

高杉真宙が振り返る、俳優としての15年の歩みとこれから「30代はスーツが似合うようになりたい」

2009年に俳優活動をスタートさせた高杉真宙。俳優15周年のアニバーサリーイヤーとなる2024年、8月7日にフォトブック「I/my」を発売した。
本作には、雑誌「+act.」の連載「きり、とる。」で届けてきた写真と文章に加え、高杉が“今一番行きたい”と願った場所・長崎の街を旅した撮り下ろしカットを収録している。
連載パートは、自身で使い捨てフィルムカメラを持ち運び、心が動いたままにシャッターを切った27回分を総まとめ。撮り下ろしカットでは、カメラマンの石田真澄氏がフィルムカメラで高杉を追い、その時々の一瞬を切り取っている。
そんな彼のありのままの日常を切り取った、全篇フィルムカットのフォトブック発売に先駆けて、本作に込めた思いや俳優としての15年間等について高杉に聞いた。
「ターニングポイントとしてあげるなら舞台が多くなる」
ーー今年、俳優デビュー15年目とのことですが、これまでの15年間はどんなものでしたか?
15年という響きを聞くと長いなぁ〜と思うのですが、僕にとっては年月だけが過ぎていくような感覚でした。その月日の分、僕はちゃんと成長できているのかと時々思うこともあるのですが、考えても仕方がないので、とにかく今目の前にあるものを大切にしながら一歩いっぽ歩んできました。
ーーでは、そんな15年間で最も印象に残っている作品は?
舞台ですかね。特に勝村(政信)さんとの二人芝居「ライフ・イン・ザ・シアター」(2022年)は印象深いです。この舞台で改めて「お芝居ってやっぱり楽しいな〜」という気持ちになったので、僕にとってとても大きなものになりました。
ここ何年か自分の中でのターニングポイントとしてあげるなら、舞台が多くなります。「ロミオとジュリエット」(2023年)をはじめ、ここ数年の舞台は僕にとってすごく重要なものでした。もちろんその作品自体も大切なのですが、それ以上にその舞台を通した経験が大切といった感じです。学ぶことが毎回多いんですよ。もちろん映像作品でも学ぶことはたくさんあるのですが、舞台の方がより親密にいろんな方たちと作り上げることができるので、そう言った点でもらえるものが多いように感じています。
ーーなるほど。舞台から多くを吸収している高杉さんが今後俳優として目指すもの、挑戦したいことも教えてください。
僕は現在28歳なので、20代もいよいよ終盤になりました。良くも悪くもわりと早めに学生役をいただくことがなくなり、職業ものが増えていったのですが、「次はどんな職業が来るのかな?」とワクワクした気持ちがかなり強いです。医者・刑事・弁護士の中で弁護士はやっていないので挑戦してみたいですね。刑事もガッツリはやっていないですし、バディものとかもやってみたいです。自分の知らない職業に出会うのは楽しいですし、そういうさまざまな立場の役柄を通して、僕ではない誰かの人生を経験し続けたいです。
「完成したものを見て思ったのは“気恥ずかしい”でした」
ーー弁護士役や医者役はセリフがかなり難しいイメージがあります。
まさに。本当はビビってます(笑)。でも、その役をやることで見つけられるものもあると思うので、やはり挑戦したくなります。自分の世界が広がっていくような感じがして、大変さよりも好奇心が勝ちます。
ーー俳優人生15年間の中で、「きり、とる。」は2021年12月から約2年半の連載でしたが、今回改めて振り返ってみてどうでしたか?
毎月フィルムカメラを持って一つ写真を選ぶというのがかなり大変でした。同時に僕は本当に周りを見られていないんだなということに気付かされましたね。最初は撮りたいものが全然見つからなくて、すごく時間がかかっていたんです。徐々に自分がいろんなことに対して耳を使っているということに気づき始めました。いろんなものから音が聞こえてくるわけではないのですが、イヤホンを付けて耳を塞いで歩いていると不思議と全く見つけられないんですよね。
ーーそんな2年半を客観的に見て、変化は感じましたか?
