暴力によって心に傷を負った2人の男女…苦悩と向き合いながら生きていく姿に「涙が出ました…」の声【漫画】

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、「コミックDAYS」にて掲載されている『木漏れ日の針』をピックアップ。本作は、月刊アフタヌーン(講談社刊)主催の新人賞「四季賞」において、「アフタヌーン四季賞2024秋 四季賞」を受賞。そんな本作を作者である漫画家の芳野嗣さんが2025年2月6日にX(旧Twitter)に投稿したところ、7000件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では芳野嗣さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

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同じ経験をしたからこそわかる痛み

会社を辞めて3年目の27歳女性。水商売に疲れ果ててしまい、安アパートに引っ越してきたという。女性がコンビニからアパートに帰ってくると、長い髪に薄汚れた制服を身につけた男の子が座っている。

挨拶を交わすと、「うちの鍵失くしちゃって」と男の子に話しかけられた。戸惑った女性は、「そうなんですね……」「気をつけて…暑いので」と男の子を気遣う。

すると男の子は女性に対して「なんでガキに敬語？」などと笑みを浮かべる。そんな男の子の態度に、「ニガテなタイプだな」と思いながら、自分の部屋へと戻った。

スマホを見ながら女性が部屋でくつろいでいると、人が殴られるような物音が隣の部屋から聞こえてくる。女性はその物音を聞いて、自分が子どもの頃に受けていた虐待を思い出した。

女性が泣きながら吐き気を催していると、隣の部屋から「おねーさん大丈夫？」と男の子の声が聞こえてくる。

女性は自分が心配されていることはお構いなしに、壁に向かって必死に「だいじょうぶ!?」「だいじょうぶ!?」と叫んだ。

男の子は仕事で疲れている父親に殴られてしまっているという。そんなことを壁越しに話していると、酒を買いに行った父親が帰ってくる足音が聞こえてくる。

父親の足音がどんどん近付いてくる中、女性は「あ、あ、あのご飯とか食べてる？」「もしあれだったら明日の夕方階段前にいるから」「来て…」と男の子をご飯に誘うと…。

この漫画を最後まで読んだ人たちからは、「幸せになってほしい」「考えさせられる」「刺さった…」「大切なことを教えてもらった」「涙が出ました…」など反響の声が多数寄せられている。

芳野さんのこだわりは、爪の形や節の出方など“手の作画”

――『木漏れ日の針』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

元は連載企画として考えていたご飯モノでした。疲れた人たちが食を通して生きていくことを受け入れていく、お手軽な料理が出てくる物語を描きたいと思ったのがきっかけです！

――ミックスグリルをもっと味わえばよかったと言った時の、男の子の表情が心に残りました。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあればお教えください。

セリフがなくても気持ちが伝わるくらいの顔やジェスチャーになるように気をつけています！顔や肩の傾きにも注目してみていただけると面白いと思います。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

冒頭の雑木林や、見開きの夕陽ごしの葉っぱなど、つらい時も嬉しい時も常にそこにあってくれるものとしての自然物が、イメージに近く美しく描けたので気に入っています！

――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか？

ニュースやドキュメンタリーなどで、実際に起こっている悲しいことを知った時に、それが起こらないようにしたいと思って作品のメッセージの着想を得ることが多いです。そのメッセージを伝えるために、物語の展開を逆算して考えています。

――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか？

爪の形や節の出方などで、そのキャラクター性が伝わるように、手の作画にこだわっています！

――今後の展望や目標をお教えください。

読んでいる間だけでなく、読み終わった後にも元気や覚悟が持続するような物語を描いていきたいです！

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！

ひとに読んでいただいて漫画は初めて完成すると思うので、読んでくださる皆様に感謝を伝えたいです！