劇団四季ミュージカル「バケモノの子」出演の田中彰孝と立崇なおと(左から)

ミュージカル「バケモノの子」出演の田中彰孝と立崇なおと、息ぴったりの要因は名前の呼び方にあり【連載:劇団四季ミュージカル 劇場から渋天街へ続く道#7】

2022.08.02 13:00
劇団四季ミュージカル「バケモノの子」出演の田中彰孝と立崇なおと(左から)

4月30日にJR東日本四季劇場[秋]で開幕した劇団四季ミュージカル「バケモノの子」。同作は2015年公開の細田守監督による同名アニメーション映画を原作にした新作オリジナルミュージカル。この世界に存在する人間界ともう一つの世界・“バケモノ界”の渋天街。そこに迷い込んでしまった蓮とバケモノである熊徹を中心に、色鮮やかなキャラクターたちの姿を描いていく。劇団四季はこの作品で国産ミュージカルとして最大級の長期上演に挑む。

WEBザテレビジョンでは「劇団四季ミュージカル 劇場から渋天街へ続く道」と題し、全7回に渡って俳優やスタッフのインタビュー、稽古場の様子などをお届け。ミュージカル「バケモノの子」がどのように生まれ、劇場で観客をバケモノの世界へどう誘っていくのか…作品の魅力を余すことなく紹介していく。

最終回の今回は、熊徹役の田中彰孝と蓮/九太役の立崇なおとの対談を。ミュージカル「バケモノの子」の初日が開けてからの感想やこれまでの共演エピソードを聞いた。

田中「オーディションに合格してから、映画は100回以上観ました」

――初日が開きました。公演がスタートした今の思いを聞かせてください

立崇:彰孝さんと僕が出演した日、2階の客席に学生の皆さんが団体でいらしたのですが、カーテンコールの時、男の子たちが大きく手を振ってくれているのが見えたんです。年齢や性別問わず、この作品のメッセージが、お客さまの心に届いているのなら本当にうれしく思います。

田中:自分の俳優人生において、これからどんな役に向き合っていくか―。ちょうど、そんなことを考えた時、熊徹という役に出会いました。オーディションに合格してから、映画は100回以上観ました。音声だけ聞いていたこともあります。僕には熊徹へのあこがれのようなものがあり、熊徹という大きな山に頑張って登ろうと、日々、稽古を重ねてきました。いろいろな人に助けてもらいながら、自分なりの熊徹を作ってきて、そして今も作り続けている、そんな思いでいます。

――お二人は、「ノートルダムの鐘」で共演していますが、しっかり組むのは今回が初めてですよね?

田中:共演もしたけど……、一瞬だったよね(笑)。

立崇:(同じ舞台に立ったのは)1週間くらいだったと思います(笑)。稽古も別の班でした。それでも彰孝さんは、僕の名前と顔を覚えてくださっていて。それに、今回、ご一緒することになり、彰孝さん、“なおと”と下の名前で呼んでくれたんです。僕は名字が特徴的なので、名字で呼ばれることが多く、劇団の俳優で下の名前で呼んでくれたのは、彰孝さんが初めてでした。すごくうれしかったです。

田中:え、そうだったんだ!

立崇:彰孝さんが呼んでくれたのを機に、(韓)盛治さんや安東(翼)さんも、“なおと”と呼んでくれるようになったんですよ(笑)。

田中:僕も、浅利(慶太)先生に、彰孝って呼ばれた時はやっぱりうれしかったんだよね。それと、アニメーションの中で熊徹が何度も「九太」と呼ぶのがとても印象的だったんです。だから、今回、現場に入ったら、“なおと”と、名前で呼ぼうと決めていました。距離感を縮めたいなという思いもあったしね。でも最初に呼んだ時は、変な空気にならないかなと、正直、ちょっとドキドキしました(笑)。

立崇:僕も、「お、なおとって呼んでくれた!」とドキドキしました(笑)。呼び方って、どこで変えるかがポイントだったりしますよね。そういえば、今回擬闘を付けてくださった栗原(直樹)さんも、ある日を境に、彰孝さんのこと、“あっきー”って呼ぶようになりましたよね。

田中:うん、あれはうれしかったな。

立崇:僕はずっと"立崇"と呼んでもらっていたので、ちょっと羨ましかったです(笑)。

立崇「彰孝さんの気遣いは、蓮を作り上げ、演じていく上でとても助けになりました」

――(笑)。稽古の過程ではどんなことが印象に残っていますか。

立崇:彰孝さんとは、楽しいことだけでなく、悲しいことも、悔しいことも、いろいろな感情を稽古場で一緒に体験して、とても濃密な時間を過ごせました。そして、これから、ますます濃密になっていくんだろうなと思っています(笑)。

田中:僕は、これまで有望な若手が出てくると、ライバル視してしまう傾向があって(笑)。なおとに対しても、はじめは少し構えてしまっていたんですよ。でも、今回、熊徹という役と出会い、ずっと握りしめていた手が緩んだように思うんです。少し肩の力が抜けると、相手役と、これまでと違った、コミュニケーションが取れると気づいたのは、新たな発見でした。これまで頑張りすぎていた部分を溶かしつつ、熊徹をより自分自身に浸透させていくのが今の課題だと考えています。

立崇:彰孝さんは、「映画のあの場面、すてきだったよね?」とか、「あの瞬間を大事にしたいよね」など、「俺はこう思うんだけど、なおとはどう思う?」といった感じで提案をしてくれます。そんな彰孝さんの気遣いは、蓮という役柄を作り上げ、演じていく上でとても助けになりました。

――長期の公演になりますが、これから先、どのようにそれぞれの役柄を深めていきたいですか。

田中:演出の青木(豪)さんが、「『バケモノの子』という作品とそれぞれの役を通して遊ぶつもりで、存分に楽しんでください」とおっしゃっていたので、それを少しずつ実践していきたいです。また、自分なりの熊徹の立ち位置を、しっかりと見極めたいとも思っています。

立崇:「バケモノの子」という演目、蓮という役柄、そして、彰孝さんをはじめ、日々、みなさんに、いろいろなことを気づかされる毎日です。「バケモノの子」って、夏に向かっていく、暑い時期にぴったりの作品だと感じています。ぜひ劇場に足を運んでいただければうれしいです。

取材・文=長谷川あや

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