へメッセージをお願いします。

いつもありがとうございます。今年は、新選組のマンガが電子書籍で出る予定です。生首がぽんぽん飛ぶ、可愛くてヒドいマンガです。よろしくお願いします。