山崎育三郎・明日海りお・古川雄大・黒羽麻璃央・中村梅雀、落語とミュージカルの融合に手応え「想像以上にハマる」＜昭和元禄落語心中＞

2月28日(金)より東京・東急シアターオーブを皮切りに、大阪、福岡にて上演されるミュージカル「昭和元禄落語心中」の囲み取材会が行われ、山崎育三郎、明日海りお、古川雄大、黒羽麻璃央、中村梅雀が登壇。初日を迎える心境や稽古中の出来事を振り返った。

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同作は、山崎、明日海、古川という日本ミュージカル界をけん引するスター3人が初共演を果たす、新作オリジナルミュージカル。演出を小池修一郎氏(宝塚歌劇団)が手掛け、強力布陣で日本発の和物オリジナルミュージカルを立ち上げた。原作は、雲田はるこ氏による、戦前から平成に至る落語界を舞台に人々の多彩な生きざまを描いた同名漫画。2016・17年にアニメ化、2018年にドラマ化され、いずれも大きな話題となった。

山崎育三郎、「夢のような時間でした」と胸いっぱい

初日を迎える心境を問われ、初太郎・助六を演じる山崎は「8年前にNHKのドラマでこの作品に出合い、きっとこの作品はミュージカルにしても魅力的な作品になるんじゃないかという自分の直感と妄想から始まったものが、こうやって形になっていよいよ初日を迎えるということで、本当にワクワクしますし、夢のような時間でした」と感慨深げ。

また、「0から立ち上がっていく期間というのは稽古も大変だったんですけど、いよいよ始まるので、お客様にどうやって受け止めていただけるのかというのはすごく楽しみです」と意気込んだ。

みよ吉を演じる明日海は「みよ吉は、落語を愛する2人(助六と八雲)に絡んでいく役で、せっかく仲のいい2人をこじれさせる役ですので、繊細に自分らしく楽しんで演じられたらいいなと思っております」とコメント。

菊比古・八雲を演じる古川は「八雲は元々踊りをやっていたんですけど、足のけがで踊りができなくなってしまって落語と出合います。そのときに天才の助六という存在と出会って、彼の影響を受けながら、そして自分自身葛藤しながら落語を背負っていくという役です」と役柄を紹介した。

与太郎役の黒羽は「僕は師匠(八雲)の弟子としてお二人の約束の穴を埋めるような存在です。松田さん(金井勇太)という方と小夏ちゃん(水谷果穂)という方と、どちらかというと現代パートのトリオの一角でございます」と解説。

七代目八雲役の中村は「この人たちの師匠で、大名跡を持っています。その名跡をどうするかというのが物語の中で結構な軸になっています。こう見えて私は噺家(はなしか)の役をやるのは初めてなんです。でも私の血に噺家の血が流れているんです。私の父・梅之助の母親のお父さんは、実は二代目談州楼燕枝(えんし)という噺家でした。ついにそういう役が来たなという感じで、自然に溶け込める自分に“やっぱり血があるのかな”というのを感じております。楽しみに頑張ります」と語った。

大変だったところを問われると、山崎は「壮大なストーリーなので、これを3時間以内にミュージカルにまとめるというのが一番大変だったんですけど、でも稽古場の雰囲気も良く、みんな穏やかというか、うわーっ！ていうタイプが全くいないので、ずっと静かに進んでいきました。いろいろなことがありましたけど、稽古場の空気はすごく良かったですね。梅雀さんがムードメーカーなのでずっと盛り上げていただきました」とにっこり。

梅雀は「とにかく大変な舞台であることは確かなので、みんながいつも元気よく楽しんでやっていかないとしょうがないので。お客さんも楽しめるように我々が楽しまなきゃいけない。その空気は大事だなと思っていました」と応えた。

「それぞれのキャラクターに合わせた音楽」で魅了

原作の雲田氏も稽古場を訪れたといい、山崎は「雲田先生は『落語心中』の世界がミュージカルでどういう感じになるんだろうと思っていたらしいんですけど、実際に通し稽古とかを見ていただいて、『想像以上にハマる。落語とミュージカルというのはこんなにマッチするんだ』というお言葉をいただいて、すごくうれしかったです」と振り返った。

さらに、「もちろん落語もちゃんと師匠に付いて稽古して、落語を喋っているところから音楽に入っていくというのもありますし、落語は『落語心中』としてちゃんと見せられる。和物ミュージカルなので和楽器が聞こえてきて、ずっとそういう感じなのかと思いきや全くそうではなくて、割と通常のミュージカルに近い、それぞれのキャラクターに合わせた音楽」と劇中の音楽についても言及。

そして、「例えば助六だったら、すごくパワフルでエネルギッシュなので、ロックサウンドだったりとか、ちょっと繊細な八雲のメロディーだったり、日本の雰囲気が漂う和楽器が聞こえてきたり、そのキャラクターによって音楽の使い方も変わってくるので、いろいろなジャンルの音楽が楽しめる」とアピールした。

さらに、梅雀も自身の演出について「一番予想を裏切る登場の仕方です。乞うご期待です。まさかの楽器をまさかな使い方をして、まさかの歌い方をします」と笑顔を見せた。

稽古について、明日海は「やはり普段私たちは洋物のミュージカルに出ることの方が多いので、こうやってお着物を着させていただいてお芝居したときに、艶やかというか、まず所作が正しく美しくありたいなということと、首のラインや指先とかが美しく使えたらいいなと思って、日本舞踊の先生にお伺いしたりとか、いろいろな映画とかを見ていました」と語る。

そして、「宝塚時代は、それこそ男役って結構足を開いたりとか大きく見せることを意識しているので、今回は全然違いました」とはにかんだ。

古川は「落語はあまり詳しくなかったんですけど、今回この『落語心中』を通して落語の魅力を存分に伝えていただいたのはもちろん、やる側にとってはとても難しくて。そもそも難しいんですけど、役を通してやるというのが。また、それも年代が別で、すごくうまい時期もあったり、荒削りな時期もあったりという、落語の表現の中ですごく難しさを感じております」とコメント。

山崎も「難しいのは、自分としての落語ではなくて役としての落語というそこの表現と、それに年齢も重ねていくので、それはすごく難しかったと思います」と頷いた。

キャストの中で最年少組の黒羽は、「弟子ポジションみたいなのはそろそろタイムリミットが迫っているなという、年齢的に(笑)。今回は甘えられる先輩方がたくさんいらっしゃいますので、一つでも多く技術を盗んで持って帰りたいなと思っています。なんなら今お借りしているこの扇子も梅雀さんのものでございまして、魂を受け継いでおります」と明かし、帯に差した扇子をアピール。

梅雀から「あげてもいいよ」と言われると、「いやいやいやいや！そんな恐れ多いですけど…梅雀さんの心とともに」と大切そうに触れていた。

最後に山崎は「個人的に僕は1998年がデビューで、小椋佳さんが企画されたオリジナルミュージカルというのが自分の育った場所・原点で、やっぱり日本のオリジナル、日本から発信するミュージカルを世界に出したい、これが一つ大きな自分の夢でありました」と懐古。

そして、「今回こういう形で、この日本人キャストで、0からすべて日本のチームで作ったものをお届けできる、スタートできるというのは、本当に自分としても光栄な気持ちでいっぱいです。ここから日本のミュージカル界に新しい風を吹かせたいという思いで、みんなでこの新作に挑んでおりますので、ぜひ劇場で体感していただきたいなと思っております。お待ちしております」と呼び掛けた。