

<オクラ>脚本家・武藤将吾氏「第2話までのラスト5分・10分がひっくり返る」…反町隆史“千寿”と杉野遥亮“利己”の過去に注目

反町隆史と杉野遥亮がW主演するドラマ「オクラ~迷宮入り事件捜査~」(毎週火曜夜9:00-9:54、フジテレビ系/FOD、TVerにて配信)の第3話が10月22日に放送。第3話放送直前に、本作を手掛ける脚本家・武藤将吾氏とプロデューサー・足立遼太朗氏のインタビューが実現。制作の裏側やキャスティング、今後の見どころなどを聞いた。
昭和刑事と令和刑事がバディーを組み“お蔵入り”寸前の未解決事件に挑む
本作は、ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(2019年、日本テレビ系)や映画「テルマエ・ロマエ」(2012年)などを手がけた脚本家・武藤氏による完全オリジナルストーリー。反町と杉野が凸凹バディーを組み、“お蔵入り”寸前の未解決事件に挑むヒューマンミステリーエンターテインメント。
反町が人情に厚く“捜査は足で稼ぐ”がモットーの昭和刑事・飛鷹千寿を、杉野がクールでタイパ重視の省エネな令和刑事・不破利己を演じ、白石麻衣、前田旺志郎、有澤樟太郎、青木さやか、三浦リョウ太、橋本じゅん、宇梶剛士、平山祐介、中村俊介、観月ありさらが出演。主題歌はKroiの「Jewel」となっている。
武藤将吾氏、未解決事件が未解決であるワケに着目
――まず足立プロデューサーにお伺いします。今回、武藤さんとタッグを組むことになった経緯を教えてください。
足立遼太朗氏(以下、足立):僕と武藤さんをつなげてくれたのは、「電車男」(2005年、フジテレビ系)を手がけた当時のプロデューサー・若松さん(現:ドラマ・映画制作局映画制作センター室長)です。僕は本当に昔から、映画「クローズZERO」(2007年)とか「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」(2007年、フジテレビ系)とか「ジョーカー 許されざる捜査官」(2010年、フジテレビ系)とか、武藤さんの作品が大好きだったので、「ぜひご一緒したい」と3人で会うことになりました。
フジテレビで武藤さんのドラマが10年ぐらいできていないという思いもあったし、本当に0(ゼロ)からの完全オリジナルということで、オファーをしにいったとき、武藤さんに「どんな作品がやりたいですか、僕はこういうのやりたいんです」とディスカッションを最初にさせていただきました。
武藤将吾氏(以下、武藤):最初は若松さんと一緒にやるんだと思ったんです(苦笑)。僕も連ドラを始めて20年ぐらいになり、新しい引き出しを探す難しさを感じていたこともあって、若いプロデューサーと組むことで新たなきっかけができるのではないかと、多分若松さんが考えてくださったんだと思います。それで足立さんと会って話を聞いていると、すごく考えがしっかりしていたので、この長丁場を頼りにできるプロデューサーだなと感じ、そのまま引き受けることにしました。
――今回、完全オリジナルストーリーということですが、本作のテーマはどう着想されましたか。
武藤:当初は定年間際の昭和刑事と、これからを生き抜く令和刑事の世代間の話をやりたいというスタートだったと思います。イロハを教えるような“師弟関係”に近い“バディー”ものです。でも企画を練っていた時期、他のドラマで世代間に着目していたので、別の視点も考えていたところ、反町さんと杉野さんの名前が出て、その2人だったらおもしろくなりそうだと話をつめていきました。
未解決事件については、最初「未解決事件って、なんで未解決なんだろう」というところに着目しました。一生懸命に捜査して未解決だったものが、ちょっとしたひとつの証拠で解決するほど甘いものじゃないんじゃないかと。それだったら、何かの意図で未解決になっていた事件を、意図して強引に解決に持っていくことで真実が明らかになる話とかどうだろうと思ったのが最初ですね。
杉野遥亮の第一印象はミステリアスでクール、不破利己役に「ドンピシャ」
――反町隆史さんに飛鷹千寿役を、杉野遥亮さんに不破利己役をやってもらおうと思った経緯を教えてください。
武藤:わりと最初のころから「ダークヒーローものをやろう」という話があって、今の倫理観にとらわれずに事件を解決していくキャラクターに、誰がいいかという話になりました。反町さんの名前が上がったときに、僕は反町さんにそういうイメージがなかったので、すごくおもしろい掛け算になるんじゃないかと思いましたし、満場一致だったと思います。
反町さん演じる千寿のバディーには、ある意味正反対に見えるキャラクターを考えていました。そんななか、足立さんが若手の中で注目されている杉野さんの名前をあげてくれたんです。杉野さんに最初に会ったとき、ミステリアスでクールな印象を抱いたので、なんかドンピシャにはまる感じがしました。
