幽霊と人間の切ない恋物語

映画館から始まる幽霊と人間の恋物語…誰にも見届けられない切ない恋に「すごくロマンチック」の声【漫画】

2025.03.05 18:30
幽霊と人間の切ない恋物語

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、現在、ヤングガンガンにて『讐演のアルアビュール』を連載中の宮原都さんが描く、同誌での読切作品『二人だけのノンフィクション』をピックアップ。

2024年12月9日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、3.5万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、宮原都さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

小さな映画館で出会った幽霊と人間の切ない恋物語

過去には映画製作の道を志したこともあり、サラリーマンになった現在は映画鑑賞が趣味の幸助。そんな彼は、ある日の休日出勤後に足を運んだ小さな映画館で出会った女性のことが頭から離れなくなっていた。ガラ空きの館内でなぜか自分の隣に座った彼女は、そのとき上映されていた感動モノの映画に涙を流し、その綺麗な横顔が忘れられなかった幸助は、“彼女で映画を作りたい”という想いが溢れてきたのだった。

そして翌週、同じ映画館で同じ席に座った二人。苦手なホラー映画にビクビクする女性の恐怖を和らげるように触れた手は、二人が急激に距離を縮めるきっかけとなったのだが――。

毎週土曜日の夜、映画を二人で観ることが当たり前になり“彼女を知りたい”という気持ちが日増しに高まっていく幸助。しかし、この日のラブシーンがある映画に没入してしまった女性が幸助の手を絡めるような仕草で握ってしまい、恥ずかしさのあまりその日以降、姿を消してしまったのだ。

しばらくして、女性との再会を願う幸助が映画館の前を通ると偶然彼女を見かける。そして、そのとき初めて「結子」と自己紹介してくれた彼女は、自分はもうすでに“死んでいる”存在だと話してくれた。続けて語られた結子の悲しい人生を知った幸助は、生きているうちにやりたかった夢を一緒に叶えると伝える。

「海を見ること」

「恋をすること」

二つの夢を伝えた結子と幸助は、そのまま海へ向かうのだった。それから、結子は初めて恋を知り、幸助はカメラを片手に自分の夢も叶えていく。しかし、幽霊である結子がカメラに映ることはない。二人以外は誰にも信じてもらえない恋物語が密かに始まるのだった。

小さな映画館での出会いから始まる幽霊と人間の切ないラブストーリーには、「息するのも忘れるくらいに読み入ってた」「感動するめっちゃ好みの話でした!」などの反響が寄せられた。

作者・宮原都さん「『人が恋する瞬間』をたくさん描きたい」

――『二人だけのノンフィクション』を創作したきっかけや理由などをお教えください。

担当編集さんと読み切りから始める時に今まで女性同士の関係を多く描いていたので、変化をつけて男女の話を描くことになりました。映画がモチーフなのは私が邦画やドラマが好きだからです。

――本作の中で特にお気に入りのシーンやセリフを理由と一緒にお教えください。

「これが『好き』なんですね」

結子が”恋”を知った瞬間です。構図や表情含め、お気に入りのシーンです。「人が恋する瞬間」をたくさん描きたいと常日頃思っていて、模索し続けてます。

――本作や現在連載中の『讐演のアルアビュール』をはじめ、宮原都さんが描く女性は、明るい表情を見せているけれど影があったり訳ありだったり…といった光と影の二面性を持ったキャラクターが魅力的に描かれている印象があります。女性キャラクターを描く上で、大切にしていることやこだわっているポイントなどをお教えいただけますでしょうか?

キャラクターの過去や人間関係を納得いくまで組み立てようと努力はしています。うまくいかず採用されないことの方が多いんですけど…。そういった、キャラ人生を思い描いていくうちに皆んな影がある人生になってしまうんだと思います。多分、影の部分がある方が感情移入できるというか、甘い部分も苦い部分も描きたいという欲で生まれるのだと思います。

――幽霊の女性・結子が苦手なホラー映画を観るシーンがあり、「苦手な映画は観ない」という選択肢もあったのでは…と思ったのですが、毎日同じ時間に映画を観るという習慣があったのか、またはもう一度幸助に会いたいから観に来ていたのか…など、結子の心理をお聞かせいただけますでしょうか?

ホラー映画を観られたのは、一緒に観る人がいたからです。幸助が来る前から結子はそこに座っていて、唯一の娯楽で、唯一の外とのつながりで…おそらく映画は大好きだったのだと思います。

映画は好き…だけど観られないジャンルがあるのはなんとなく悔しいじゃないですか。結子が「自分に気づいてくれる人が横にいれば観られるかも…」と勇気を振り絞った結果です。

――X(旧Twitter)のご投稿には、「息するのも忘れるくらいに読み入ってた」「すごくロマンチック」など、ストーリーに没入する読者からのコメントが多く寄せられていました。今回の反響への感想をお聞かせください。

たくさんの方に読んでいただけて感謝しております。感想をいただけるのは本当に貴重なことだと思いますので、この先漫画を描く上でとても励みになります。

――最後に、宮原都さんの作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。

性別に関わらず、恋愛についての話をまだまだたくさん描きたいです。これからも応援していただけると嬉しいです。

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