自分が少しずつ変わっていくというよりも、毎月その瞬間で心境に変化があるんだなと感じました。そのとき臨んでいる作品によっても心の在り方が違うんだと思います。だから、完成したものを見てまず思ったのは、“気恥ずかしい”でした。その時々に思ったことを綴っているから、仕方ないことではあるのですが、このときってこんなこと思ってたんだな〜情熱的に語ってるな〜みたいな。この連載の期間中に二回舞台をやっていたのですが、特に舞台の最中の文章はちょっと気まずいですね(笑)。まとめていただいてうれしい反面、自分の2年半がすごく凝縮されているような気がして…恥ずかしさがちょっとあります。
ーー撮り下ろしカットパートでは、念願の長崎で撮影が行われたとのことですが、撮影中はどんなことを思っていましたか?
“撮影されていることをあまり意識せずに撮る”ということと、距離感と親しみやすさを意識していました。僕の一人旅をコンセプトにしているので、服も自分の普段着に近いものを選んでいます。「あまりにも私服に近過ぎる」と言って変更することもありましたね(笑)。全編フィルムカメラだからこそ、その味を生かすとキメる写真とは違うのかなと。フィルムカメラ特有の温かさみたいなものもあるので、より一層身近さを感じていただけると思います。
ーー掲載する写真も自身でセレクトしたのでしょうか?
かなりの枚数のセレクト用お写真をいただいて、その中から厳選しました。いつもだったら見せない僕を見せることも重要だと思ったので、普段は使わない写真もかなり含まれています。それは今回のコンセプトにあったものという基準と共に、旅の流れで出た表情だったり出た行動だったりとかを大切にしたいと思ったので選びました。
「タイトルは“あいまい”という音も含めて決めた」
ーーでは、タイトルの「I/my」も高杉さんが決めたのでしょうか?
そうですね。いろいろとアイディアを出していただいた中で“あいまい”という音も含めて決めさせていただきました。いろんな意味をすごく感じられる言葉だなと思ったので、僕はこのタイトルがすごくお気に入りです。たとえば、帯にも書いてある「自分のカメラで自分と向き合った」というのもありますし、“自分の未来の曖昧さ”みたいなものも含まれています。
また“フィルムカメラの曖昧さ”という意味も込めました。自分が連載で撮った写真もカメラマンさんに撮っていただいた自分の写真も全部フィルムカメラだったので。連載の写真も本当だったらもっといい写真をいっぱい撮れたんですよ! 現像するまでわからない、そういう安定しない曖昧さというのも含まれています。
ーーそんなフィルムカメラの“曖昧さ”の魅力を具体的に教えてください。
どんな風に撮れているかがその場では全く確認できないので、出来上がった写真を想像するしかない曖昧さがまず一つですね。また実際に現像した写真を見ると、目で見ていたよりも光がもっと明確になっていたり、逆にふわっとした光になっていたりするので、その独特の光加減みたいなものが写真をより曖昧にしているなと。目で見ていた光景とは少し違った写真にしかない景色になっているので、撮ってみないとわからない。自分が撮ったはずなのですが、撮っていないような感覚とか言いますか。それが、宝くじみたいな感覚で楽しいです。
ーーゆえにフィルムカメラは難しいとも言ってましたが、連載何回目ぐらいでカメラに慣れてきましたか?
3回目ぐらいから「なんかいい写真じゃない?」と思えてきましたが、かと言ってずっと継続していい写真が撮れていたかと言われると…真っ暗で何も映ってないような写真もありますし…。フィルムカメラを通して、何事も慣れたと思ったときが一番怖いんだなと改めて感じました(笑)。
ーーそんな“I/my”が詰まった今回のフォトブックで高杉さん自身がお気に入りのカットは?