僕の中では最初に反町さん演じる“千寿”というキャラクターがポンとあって、多分足立さんはそんな役柄の反町さんには杉野さんがいいと思うところがあったんだと思います。そこから“千寿”のバディーが杉野さんだったらどんなキャラクターがいいだろうと、“不破利己”というキャラクターがどんどんふくらんでいった感じだったと思います。
――足立さんが、反町さんの相手として杉野さんの名前を挙げたのはなぜですか。
足立:武藤さんもおっしゃってますが、“利己”は“千寿”とは対極なキャラクターにしようと考えていました。杉野さんの地のキャラクターというか、ドラマとかバラエティー番組で見て感じた表情や目線、ふと見せる素の部分や、実際お会いして話したときに感じたクールな部分も、最初考えていた“利己”のキャラクター像とすごく印象が合うと思ったんですよね。
――今回、反町隆史さんや杉野遥亮さんのほかにも、白石麻衣さんや観月ありささんなど多彩なキャストが集まりましたが、キャストのみなさんの魅力を引き出すために意識していることを教えてください。
武藤:これは、ある意味プロデューサーの無茶ぶりというか、足立さんがどんどん素晴らしいキャスティングをしてくれて、そのおかげで何度物語が変わっていったか…(苦笑)。こんなキャスティングされたら、この設定だけではやっていけないよ…という話を何度もしたんですが、足立さんにはうまくのせられましたね。
反町さんと杉野さんが中心というのは変わらないんですけど、その時々のキャラクター回で偶然を必然にするために、物語がどんどん深まった気がします。単発で作っていたものが全部繋がっていく感じで、その繋がりを考えた瞬間、この物語で伝えたいことが見えてきました。今となっては足立さんに感謝しています。
第2話までのラスト5分・10分がひっくり返って、徐々に世界観を侵食していく
――今回、警察の中に証拠をねつ造してまでも事件を解決しようとするチームがいるわけですが、その設定にはどんなこだわりがあるんですか。
武藤:これは第3話以降にわかるんですけど、1話完結のミステリーというところから、警察内の壮大な物語になっていきます。第1話と第2話は、意図的にオーソドックスな捜査ものにしていて、ラストの5分や10分に物語がすごく動くという展開にしました。
第3話からは、そのバランスが崩れ、物語がどんどん変容していきます。反町さん演じる千寿が、証拠をねつ造してまで実行している理由にも繋がっていきます。
今までのラストの5分や10分がひっくり返り「この物語、ちょっと違うかも」と思っていくうちに、徐々に世界観が侵食していくというか、これまでの謎が明らかになっていき、話がどんどん1本になっていくので見逃さないでほしいです。
武藤将吾氏、本作の執筆でこれまでの“刑事ドラマ”の醍醐味が変革した
――武藤さんにとっての“刑事ドラマ”の醍醐味を教えてください。
武藤:僕の先生にあたる方が、「あぶない刑事」(1986年-1987年、日本テレビ系)シリーズなど数々の刑事ものの脚本を書かれてきた柏原寛司さんで、ずっと師事してきました。僕は「刑事ドラマを書きたくて脚本家になった」といっても過言ではないんです。刑事ドラマは「非現実的な世界を描ける」という思いがあって、ある理由のもとで拳銃やアクションを使えるのを魅力に感じていました。
でも今回、拳銃を発砲するというシーンがあったときに、足立さんとチーフ監督の柳沢さんがすごく引いてしまって…。拳銃を出すと共感できないといわれ、めちゃくちゃショックを受けました。僕が刑事ドラマで醍醐味だと思っていたことが、彼らにとってはリアリティーの無さに直結するという事実に直面してしまったんです。
2話で利己が千寿に銃を向けるシーンは、最初は威嚇で一回撃つ予定だったんですけど、銃を出すだけになり、10年前の千寿が結城真一(平山)に発砲するシーンは10年前だからOKなど、まずその線引きを探っていきました。
多分、今までの僕なら非日常的な世界に最初から引きずりこもうとするんですが、最初の段階でその線引きがあったので、第1話と第2話がオーソドックスに展開できたのは、2人とのディスカッションの賜物だと思います。
最低限のリアリティーを持ち、まず刑事ドラマとして成立させた上で、自分のやりたい世界観を表現する。僕らの世代では、ドラマは非日常の世界を楽しむものだったけど、今の若い世代は「いかに共感を呼ぶか」という価値観で見ている。ドラマに対する見方がシフトチェンジしていることが興味深い。だから若い世代のアイデアにのって、細かく確認しながら今も書いています。
足立遼太朗P、オクラメンバーがひとつの事件に向かうところに胸が熱くなる
――足立プロデューサーにとっての“刑事ドラマ”の醍醐味はいかがですか?
