大島優子がAKB48に遺した“変顔”というメッセージ「20周年紅白」で受け継がれたもの
昨年12月、結成20周年を迎えたAKB48は『NHK紅白歌合戦』などに出場し、大きなインパクトを残した。その立役者の一人は、大島優子だ。同グループを旅立ち10年以上が経った彼女だが、愛をもって大事なことを古巣に伝えた。それはいったい何だったのか。およそ1か月経過した今、検証する。
あれから約1か月が経った。昨年の大晦日、『NHK紅白歌合戦』にAKB48が6年ぶりに復活したのだ。そればかりか、19時20分から23時45分の放送時間で3位となる瞬間視聴率31.6%を記録した。関東地区の「注目度」は34.6%と2位タイをマーク。前田敦子、高橋みなみ、指原莉乃らOG8名が現役メンバーとともに出演したことは大きな関心を集めたようだ。
AKB48は『フライングゲット』、『ヘビーローテーション』などの『20周年スーパーヒットメドレー』を歌った。『恋するフォーチュンクッキー』の歌唱中、大島優子らが“変顔”をした場面は特に強い印象を与えた。優子と同じフレームに収まったのは小栗有以、八木愛月らの現役メンバー。彼女たちはこの1か月間で出演したラジオ番組や雑誌のインタビューなどで、「大島優子さんの提案で変顔をした」と明かしている。
現役時代から大島優子は歌番組に出演する際、通常の振り付けに何かを足したがる傾向があった。せっかくテレビに映るなら何かやろう。これが彼女の基本的な考え方である。自らを「変幻自在のエンターテイナー」と名乗ってきただけのことはある。“普通”で終わらせたくないのだ。『MUSIC STATION SUPER LIVE 2025』でも八木とマイクの奪い合いをする演出があったが、それも希代のエンターテイナーの発案だったという。
優子は『紅白』の本番前、インスタライブを行っている。現役の全メンバーと面談のような形でトークをする内容だった。そこで優子は現役のエース格・小栗に「殻を破ってない」と指摘した。優子からすると、小栗は優等生に見えるのだろう。本人に聞いてみないと真相はわからないが、小栗には自由度が足りないと映っているのかもしれない。
また、優子はそのインスタライブで、「(現役メンバーの)メイクが同じように見える」とも指摘した。「もっと自由でいいんじゃない?」と言いたかったようだ。
このあたりから優子のプロ意識が垣間見えてくる。ステージに立つ者は目立ってナンボ。誰かと同じでは面白くない。そんな考えで芸能活動を続けているのだ。
大島優子は子役として活動をスタートさせた。小学校低学年だった。CMにもドラマにも映画にも出演した。子役としてのキャリアを終えると、THE ALFEEの高見沢俊彦が楽曲をプロデュースするグループに加入した。しかし、陽の目を見なかった。これが最後という覚悟で受けたのがAKB48の2期生オーディションだった。
AKB48でデビューしたまではよかったが、まだ人気に火がついていなかった。その頃の優子は優等生キャラだった。
優子は当時の舞台監督に相談した。
「私、大人しくて、優等生のイメージがついてるけど、本当はそんな子じゃないんです」
優子の本性を見抜いていた舞台監督は、「だったら変えればいい。このままだと先々苦労するぞ」とアドバイスした。優子は「わかりました」と答えて、次の公演に臨んだ。
その公演で優子はいきなり“変顔”をかました。急に弾けたのだ。それは、自らが殻を破った瞬間だった。しばらくして優子は舞台監督に、「ありがとうございました。あれで楽になりました」と感謝の気持ちを述べている。
それ以来、彼女はどのステージに立っていても輝けるようになった。現役時代も、卒業後もその輝きは消えていない。
自分で自分の殻を作っていた優子。AKB48が最後の芸能活動と決めていたから、もう失敗できないと慎重になっていたのだろう。だが、このままでは本当の自分とのギャップに苦しむことになる。そのことが自分でもわかっていたのではないか。何とかしたいが、その勇気が出ない。そんな時に舞台監督が背中を押してくれた。
あれから20年弱。優子は後輩たちに20年前の自分を見たのだろう。それは殻を破れない自分だ。後輩たちの気持ちは痛いほどわかる。しかし、それでは自分が楽しめないし、何より観客や視聴者を楽しませることはできない。
そこで後輩に伝授したのが、“変顔”だ。あの時、自分を変えてくれたものだ。優子はキャパ250人の劇場で披露したが、後輩たちは視聴率30%以上の国民的番組で“変顔”を見せた。さぞかし勇気が必要だったことだろう。
たかが“変顔”。されど、後輩たちの心に火をつけるのに十分だった。現役メンバーは優子をはじめとするOGたちの指摘を受けて、変わりつつある。年が明けてから、AKB48を何人か取材したが、どのメンバーも燃えていた。現役メンバーの頭に「こんな時、優子さんならどうするか」という回路が足された。AKB48はこのままの勢いで4月に開催される国立代々木競技場第一体育館3DAYSコンサートへと向かっていく。
こうしてバトンはたしかに受け継がれた。昨年12月の出来事は後輩たちにとってかけがえのない財産となった。
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