これです。
僕、引き画が好きなんですけど、これがめちゃくちゃ僕っぽいなと思って。その僕っぽさみたいなものは、後ろ姿の“足”の感じですかね。ちょっと言葉で伝えるのは難しいのですが、この足がまさに僕だなって。こんな写真も普通ならカットするしカットされる写真なんですよ。あとは長崎の坂っていうのもあって、すごく良い写真だなと。この瞬間をフィルムカメラで切り取れたことに驚いています。あとはこういう表情をするなっていうのはたくさんあるのですが…一つ挙げるとしたら、僕よく唇を尖らせてるんだなって。キメてない分、素に近いからこそ、滑稽な写真もめちゃくちゃ多いので必見です(笑)。
「僕、本当にびっくりするぐらい怠惰なんです(笑)」
ーータイトル「I/my」にちなんで、“俳優・高杉真宙”と“素の高杉真宙”について教えてください。自身が思う、世間のイメージとの違いや本当はこんな人ですといった意外な一面はありますか?
めちゃくちゃ“怠惰な人”ですかね。本当にびっくりするぐらい怠惰なんです(笑)。暑くても服を脱ぐのが面倒臭いから脱がないとか、立つのが面倒臭いから座らないとか、そのレベルです。
ーー(笑)。また今回ついに念願の長崎での撮影でしたが、次に行きたいと狙っている都道府県はありますか?
石川県とか北海道とかに行きたいです。僕、鯖とか鯵とか青魚に目がないので、美味しい海鮮を食べたいなと(笑)。
ーーでは、国内ではなく世界で行ってみたい場所はありますか?
実は仕事以外で海外に行ったことがなくて…。興味はあるんですけど、自分の中で現実的ではなさ過ぎるんですよね。だから、危険の少ない行きやすいところに行けたらいいなと思います。お腹を下したりしないところに(笑)。ただそういったことを全く考えないんだったら、アフリカや南極とかに行ってみたいとは思います。日本と絶対的に違うから、それを味わってみたいっていう好奇心はあるのですが…でも僕の人生では多分行かないでしょうね。
ーー雑誌『+act.』の連載「きり、とる。」の最終回で「今の僕にあるものを何か削って、本気で新しいことを勉強してみようかな」とコメントしていましたが、それは実現しましたか?
去年の11月ぐらいから、僕の大切な時間を削ってジムに通い始めました。身体は鍛えたいなと思っていたのですが、他の運動はキツそうだったので(笑)。30代はスーツが似合うようになりたいと思っていたので、目標は30歳ぐらいまでに10キロプラスだったんです(現在、28歳)。甘えたこと言ってたけど、今すでにだいたい8キロぐらい増えたので、意外といいペースでできてます。食事管理とかはしていないのですが、とりあえず“食べる”を意識していますね。
「僕にとって“時間”はかなり重要です」
ーー大切なゲームの時間を削っているのですね。
ゲームも全然やってますよ(笑)。
ーーなるほど。つまり高杉さんが今最も大切にしているものは時間ということでしょうか?
そうですね、自分の時間ですね。超大事です。それは別にゲームに使うとかではなくて、考え事や気持ちを切り替えるためとかに費やす時間です。時間を上手く使えるタイプではないのですが、大切にしています。僕にとって“時間”はかなり重要ですね。
ーーでは、最後にこのフォトブックは高杉さんにとってどんな一冊になっていますか?
僕はフォトブックやエッセイ、写真集等を出すとき、毎回まさに自分の一部を切り取って、一つのものにしていくという感じがしています。それこそ「きり、とる。」といった感覚です。今回も、自分の一部を、目線を、考えを、思い出を…等、その瞬間のさまざまな僕の一部を切り取って作っているので、ぜひそんな僕のカケラを見て欲しいです。
■編集・取材・文=戸塚安友奈
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