心の傷みを知りたくて右手を噛む…女子高生の繊細な心の機微を描いた漫画に「いい話」「オシャレだし美しい」の声【作者インタビュー】

コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ガンガンJOKERで読み切り掲載された、嶋水えけさんが描く『君の傷みを知りたい』をピックアップ。

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嶋水えけさんが12月14日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、6,000件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、嶋水えけさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

心の傷みがわからない少女は自傷行為を繰り返す…

幼いころから笑わず、泣かない主人公の三崎(みさき)ウシオ。友人のアサからも心配されていたが、高校に入学後はよく笑うようになったと言われる。アサはウシオの右手首の包帯を見て心配するが、ずいぶん良くなったと言うウシオ。しかし、この包帯は自傷行為の跡を隠すためであった。「心の傷みがよくわからない」として、母親の葬式翌日に初めて自身の右手を噛むという自傷行為をしたウシオは、今でもそれをやめられずにいたのだった。

ある休日、アサと一緒に街に買い物に来ていたウシオ。「大人になるってなんだろう」とアサと話しながら横断歩道を渡っていると、車にひかれそうになる。とっさにアサがウシオを突き飛ばし、ウシオの代わりに車にはねられてしまう。

病院のベッドで寝ているアサの隣で謝るウシオは、自分は小さいころから何も変わっていないのだと、その場で自傷行為をしようとする。しかし、それに気づいたアサに止められ、他人の悲しみは「ウシオが背負いこむものじゃない」と言うアサ。さらに「私が大切に守り抜いたものを傷つけたりしないでよ」と泣きながら抱きしめられるのだった。

大切な友人の涙が温かいことに気づいたウシオは、「君が感じてる心の傷みを思い知りたい」と感じ、それ以降少しずつ心が変化していく…。

作品を読んだ読者からは、「ラスト1行のモノローグ、詩的で美しい！」「めっちゃ好き」など、反響の声が多く寄せられている。

作者・嶋水えけさん「自分が想像しなかったような状況を漫画の中でも現実でも味わっていけたら」

――『君の傷みを知りたい』は、どのようにして生まれた作品ですか？きっかけや理由などをお教えください。

前作(ポラリスは消えない)の連載用ネームを構想中、息抜きに描いた漫画でした。

前作の連載は主人公が大切な存在を失った状態で始まるお話で、その感情がとてもしんどかったので、両者生きてる状態で報われる話を描こうという大前提がありました。

――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。

ウシオとアサのキャラクターの対局性と、互いが互いに別ベクトルで大きな感情を抱いてるところです。

――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

アサがウシオに対し、自分を大切にしないことを叱っているシーンです。

この漫画のテーマ的に重要なシーンでもあり、私自身が2人のそういう関係性にぐっとくるという部分でもあるので。

――Xの投稿には多くの反響とコメントが寄せられました。その中で特に印象にのこっているものはありますか？

ウシオの思春期的な感情を同じ次元に存在する人間かのように分析して下さってる方がいたことと、ウシオのモノローグの詩的な表現を気に入ってくださってる方が沢山いたことが嬉しかったです。

――嶋水えけさんご自身や作品について、2025年の目標をお教えください。

自分自身のこうなるかな、このあたりに着地するかな、という予想を越えていくことです。

キャラクターや、その場の状況やアドリブに今までより身を委ねて、自分が想像しなかったような状況を漫画の中でも現実でも味わっていけたらなと思ってます。

――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

いつも漫画を読んで下さり、ありがとうございます！コメントやお手紙など、とても漫画を描く糧になっています。今年も描ける限り描いていきますので、楽しみにしていて貰えるととても嬉しいです。