桜田ひより、妊娠した高校生役を熱演「感情を大事にすることを意識して演じています」<あの子の子ども>
桜田ひより主演のドラマ「あの子の子ども」(毎週火曜夜11:00-11:30、カンテレ・フジテレビ系) が現在放送中。蒼井まもるの同名少女漫画を原作とし、“高校生の妊娠”をテーマに、妊娠が発覚したことで日常がガラリと変わってしまった高校2年生カップルの姿を描く物語。WEBザテレビジョンでは、主演の桜田にインタビューを実施した。
“高校生の妊娠”がテーマの本作に、「選択肢」を提示したい
――ドラマ「あの子の子ども」は、“高校生の妊娠”を扱った作品ですが、原作や台本を読んで思ったことを教えてください。
原作や台本を読んで感じたのは、登場人物みんなが思いやっていて「あたたかいな」ということでした。ですから、未成年2人だけでは抱えきれない問題に立ち向かう福(桜田)と宝(細田佳央太)を見てくださる方に応援してもらえる役にしたいと思いました。
“高校生の妊娠”というのはセンセーショナルなテーマだけれど、抱えきれない問題が起きたときに、これだけの数の選択肢があるということを提示するドラマでもあると思うんです。見てくださる方に、何かを感じ取っていただける作品になるだろうなという気持ちを抱きました。
――桜田さんが演じる川上福は、ごく平凡な高校生。16歳で妊娠してこれまでの日常が変わってしまいます。桜田さんから見た福は、どんな女の子ですか。
心を大事にしている女の子。うれしくなったり悲しくなったり、すごく素直に心が動くんです。人間らしいというか、ピュアというか…。私は結構頭で考えちゃうタイプなので、そこは演じていて楽しい部分です。相手からもらう感情や言葉をしっかりと受け止めることができるのは、福の魅力なのかなと思います。
一方で、心の中にさまざまな感情や考えがわーって駆け巡るのに、それを言葉として具体的に相手に届けることが得意ではないんですよね。だから、内面的な感情を大事にすることを意識して演じています。
でも、本当に普通の女の子なんですよ。身近に生活してるんじゃないかと思ってもらえるくらいナチュラルな子でいたいという思いがあります。
福&宝カップルの愛おしさ
――物語の中心となるのは、高校2年生の福と宝。この2人は桜田さんにはどう見えていますか。
すごくいいカップルですよね。空気感が似ているし、お互いが思い合っているし。小さいころから一緒にいた幼なじみというのも、言葉だけじゃない感覚で通じ合える要素なのかもしれないですね。そういう家族みたいなところもあれば、きちんと異性として相手のことを認識してキュンキュンするポイントもあって。愛おしいなと思いながら演じています。
――「福の嫌なことは絶対にしない」と決めている宝は、すてきな男の子ですよね。福の母親(石田ひかり)にも「宝くんなら安心」と信頼されていて。
そう、「こんな子、いるといいな」と思えるくらい、優しいですよね。相手の幸せが自分の幸せで、相手が苦しかったら自分が苦しい。本当にすてきな子だなと思います。
恋人役の細田佳央太に尊敬
――宝役の細田佳央太さんは、どんな方ですか?
