「江南Bサイド」場面写真

チ・チャンウク、キス上手な“アジアの貴公子”から傷だらけの“裏社会のボス”へ…変わり続けるスター俳優の軌跡

2024.11.07 07:10
「江南Bサイド」場面写真

11月6日に配信スタートの韓国ドラマ「江南(カンナム)Bサイド」でチョ・ウジンとW主演を務める俳優チ・チャンウク。長身に端正なルックスと甘い歌声、シリアスからコメディーまでこなす演技力を兼ね備え、Instagramのフォロワー数は2760万人超と、“アジアの貴公子”として絶大な人気を誇るスター俳優だ。だが最新作で演じているのは、“江南を牛耳る謎の男”というダーティーなキャラクター。イメージの定着を嫌うかのように次々と新たな挑戦をし続け、変わり続けるアジアトップ俳優の軌跡を振り返る。

“トンへシンドローム”を巻き起こした出世作

1987年7月5日生まれ、現在37歳のチャンウク。高校時代に俳優を志し、檀国大学校公演映画学部を卒業。在学中の2007年にミュージカル「火と氷」で俳優デビューした。

平均視聴率40%超の人気ドラマ「ソル薬局の息子たち」(2009年)で注目された後、2010年に毎日ドラマ「笑ってトンへ」の主演に大抜てき。半年以上にわたり放送されたこの作品で、母を支えてけなげに頑張る青年トンへを生き生きと演じ、ドラマは瞬間最高視聴率51.4%という大ヒット。どんなにつらくても決して希望を捨てず「笑おう、泣いてちゃダメだ」とけなげに前を向くトンへのキャラクターは視聴者に愛され、“トンへシンドローム”を巻き起こした。

人気女優とのロマンス演技で一躍“アジアの貴公子”に

2014年以降は、“ヒーラー”のコードネームを持つ便利屋を演じたキャリア初期の代表作「ヒーラー~最高の恋人~」(2014-2015年)を皮切りに、ロマンス作品に次々と主演する“アジアの貴公子”時代に突入する。

「ヒーラー」でヒロインのパク・ミニョンと演じたロマンチックなキスシーンが話題を呼ぶと、少女時代のユナがヒロインを務めた「THE K2~キミだけを守りたい~」(2016年)では鍛え上げた肉体美も披露。さらに初の本格ラブコメながらヒロインを務めたナム・ジヒョンとの息の合った演技が評判を呼んだ「あやしいパートナー~Destiny Lovers~」(2017年)、実年齢12歳差のキム・ユジョンとコンビニ店長&アルバイト店員役で息を合わせた「コンビニのセッピョル」(2020年)、シン・へソン演じる幼なじみヒロインと恋を育む気象予報士を演じた「サムダルリへようこそ」(2023年)…と、人気女優陣と繰り広げるロマンス演技が大人気。アジア各国でも放送・配信される機会が増えたことで人気がアジア各国に広がり“アジアの貴公子”のキャッチフレーズが定着するとともに、キスシーンの美しさから“キス職人”とも呼ばれるようになっていった。

ロマンスからノワールへ…イメージの大転換

同時に、2013年の初演から出演する創作ミュージカル「あの日々」をはじめ、ミュージカル作品にも度々出演している。ミュージカル形式のドラマ「アンナラスマナラ -魔法の旋律-」(2022年)では、シルクハットにタキシード姿が麗しい魔術師役で数々の劇中歌を歌い上げ、貴公子っぷりを遺憾なく発揮した。

ロマンスの名手として人気を博したチャンウクだが、近年はイメージをガラリと変えたハードな役柄が続いている。

2023年のドラマ「最悪の悪」で演じたのは、麻薬カルテルに潜入捜査する刑事パク・ジュンモ。正義と悪のはざまで葛藤するジュンモの心の機微を繊細に演じる一方、反社会組織の一員になりすますシーンではバイオレンスアクションにも挑み、新たな境地を開いた。強烈な狂犬ぶりが話題を集めた映画「リボルバー」(2024年)、約10年ぶりの時代劇で、ひげを蓄えた高句麗の王コ・ナンムをカリスマたっぷりに演じたドラマ「于氏王后(原題)」(2024年)も、アジアの貴公子とは似ても似つかない威圧感あるキャラクターだ。