足立:やっぱり、ひとつの事件にみんなが向かっていくところが胸が熱くなり、かっこいいなと思います。今回、武藤さんが「オクラ」という部署を生み出してくださり、“刑事の墓場”といわれていますが結局ヒーローたちのたまり場でもあるというか。ちょっとセットを豪華にし過ぎたというのもあるんですけど、オクラメンバーが部署に揃うシーンが、個人的には大好きです。
オクラメンバーひとりひとりの熱量を感じるし、いろいろなアイデアも出し合ってくださるんです。武藤さんの脚本を、あのオクラメンバーがあの場所で、台本の何倍も何倍も掛け算をしてくれていて、どんどんおもしろくなっていると実感しています。
“刑事の墓場”と呼ばれる部署でも、わちゃわちゃなオクラメンバーはある種の理想
――“刑事の墓場”と呼ばれる部署なのに、オクラメンバーがすごく楽しそうに会話しているのが印象的ですが、どんな意図がありますか。
武藤:まずは僕自身、ドラマは「こんな世界があったらいいな」と思う世界観を作っていきたいというか、「この世界にいたいな」と、ある種の共感を持ってもらえるような世界を描くのがすごく好きということがあります。
僕が友だちから聞く職場の話というのは、今の若い世代とどうやってコミュニケーションを取ったらいいかわからないっていうグチから始まるんです。やっぱりコミュニケーション不足じゃないけど、お互いがお互いを宇宙人みたいに思っていたり、個人が強くなってきていたりするんだと感じていました。
そんななか、世代とか性格は違うけど“とにかく話す”というか。今の時代に逆行しているけど、わちゃわちゃしている職場なら、「仕事はやりたくないけど、この人たちと会いたい」「一緒に仕事しているこの空間は好き」という気持ちになれるのではないかと思い、その世界観をオクラに創ろうと思いました。
ある種の理想ではあるんですが、物語の世界が事件に凄惨さがあったり、やりきれない結末だったりするので、オクラメンバーの楽しそうなコミュニケーションで緩急をつけたいという狙いもあります。
第3話以降は反町隆史“千寿”と杉野遥亮“利己”の過去に注目
――本作を執筆するにあたり、1番大切にしていることはなんでしょうか。
武藤:“ねつ造”はある種のタブーというか、警察官としてあるまじき行為なので、それが“正義だ”というのはやりたくないということですかね。
証拠捏ねつ造は、千寿自体も正しいとは思っていない。でも、法の下に引きずりだして報われる人がいるという思いはある。じゃ、なぜそれをやるのか。第3話以降の話になってきますけど、自分自身もいつか自分のやってきたことと向き合わなきゃいけない千寿に着目してほしいです。
――第3話以降の物語の展開やキャラクターで、注目してほしいところを教えてください。
武藤:ありすぎます(笑)。今、先を書いてて、どこをどういっていいか…。これは足立さんがいったほうがいいと思う。
足立:第3話以降は千寿と利己の過去ですよね、武藤さん。千寿はなぜ何の目的で、やっているのか。利己はなぜ千寿に歩み寄ったのか。千寿と利己は本当のバディーになれているのか。過去が明らかになっていくと同時にわかっていくので、そこに注目して見てほしいです。その後に、1展開も2展開も3展開もあります。
武藤:そうなんです、物語はこれからです。ぜひついてきてください!
※「三浦リョウ太」の「リョウ」の漢字は「僚」の「にんべん」を「けものへん」で表記
◆取材・文=綱島深雪
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