くりぃむしちゅーの上田晋也(左)と有田哲平

くりぃむしちゅーが売れ続ける理由、「有田が面白いと思うことに口は出さない」上田&有田の信頼関係…番組Pが明かす舞台裏

2021.10.16 18:00
くりぃむしちゅーの上田晋也(左)と有田哲平

お笑いコンビ・くりぃむしちゅー(上田晋也、有田哲平)のバラエティ番組「くりぃむナンタラ」(毎週日曜夜9:55-10:25、テレビ朝日系)が、10月17日よりスタートする。同番組のゼネラルプロデューサーを務める小田隆一郎氏は、「くりぃむナントカ」や「シルシルミシルさんデー」、「くりぃむナンチャラ」など、数多くのくりぃむしちゅー出演番組を手掛けてきた。その小田氏は、長年タッグを組むくりぃむしちゅーについて「必要以上にスタッフとベタベタするようなコンビではなく、常に真剣に緊張感をもって向き合う関係」と評する。また、上田の「笑いへの熱量」、有田の「芸人愛」「脱線力」など、2人との印象的なエピソードを語ってくれた。

くりぃむしちゅーの印象は“強いコンビ”、有田の「脱線力」にも脱帽

――まずは、くりぃむしちゅーさんとの出会いと第一印象を教えてください。

くりぃむしちゅーのお2人とは、僕が駆け出しディレクターとして参加していた深夜番組「虎の門」で初めてお仕事をしました。「虎の門」では、上田さんが「うんちく王決定戦」で注目を浴び、有田さんもノーギャラ出演で活躍されていました。ただ、僕が担当していたのは別コーナーで、くりぃむさんとそこまで絡みがあったわけではありません。本格的に関わらせていただくようになったのは、お2人の初冠番組「くりぃむナントカ」からでした。当時からくりぃむさんは、それぞれピンでも面白く、2人合わさると唯一無二に面白い、「強いコンビだな…」というのが第一印象でした。

――「くりぃむナントカ」で思い出に残っている企画は何でしょうか。

1番は「芸能界ビンカン選手権」ですね。あれは「ふざけた間違い探し」のような企画で、箱根、京都、韓国など、本当に色んなところでやりました。有田さんと大木(優紀)アナが司会を務めた企画だったのですが、上田さんが他のゲストと一緒に解答者として楽しんでくれて、「好きな企画」としてよく挙げてくださってましたね。僕らスタッフとしても、いかに演者さんを楽しませ、驚かせるかということがモチベーションになっていました。

「ビンカン」の中身や点数配分は、直前にいつも有田さんに見せて意見をもらっていたんですよ。その結果、急にパッと変わることもしょっちゅうで。有田さんは笑いに貪欲な方なので、有田さんのアンテナでキャッチした、僕らには見えないような「こうしたら面白い」っていう気づきをいろいろと提案してくださいましたね。

――「くりぃむナントカ」の後に小田さんが手がけた「シルシルミシルさんデー」では、有田さんが聖人、上田さんが悪党というキャラ付けが印象的でした。

「シルシルミシル」は、「くりぃむナントカ」の終盤にも関わってくれた藤本(達也)ディレクターがとても優秀で、彼が面白がってその図式を広げてくれたんです。普通なら、有田さんが意地悪キャラで上田さんが真面目なキャラの方が自然なんですけど、それを逆の構図にした“悪党上田”イラストで遊ぶようになったんです。そしたら、上田さんがVTRのワイプでツッコんでくれるし、面白く転がっていってくれました。

――「くりぃむナントカ」から「にゅーくりぃむ」までの「くりぃむシリーズ」で、小田さんは約17年にわたってくりぃむさんとさまざまな番組を作ってこられました。その中で特にお気に入りの企画を聞かせてください。

「くりぃむナンチャラ」の「幽霊で行こう」ですかね。もともと、ロバートの秋山(竜次)さんとラバーガールの大水(洋介)さんをゲストに招き、幽霊の格好になって、商店街でウソの心霊写真を撮影するという企画でした。でも、有田さんが脱線させちゃって(笑)。途中で大水さんが「芸人として色々悩んでいる」という話になり、秋山さんだけに写真を撮りに行かせて、上田さんと有田さんがお酒を飲みながらガチで大水さんの人生相談を聞くことになったんです。幽霊の格好したおじさん3人が、お酒を飲みながら真剣に人生相談してる様がとにかく面白かったですね。きっと有田さんも「そっちのほうがいい」と判断したから、真面目に企画をやらずに逸脱したわけですが、改めて有田さんの“脱線力”の高さを見せつけられましたね。

売れてなお“芸人として活躍できる場”を求める上田「70歳までバカなことしたい」

――長年タッグを組むくりぃむさんと、小田さん含めた「くりぃむシリーズ」のスタッフさんはどんな関係性なのでしょうか。

くりぃむさんは必要以上にスタッフとベタベタするようなコンビではなく、企画の詰めが甘い時などはお2人からご指摘の言葉をいただくこともあります。だから我々としては、「ダメならそれでしょうがない」ということにはできない。いい意味で慣れ合いではなく、常に真剣に緊張感をもって向き合う関係だと思います。

一方で厳しいだけじゃなく、アツい部分もあるんです。何年か前、ずっと深夜帯で「くりぃむシリーズ」をやってきた中、久々に23時台でスペシャルを放送する機会がありました。その時に上田さんから「最近は自分のことを芸人じゃなくて、司会者だと思っている人も多いと感じる…。だからこそ、俺たちがちゃんとお笑い芸人として活躍できる番組にして欲しい」と言われました。すごく響きましたね…。上田さんと有田さんの「面白いことをやりたい」という気持ちを叶える番組を作り続けたいと改めて思いました。