そうした近年の作品選びはまるで、アジア中で人気を博したロマンス俳優のイメージ定着を避けようとしているかのよう。「最悪の悪」の会見でも「俳優として、似たような役ばかり演じているわけにはいかない」と、決意表明のような言葉を残している。

「チャンウクさんの悪党としての顔も見てみたい」

主演最新作「江南Bサイド」も、チャンウクの俳優人生の中でのそんな新たな流れの中の一作だ。本作は、江南で失踪した“クラブのエース”を捜索する刑事と検事、そして江南を牛耳るミステリアスな雰囲気漂う謎の男が、江南の闇に隠れた事件を追うノンストップ・サスペンス。「第29回釜山国際映画祭」ではオンスクリーンセクションの招待作に選ばれるなど、世界中から注目を集める作品だ。

クラブや繁華街が立ち並ぶ混沌とした夜の江南を舞台に、 エリート刑事カン・ドンウ(チョ・ウジン)や検事ミン・ソジン(ハ・ユンギョン)、そしてチャンウク演じる謎の男ユン・ギルホが、謎の女性ジェヒ(キム・ヒョンソ)を探してスピード感あふれる追跡ゲームに足を踏み入れる。ジェヒの失踪と、立て続けに起こる女性の連続行方不明事件の関連は…。それぞれの思惑が交差し、ストーリーは予測不能な展開へと進んでいく。

脚本も担当したパク・ヌリ監督が、チャンウクのキャスティングについて「チャンウクさんの悪党としての顔も見てみたい。この作品で、私が彼の違う一面を見出せるのではないか」と語っていたことからも、チャンウクが今作でこれまでにも増して新たな一面を見せてくれるのは間違いなさそうだ。

バラエティーでのぞかせる無邪気&人間味あふれる素顔

ここ数年は、俳優以外の活動にも精力的なチャンウク。歌手としては2023年に日本でCDデビューし、2024年10月には日本3rdシングル「SHINY TRIP」をリリース。一方で、飾らない素顔を見せるバラエティーにも積極的に出演している。

3つのドラマの出演者が合同で合宿を行うリアルバラエティー「青春MT~Re:メンバーアゲイン~」(2022年)では、パク・ボゴムやパク・ソジュンらと共演。共にゲームや食事を楽しむリラックスした姿を見せる一方で、ゲームでうまくいかず「あ~!!」と自己嫌悪になって頭を抱えたり、後輩俳優に演技アドバイスしたことをバラされて赤面したり、無邪気な素顔をのぞかせた。72時間だけ違う“誰か”の人生を体験する「My name is ガブリエル」(2024年)では、メキシコの農夫としての人生を体験。シャワーを壊したり、10kg超の農具と悪戦苦闘するなど、ドラマで見せるパーフェクトな姿とは違う、人間味あふれる姿も披露した。

日本に1カ月間滞在し語学学校に

リアルバラエティーで体を張る姿はアジアを代表するトップ俳優とは思えない気さくさだが、チャンウクのそんな冒険心はプライベートでの意外な過ごし方にも表れている。7月に出演したトーク番組「ユ・クイズ ON THE BLOCK」では、「去年1年間狂うように仕事をしたので、休養が必要だった。韓国から離れないと!と思って」とプライベートで1カ月間、日本に滞在して語学学校に通ったことを告白。MCユ・ジェソクや視聴者を驚かせた。

俳優としても、プライベートでも常に新たな挑戦や冒険に身を投じ、自分をアップデートしているチャンウク。Instagramフォロワー数2760万人超というすさまじい人気も、新たな役に挑み続けるその姿勢があってこそだろう。変わり続ける男、チ・チャンウク。最新作での“夜の江南を牛耳る男”というヒール感あるキャラクターではどんな姿を見せてくれるのか、今から楽しみでならない。

「江南Bサイド」(全8話)は、11月6日よりディズニープラスのスターで独占配信。初回2話一挙配信後、毎週水曜に2話ずつ配信される。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

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