真面目。大真面目ですね(笑)。お芝居に対してすごく考えているし、人間性がしっかりしていないと言えないような、信頼できる言葉が出てくる人です。
もちろん真面目なだけでなく、楽しむ時は思いきり楽しんでいる印象です。けれど、スイッチがオンになった瞬間の細田さんは、本当に同じ職業の人間として尊敬する部分が多い方です。
――宝と重なる部分がありますね。
本当に。作中の宝は、緊張する事態を前にすると手が冷たくなるのですが、細田さんもそうなんですよ(笑)。手を繋ぐシーンで「冷たいな」と思うと、「緊張してる」と言っていて。性格だけでなく、そういうところも似てると思いますね。
――福のクラスメート・飯田智宏役の河野純喜さん(JO1)にインタビューをした際に、河野さんは、「シリアスな問題に直面する福と宝がいる一方で、僕が演じる飯田と福の親友・矢沢(茅島みずき)の2人は微笑ましい」とおっしゃっていました。明るいキャラクターの飯田が矢沢にアタックする姿は、作中の癒しですよね(笑)。
そうですね。飯田と矢沢は、本当に可愛らしいんですよ。見ているとニコニコしちゃう。実際に、私も撮影中に遠くから2人をニヤニヤしながら見ています(笑)。私的には、福の親友・矢沢の良さをみんなにわかってほしいと思う反面、独り占めしたい気持ちもあって。独特の矢沢ワールドに、ニヤニヤしちゃうんですよね。10代のちょっと背伸びした感じというか、つんつんした感じが、すごく可愛いです。
――福はあまりオープンマインドな子ではないから、矢沢という何でも言える親友がいてよかったなと思える存在です。
そうなんですよ。お互いが、すごく大切に相手を思いやっていますよね。しかも踏み越えてはいけない領域は、相手が扉を開けるまでしっかり待っていて。すごくいい関係性ですね、福と矢沢は。
16歳のころは「心がどんどん動いていく時期だった」
――ヒロインの福は16歳。桜田さんは16歳のころ、どんな悩みがありましたか?
具体的に思い出せるものはないけれど、絶対に悩みはあったはず。すごくいろいろなことを考えていた時期だから。10代ならではの悩みもあったし、いろいろな人の考えを聞いて発見もあった。さまざまなことを悩んで吸収していたと思います。
――どんな16歳でしたか?
今よりも、幼かったと思います。今の自分ができたのは、高校を卒業してからという認識はあって。でも福と同じように、いろいろなことに敏感になって、自分の心がどんどん動いていく時期だったかなと思います。
――「今の自分」ができたきっかけは何だったのでしょう。
「これ」というきっかけはないのですが、高校生という学生の枠を外れた時に、「このお仕事で自分を生きていきたい」と改めて思ったんです。自分の仕事に対しての覚悟ができて、ちょっとずつ変わっていった気がします。
――第4話(7月16日放送)からお話が大きく動き出しますが、今後の見どころを教えてください。
4話から、毎回毎回目が離せない展開になっていきます。この作品の勝負どころといえるかなと思います。ここから福と宝の2人だけでなく、親や先生、いろいろな人の視点が入ってきて、いろいろな考え方が出てきます。そこでもがく福と宝の姿が、誰かに刺さればいいなという思いです。今はとにかく、ワンシーンごと目に焼き付けてほしいと思いながら大切に大切に撮影しているので、楽しみに見ていただけるとうれしいです。
◆取材・文=坂本ゆかり
7月23日(火)放送・第5話あらすじ
福から妊娠検査薬を使ったところ、陽性だったことを打ち明けられた宝は、動揺しながらも、1人で不安を抱え、誰にも相談できなかった福の心中を察して抱きしめるが、混乱する福は宝の言葉に思わず逆上。本心とは裏腹の言葉を次々とぶつけた末、宝の手を振り払って帰宅し、翌日には学校へ行くふりをして、以前にアフターピルを処方してもらおうと訪れたクリニックへ1人で向かう。
診察の順番を待つ間、福は待合室にいる妊婦や小さな子どもを見て罪悪感にかられる。診察を前に緊張が走る福だったが、診察室で待っていた医師の野田由紀(板谷由夏)は、そんな福の胸中をおもんばかってか、淡々とした口調で福を診察台へ。やがて、野田の口から妊娠していることを告げられた福は、思わず息をのみ、その脳裏には宝や晴美(石田ひかり)の顔が思い浮かぶ。さらに、エコーの映像を見せてもらった福は、画面の中で小さく、それでもしっかりと動いている心臓を目にして…。
その頃、前日から連絡がとれない福を探していた宝。かばんには、宝の覚悟と思いがつまった1冊のノートが入っていて—。
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