BS放送局で再スタートした伝説のクイズ番組「アタック25 Next」の価値

伝説的クイズ番組「アタック25」の現在地、谷原章介の児玉清への“リスペクト”あふれる新章「Next」の価値とは

2023.05.31 17:30
BS放送局で再スタートした伝説のクイズ番組「アタック25 Next」の価値

2021年に終了した国民的クイズ番組『パネルクイズ アタック25』(テレビ朝日系)。司会の児玉清を中心に、参加者が真剣に頭脳と反射神経を駆使して対決する白熱の早押しクイズバトルが人気を博していた。そんな同番組が、2022年初頭に新たなスタートを切ったことをご存じだろうか。伝説的な足跡を追いつつ、「アタック25」の現在地を紐解いていく。

『パネルクイズ アタック25』とは

現在の地上波テレビ番組は、バラエティ色の強い番組がほとんどを占める。スペシャルと題して単発で放送された番組がレギュラー化することもあれば、逆に誰もが知る有名番組が看板を下ろすことも。流行に合わせて、さまざまなジャンルのバラエティ番組が浮かんでは消えていく形だ。

しかし最近とんと見なくなったと感じるのが、視聴者参加型のバラエティ。場の盛り上がりを見てトークを回してくれる芸人というありがたい存在がいるなかで、わざわざ素人を募って番組を作るのはコスパが悪い。だが番組の撮れ高や盛り上がりを考えてしまう業界人ばかりの番組は、時に本気の素人同士がぶつかり合った時に生まれる“熱”に敵わない場合もある。

おふざけなしの白熱バトルが見どころの視聴者参加番組といえば、真っ先に浮かぶのが2021年に惜しまれながら終了したレジェンドクイズ番組『パネルクイズ アタック25』。一般に広く募った個性豊かな参加者が、豪華景品を賭けて早押しクイズで火花を散らす。

特徴は、番組タイトルにあるように各問題の正解者が25枚のパネルをめくっていく点。オセロの要素を持ち、他の参加者がめくったパネルを挟むことで自分のパネルにすることができる。最後に自分のパネルが最も多い参加者が賞品を賭けたラスト問題に挑めむ権利を獲得。クイズに正答するための知識だけでは勝てない頭脳戦が注目を集め、1975年4月6日の放送開始から46年もの間放送された。

同番組のユニークなシステムである「アタックチャンス」は、特にお笑いコンビ・博多華丸・大吉のモノマネによって知名度をさらに高めたといえるだろう。正解者はパネル獲得をしつつ、他参加者のパネルを無色に戻すことができる。残りパネルが5枚になった際、司会が力強く拳を握りながら「アタックチャンス!」と宣言する様子は特徴的。当時司会を務めていた児玉清の仕草をマネした華丸は、その再現度が話題に。

ただ華丸のモノマネが受けたのも、児玉のパワフルな「アタックチャンス」が広く浸透していたという前提が欠かせない。先に述べたように長寿な同番組だが、46年という歴史のうち36年は児玉が看板を背負い続けていたのだ。

「スタッフはみんな家族だ」児玉清という大看板の存在

NHK大河ドラマ『龍馬伝』、フジテレビ『HERO』などの名作に出演した名優・児玉清。しかし児玉は1975年から2011年の逝去まで司会を勤め続けた「アタック25」を、自らの“バックボーン”と語っていたという。

ある日の「アタック25」の収録では、参加者が番組が想定していなかった解答を述べた。正誤を確認するべくスタッフが走り回っていたところ、児玉が「僕が調べる」と知己の専門家に解答を確認したというエピソードがある。同番組は一般視聴者が賞品とプライドを賭けて出演している性質上、解答の正誤を判断する時も慎重を期さなければいけない。番組の都合を優先してくれる業界人・タレントとは違い、1枚のパネルを真剣に取り合っているからだ。出演者は番組だけでなく、一般の参加者に対しても真摯に向き合っていることがわかる。

「アタック25は自分の家で、スタッフはみんな家族だ」と想いを明かしていたという児玉。番組参加者や観覧に来た一般人にアメを渡して緊張を解していたなど、彼の人柄を伺わせるたとえ話は多い。

児玉という国民に愛される大看板を擁した同番組だったが、同氏が胃がんによって逝去した2011年以降は浦川泰幸アナウンサー、谷原章介へと司会を引き継いでいる。谷原は特に児玉へのリスペクトを口にする機会が多く、仕草や言葉1つひとつに敬意をにじませていた。

3代目司会が背負う看板の重さと新生・アタック25

児玉の没後4年間司会を務めた浦川アナウンサーに代わり、2015年に3代目司会となった谷原。司会のオファーを受ける際には、当時MCを務めていた『王様のブランチ』(TBS系)のMCを引き受ける際にも児玉のアドバイスがあったことを明かしている。

さまざまな縁のある児玉の番組を引き継ぐことになった谷原は、特徴的な「アタックチャンス」のモーションや正解を知らせる言葉の数々にもリスペクトを覗かせた。たとえば児玉のアタックチャンスは、右手を顔の前に掲げてグッと握りこむ仕草。谷原はこれを「同じ右手では児玉さんに失礼」「自分なりの形を作らなければ」と試行錯誤し、頭より高く掲げた左手を顔の前へ下ろして握るポーズになったという。

さらに児玉がクイズの正解者に告げる言葉も継承した谷原。児玉は参加者が正答した時も「正解」とは言わず、「その通り」「結構です!」と独特の返しをしていた。こうした伝統的な「アタック25」の雰囲気を守るべく、谷原も「正解」ではなく「その通り」といった児玉ワードを駆使している。

谷原が司会を務めること約6年、2021年秋に46年の歴史に幕を下ろした同番組。しかし2022年1月には無料のBS放送局「BSJapanext」にて、『パネルクイズ アタック25 Next』と改題して再スタートを切っている。

「アタック25 Next」は朝日放送テレビがタッグを組んで実現した夢の番組。最後の司会である谷原を司会に再起用したうえ、番組の時間を30分から1時間に延長したパワーアップバージョンだ。また公式アプリに出場応募・クイズの投稿・優勝者予想といった機能を持たせ、地上波放送時代よりも視聴者の参加要素を増やした。

正月には「パネル100枚」といった番組初の企画などにも挑戦しつつ、恒例のスペシャル企画「高校生大会」も開催している「アタック25 Next」。伝統と新しさをバランスよく取り入れつつ、「真剣勝負」という根幹だけは曲げずに突き進めている。

面白さの基準が“お笑い”に寄りがちな現代バラエティにおいて、貴重な真剣勝負の場である『パネルクイズ アタック25 Next』。46年の伝統を引き継ぐ“古き良き”テレビ番組としてではなく、より磨き上げられて進化した同番組の今後に期待したい。

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