森山未來“リー”と勝地涼“純”が生きる歌舞伎町のリアルを突きつける＜飛鳥クリニックは今日も雨＞

2025.04.25 18:00

森山未來が主演するLeminoオリジナルドラマ「飛鳥クリニックは今日も雨」が独占配信中。舞台となる東京・新宿歌舞伎町で起きている問題が浮かび上がる本作。第3話は、主人公・リー(森山)たちが未成年売春をしている少女たちを捜索する依頼を受けた。(以下、ネタバレを含みます)

新宿・歌舞伎町を舞台にした本格裏社会ドラマ

詐欺・情事・外道という“人間の欲望”をテーマにしたLeminoオリジナルドラマの第3弾。同ドラマの原作は「週刊SPA！」(扶桑社)で連載中の、Xのフォロワーが90万人を超えるインフルエンサー・Z李氏による同名小説だ。東洋一の歓楽街といわれる新宿・歌舞伎町で看板のない何でも屋を営む主人公・リーが、詐欺や未成年売春といった事件の真相に迫っていく。

主人公のリーを森山、リーの仲間である純を勝地涼、リーのかつての恋人・美香を馬場ふみかが演じる。監督は、自主制作映画「SRサイタマノラッパー」(2009年)が話題を呼び、「22年目の告白私が殺人犯です」(2017年)、「あんのこと」(2024年)、「室町無頼」(2025年)などを手掛けてきた入江悠が務める。

リーたちの元に“トー横キッズ”の少女を探す依頼がくる

リーが美香のことを思い出していたとき、純が飛び込んできた。SNS経由でパピーパパ(駒木根隆介)と名乗る人物から人探しの依頼があったのだが、前金として複数の名義から6件に分けて500万円が振り込まれ、「なんの金かな。おれさ、ヤバいのに巻き込まれちゃってるのかな～」とヤキモキしていたのだ。

だが、大金が手に入るとあれば放ってもおけない。純はリーに頼み込み、2人でパピーパパと会い、詳細を聞くことに。

パピーパパによると、“トー横キッズ”と言われる歌舞伎町にあるビルの周辺にたむろする少女の仲良し3人組の1人が自殺。残る2人のうち、1人が自殺に追い込んだことが分かり、もう1人が復讐(ふくしゅう)の機会を狙っていて、それを止めたいのだという。

パピーパパは復讐しようとしている少女のフォロワーという関係だけだったが、追加で500万円を支払うということで、リーたちは驚きつつ依頼を引き受けた。

歌舞伎町のリアルな問題が画面を通して伝わる

リーは純に説得され、過去に因縁がある唐仁組幹部の山上(吉原光夫)を呼び出す。山上の事務所がトー横の近くにあるのだ。だが、山上はトー横キッズたちが売春のあっせんや処方箋ドラッグを売りさばいたりしているのは「いい迷惑」だと言い、売春をやっている少女たちのことも「専門外」ということだった。

そこから思いがけない展開へと話が運ぶ。

依頼された少女たちを探す手掛かりのため、マージャン仲間の佐野(小倉史也)に顔見知りのトー横キッズの少年・タツヤ(櫻井健人)を紹介してもらったリーと純。少女たちが売春した金を貢がせている“リブバ”と呼ばれるグループにたどり着いたのだが、流れで連絡が取れなくなっていたミク(佐々木ほのか)という少女を探すことに。すると、客の男に覚せい剤を使われて意識を失っているミクを発見した。

1話、2話以上に画面からリーたちが生きる歌舞伎町の“におい”まで伝わってくるようだ。森山や勝地らメインキャストはもちろん、トー横キッズ役のキャストまで俳優陣は、その空気の中にしっかりと溶け込んでいる。薬物などの隠語が当たり前に飛び出すリアルな感じが、若者たちに売春やクスリがまん延している退廃的な様子を浮き彫りにする。

ドラマとはいえ、日常に近い部分を描いているだけにやるせなさや恐ろしさといった感情が芽生え、考えさせられる。

物語は、リーたちの隙を突いて客の男が逃げたところで第3話のラストを迎えた。2人の少女を探す依頼と、新たな問題にリーたちが立ち向かう。

Leminoオリジナルドラマ「飛鳥クリニックは今日も雨」(全8話、第1～2話は無料配信)は、Leminoで独占配信中。

◆文＝ザテレビジョンドラマ部