福山雅治“チイ兄ちゃん”が揃って兄弟の物語が動き始める＜ひとつ屋根の下＞

2025.04.19 20:00

江口洋介が主演を務める「ひとつ屋根の下」(1993年、フジテレビ系)が、現在FOD・TVerで配信中である。今から32年前のドラマだがその名を知る人も多いであろう、超人気シリーズ作で1997年には続編が放送された。長男の柏木達也(江口洋介)を中心とし、二男で医大生の雅也(福山雅治)、しっかり者の長女・小雪(酒井法子)、やんちゃな三男・和也(いしだ壱成)、高校生の二女・小梅(大路恵美)、そして車いすで生活する四男・文也(山本耕史)たち兄弟の物語。今回紹介する第3・4話の時点ではまだ、兄弟全員が柏木家にそろっていない。一人増え、また一人増えといった具合に集結していく様子がにぎやかである。 (以下、ネタバレが含まれます)

二女・小梅が学費を稼ぐためにキャバクラでバイトをする

第3話。小梅は、大学へ行きたいが、里子先の高橋家ではお金を出してくれそうもない。自分で働いて入学金をか稼ごうと考え、キャバクラで働きだした。小梅がキャバクラから出てくるところを和也が目撃した。それを聞いた達也が、様子を見に行く。翌日、達也はキャバクラへ出かけ小梅を指名。「お前がいる限り通い続ける」と言い、連日店へ顔を出す。すると、雅也もやってきて、小梅を指名する。

小雪は不倫の上司と別れ、会社も辞めて達也のところへ引っ越してきた。達也は、小梅も引きとることにした。依然として柏木家にそろっていないのは二男・雅也だ。

赤ちゃん、イヌに続いて雅也も柏木家にやって来る

続く第4話。達也が柏木クリーニング店を開店させた。順調な出だしに鼻歌が混じる達也。そこへ、小梅の働いていたキャバクラ勤めの登志子(村上里佳子)が、下着類をドサッと持ってきた。そして、なんと赤ん坊を置き去りにしていった。達也は仕方なく赤ん坊の面倒を見る。加えて小梅が小犬を拾ってきた。柏木家はイヌをめぐって大騒ぎになる。

雅也は、裕蔵(清水紘治)の書斎へ呼ばれた。雅也らの叔父・幸夫(山本圭)が訪ねて来て「お前を『兄妹のところへ返してくれ』と言われた」と告げられたという。

自分の育った家と兄弟たちのことを思う気持ちが葛藤する雅也は、柏木家に顔を出す。そこへ小雪の不倫相手だった日下部(辰巳拓郎)がやってきた。雅也が日下部になぐりかかっていたところ、登志子の家へ赤ん坊を返しに行っていた達也を小梅が呼び寄せ、兄弟たちは団結して小雪を守ろうとする。

柏木兄弟たちのケンケンポーズが懐かしい

「ひとつ屋根の下」といえば、兄弟たちが力を合わせて様々な問題を切り抜けていくストーリーであることは多くの人の記憶にある。第1話で婚約者にフラれた達也がクリーニング店を家業にして営んでいき、年の離れた弟や妹のためにアツく泥臭く生活をしていくたくましさが作品の魅力だ。

長男・達也を“あんチャン”、次男・雅也を“チイ兄ちゃん”と呼んで慕う妹たちの視点で見ると、毛色の違う2人の兄は、時に頼もしく、時に温かくて心の支えとして不動の存在となっていく。第4話で雅也が裕福な育ての親の元から出ることを選び、柏木家に入ることになるのだが、見ている方まで「チイ兄ちゃん”が来てくれて良かった～」と思うくらい欠けていたパズルが揃った感覚になるだろう。

柏木兄弟たちは達也の教えで『チキチキマシン猛レース』に出てくるイヌのキャラクター・ケンケンの笑い方をマネして「シッシッシッシッシ！」というポーズをよくやる。そのポーズを雅也も一緒にやったときには見ている方にまである種の高揚感が生まれる。そこに財津和夫の主題歌「サボテンの花」のイントロが流れ始めれば、当時の若かった自分と再会できたかのような感覚になるほど懐かしい気持ちに。一昔前のドラマ配信にはタイムマシンのような作用があるのかもしれない。