――上田さんがそんなに熱い方だったとは意外です。

上田さんは他にも「70歳になるまでずっとバカなことができるこの番組を続けたい」と言ってくださったこともあって、リップサービスかも知れませんが、スタッフとしては非常にうれしかったですね。

「司会者より芸人」上田の“笑いへのアツさ”と、「若手をスベらせない」有田の“芸人愛”

――番組に対する思い入れが強いんですね。

上田さんは日本を代表する司会者になられた今もなお、「自分たちは芸人なんだ」という意識でやってくださるところがすごくありがたいです。僕らも上田さんが司会者然としていると、何となく無茶なことをお願いしにくいわけですよ。

「くりぃむナンチャラ」で「ミニスカート陸上」という企画をやった時もそうでした。あの番組では、企画の詳細を前もってくりぃむさんに伝えることがあまりなく、当日に説明する場合がほとんどでして。もしかしたら難色を示されるんじゃないかと考え、本番前にスタッフみんなで上田さんのところへ行き、「ミニスカートをなんとか履いていただけないか」とお願いしようとしていました。でも、そんな話を僕らが楽屋のそばでしていたら、既にミニスカートに着替え終えた上田さんが普通に横切ってトイレに行かれたんです(笑)。無駄な心配でした…。ちなみに上田家では、お子さんと一緒に「ミニスカート陸上」を見てくださっているそうです。

――一方で、有田さんとの印象的なエピソードはありますか。

かつて「くりぃむナントカ」時代は、くりぃむのお2人がおぎやはぎさんや次長課長さんに、ストロングスタイルのムチャぶりを仕掛けることが何度もありました。「くりぃむナンチャラ」になってからも同様の企画をやっていたのですが、ある時、有田さんから「昔は次長課長、おぎやはぎと年齢的に近かったから同世代で悪ふざけをする感じでムチャぶりが出来たけど、俺たちももうベテランになっている。キャリアに差のある若手を追い込むのは、いじめみたいで良くないんじゃないか」「俺としては、芸人さんたちが出演した後に『楽しかったです、また呼んでください』と言ってもらえる番組にしたい。スベって落ち込んで帰っていく番組にはしたくない」と言われたことがあります。

――有田さんの根底には「芸人愛」があるんですね。

あと、最近の有田さんは “作り手目線”が進化している気がします。特に「脱力タイムズ」をやられるようになったあたりから、有田さんの指摘がよりテレビマンのように編集まで意識したものになっていて、作り手目線がさらに先鋭化したように感じますね。

「有田が面白いと思うなら口は出さない」くりぃむしちゅーの信頼関係

――くりぃむしちゅーは今年でコンビ結成30年、改名から20年となります。小田さんから見て、くりぃむしちゅーが長く第一線にいる、売れ続けている理由は何だと思いますか。

僭越ながら言わせていただきますと、コンビとしてのバランスの良さもそうですが、やはり、お2人ともそれぞれ自己完結した面白さや技術があるからじゃないでしょうか。上田さんはたとえ有田さんがいなくても、さまざまな番組でMCとして、ひな壇のタレントさんたちをイジって縦横無尽に“司会”されます。ずば抜けた頭の良さと場を活かす能力をお持ちだと思います。

一方の有田さんは、いつでも面白いことを言うじゃないですか。この前の「おしゃれイズム」の最終回でもずっと面白いことを言い続けて、すごいなと思いましたし、「世界一受けたい授業」のような情報番組でも絶対にブレずにボケ続ける。お笑い芸人としての仕事に徹底したあのスタイルは本当にすごいと感じます。

――お2人が20年近く第一線で活躍し続けている背景には、きっとお互いの信頼関係もあるんでしょうね。

だと思います。「くりぃむシリーズ」に関して上田さんは、笑いのコアな部分を有田さんに託していて、「有田が面白いと思うなら口は出さない」というスタンスだと感じます。それにくりぃむさんって、コロナ禍になってから楽屋を別々にするようになったんですけど、以前はずっと楽屋が一緒だったんです。お笑いコンビの中には、普段は相方とそんなに多く言葉を交わさない方々もいるようですが、くりぃむさんは本当に仲が良い。打ち合わせなどで楽屋へ行くと、よく2人の雑談と笑い声が聞こえてくるんですよ。お互いに良い空気感というか、信頼関係を築いているように感じます。

――そして10月からは、「くりぃむシリーズ」の最新作となる「くりぃむナンタラ」がスタートします。上田さん司会の「おしゃれイズム」が放送されていた時間帯に放送されることも話題となりました。

挑戦的な意図はまったくありません(笑)。単に、新しい番組をスタートさせるタイミングでオンエアできる枠がこの時間しかなくて、それがたまたま「おしゃれイズム」が放送されていた時間帯だった…というだけです。悪気は何もないんです(笑)。

――「くりぃむナンタラ」は、どういった番組にしていきたいでしょうか。

これまでの「くりぃむシリーズ」と同様に、「くりぃむナンタラ」も、くりぃむさんがプレイヤーとして面白いことをやる番組にしていきたいです。企画によっては若手芸人さんが何かにチャレンジしてくりぃむさんがジャッジするということもありますが、やはりくりぃむさん自身が汗をかくのが理想の姿だなと。上田さんが「俺たちがちゃんと芸人として活躍できる番組にして欲しい」とおっしゃっていた真意もそういうことでしょうし。くりぃむのお2人が、企画に飛び込んで自らプレイヤーとなって面白い現象を起こす。そんな場を作ることが我々の仕事だと思っています。

文=こじへい

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