ヒルコの真の正体とは神が人間を甘やかした結果が描かれた最終話＜全領域異常解決室＞

2024.12.17 18:30

藤原竜也が主演を務めるドラマ「全領域異常解決室」(毎週水曜夜10:00-10:54、フジテレビ系／FODでは毎週放送終了後から次週のエピソードを先行独占配信)の最終話が12月18日(水)に放送される。

“不可解な異常事件”をテーマにした本格ミステリー

本作は、「マイファミリー」(2022年、TBS系)、「ラストマン-全盲の捜査官-」(2023年、TBS系)など、オリジナルで数々のヒット作を世に送り出してきた黒岩勉が脚本を、映画「変な家」(2024年)や現在公開中の映画「赤羽骨子のボディガード」など、映画監督としても活躍する石川淳一が演出を務めるほか、実力派スタッフが手掛ける本格ミステリー。

身近な現代事件×最先端の科学捜査では解明できない“不可解な異常事件”を「全領域異常解決室」という捜査機関が解決していく1話完結型ドラマだ。扱う事件の対象は、まさに“あらゆる領域”におよび、「神隠し」「シャドーマン」「キツネツキ」といった“超常現象”など、現代科学の常識では考えられない“異常”に挑んでいく。そして、全話通して“ある大きな事件”を描く。

「全領域異常解決室」最終話あらすじ

最終話は――

謎の神・ヒルコによる「選別」が始まった。寿正(野間口徹)が開発したSNSを見続けた人間は、次々と命を絶っていく。街中で自殺者が続出し、東京は一夜にして大混乱に陥った。

政府は“全決”がヒルコと深い関係にあると断定。直毘吉道(柿澤勇人)は、「“全決”に強制捜査が入った」と語る。荒波健吾(ユースケ・サンタマリア)や北野天馬(小宮璃央)ら警察は集団自殺の捜査に当たるが、あまりの事態に途方に暮れていた。その中に、二宮のの子(成海璃子)の姿はない。

一方、興玉雅(藤原竜也)、芹田正彦(迫田孝也)、豊玉妃花(福本莉子)の3人は激しい戦闘の末、寿に捕らえられていた。寿は、「私はヒルコ様に最初に選ばれた人間です」とヒルコと出会った経緯について話し始める。“全領域異常解決室”率いる八百万の神vs謎の神・ヒルコの最終決戦が幕を開けた。

――という物語が描かれる。

神が人間を甘やかした結果の最終話(以下、ネタバレが含まれます)

最終話では、神が人間を甘やかした結果とそれでも変わらない神の使命が描かれた。これまでの9話で人間の傲慢さや醜さ、愚かさなどが何度も描かれてきたが、その集大成と言えるフィナーレではないだろうか。第1話から人間による嫉妬、憎悪、屈辱、復讐、強欲、嘘、偽り、裏切り、執着、盲目、行き過ぎた崇拝、自分の利益のために他者を利用する小賢しさ…など、さまざまな事件を通して人間の失望してしまう姿を浮かび上がらせてきた。

普段私たちが見て見ぬ振りをしている社会問題。その暗い部分に焦点が当てられ、時に救いようがない結末も迎えた。だが、どの話にも“人間の愛”があった。恋人への愛、教え子への愛、家族への愛、子供への愛、友達への愛…だから、興玉ら神様たちは守る理由も価値もない人間を守り続けているのかもしれない。人間を守る責務からは逃れられない神様たち。何度裏切られても、人間たちを信じ続けるしかない。でも、どんなに愚かでも人間には愛という光がある。濁っていない愛は最も真っ直ぐで純粋で美しいものと言えるのではないだろうか。

さて、「修理固成」を掲げるヒルコには、純粋な愛はあるのだろうか。一方的に人間を選別して、神を殺し、この腐った世界を根っこから新しいものへと作り変えたいと語るヒルコ。そんなヒルコこそ、愛に気付かず、ただ人間のどうしようもない面だけを見て、すべて分かった気になっている傲慢な人間そのものなのではないだろうか。実に皮肉だ。これもまたある意味では“神が人間を甘やかした結果”なのかもしれない。

そして、たとえ選別して作り変えたとしても、どうせすぐに人間は過ちを忘れる。人間が生きる限り、欲望と愛は渦巻き、良くも悪くもまた同じ世界を繰り返すだけだ。ゆえにいつの世も戦はなくならないし、希望も完全に奪われることはない。私たちに感情と思考がある限り。

ヒルコの正体やこの戦いの結末、そして雨野小夢(広瀬アリス)が神に戻れるのか…など、最終話は盛り沢山な内容となっている。最終話の地上波放送を前に、FODでの先行配信を観た視聴者たちからはSNS上で「FOD加入して全決最終回観てしまった…悔いなし！」「最終話までみたけど、あと100話ぐらい見たい」「FODに課金して全決最終話を一足早く堪能」などの声が上がり、話題となっている。ぜひ、最後まで見届けてほしい。

構成・文＝戸塚安友奈