『小さい頃は、神様がいて』小瀧望“順”に一人っ子が共感爆発「親の離婚を止めるためのいい子」
放送中のドラマ『小さい頃は、神様がいて』(フジテレビ系)で、小瀧望が演じる小倉順というキャラクターに、“一人っ子”の視聴者を中心に強い共感が生まれている。表向きは両親思いの“いい子”として育った順だが、実は幼い頃から母の離婚願望に気づき、家族をつなぎとめるためだけに“いい子”を続けていたという事実が描かれる。親の顔色を見て過ごしてきたという一人っ子たちからは、「順の気持ちが痛いほどわかる」との声が次々と寄せられた。なぜ彼らは順に自分を重ねるのか――。ドラマコラムニストの小林久乃氏が分析する。
◆実はいい子を頑張っていた順
放送中の『小さい頃は、神様がいて』(フジテレビ系)に登場する小倉順(小瀧望)に、実在の一人っ子から共感の声が聞こえてきた。その理由はこうだ。
本作の主人公は『たそがれステイツ』の住人で会社員の小倉渉(北村有起哉)。妻のあん(仲間由紀恵)、独立した消防隊員の順、大学生のゆず(近藤華)ら家族4人で仲睦まじく暮らしていた……と思っていたのは、渉だけだった。あんは二人の子どもの子育て中、ノイローゼ気味になっていた。そのとき「子どもが20歳になったら離婚する」と宣言、その場限りだと安易に承諾をする渉。その約束はあんの心にずっと生きており、ゆずの成人を目前に控えた今「ずっとそのつもりで生きてきたんだけど」と、離婚実行を申し出る。
この熟年離婚が物語の主軸だと思っていたけれど、見る人物の考えや生活環境によって視点は変わる。私のひとりめの幼なじみ(40代後半、一人っ子、独身)が見ていたのは、“とてもいい子”でいようと努力していた息子の一角だった。イケメンなうえに、安全ではないけれど経済的安定した職業の消防士(=公務員!)。両親へのLINEもおざなりにはせず、常に誠意ある返信をしてくる。おまけに性格は優しくて穏やかなのだから、いみじくも自慢の息子。ただそれは両親のちょっとした勘違いだったらしい。
実は順、母の離婚決意に幼少期から気づいていた。でも両親には離婚してほしくないのが、子ども心。順は母に別れをとどまってほしい、両親が離婚時期を早まらないでほしい一心で“いい子”を演じていた。結果的にずっと両親の顔色を伺っていたからこそ、いい子だったのだ。
「(順を)いい子に育てたねえ」
『たそがれステイツ』の住人仲間である永島さとこ(阿川佐和子)から称賛を受けたのも、あんたちにとってはむなしくなってしまう。息子は根っからのいい子なんかではなかった。自分のせいでずっと息子に負担を強いていたと知ったあんは泣き崩れる。その涙の向こうに「順が実はもっとやりたい放題に生きたかったんじゃないか」「息子の大事な時間を私のせいで奪ってしまった」など、母としての葛藤が見え隠れしていた。仲間さん、さすがの演技。
◆一人っ子に広がる“順共感”
この順の姿は一人っ子に通ずるらしい。
「私は一人っ子だったからね。ずっと両親の顔色ばかり見て育ってきたんだよね。3人家族のバランスをずっと図っていたと思う。ふたりがケンカしたらどうやって仲直りさせようとか、子どもらしくない考えがずっと渦巻いていたんだよ。きょうだいがいないと誰にも相談できないし、ひとりで悶々とするばかり。中学生くらいまで考え込んでいたかなあ。順とあんを見ていたら、そんな自分を思い出して泣けたよ……」
こう話すのは先述の幼なじみ。昭和50年代生まれには珍しかった一人っ子が、こんなモヤモヤを抱えていたとは知らなかった。私は二人姉妹だけれど、すべてが二等分される生活を送っていたので、両親からの愛を一心に受けて何でも買ってもらっている彼女がうらやましかった記憶がある。彼女は昨年、病気で父親を亡くしているにもかかわらず、こんな思い出だけが脳内に沁み込んでいるらしい。
「僕もずっと一人っ子だったから、あの小瀧くんの様子(順役の演技)を見て、ちょっと来るものがあった。身近な同年代のお手本もいないから、悪い子のなりかたがわからなくて、いい子でいるしか選択肢がなかったかも。今は将来的なふたりの介護が不安だけど」
仕事仲間の30代の出版社勤務の男性も同じような気持ちになったらしい。さらに“順共感(じゅんきょうかん)”は続き、20歳のひとりっ子を育てた50代の女性の飲み友達も、順とあんに思いを寄せていた。
「うちの息子も勝手に手がかからないと思っていたけれど、小さな頃に爆発したことがあって。『お母さんはいつもいつも仕事と病院ばっかり!』と、突然号泣したのよ。仕事を理由にすれば彼は当たり前のように、息子は我慢できると思っていたけど、そうじゃなかった。そのとき仕事と同時に、妊娠できなかったけど二人目の不妊治療でしょっちゅう婦人科に行っていたんだねえ。『お兄ちゃんになるためだよ』とも言っていたけど、もっと自分を見て欲しかったんだろうと反省した。私があんなら……離婚は踏みとどまるな」
他にもそんな“順共感”をちらほらと聞いた。ドラマが好きで毎週当たり前のように見ているけれど、見る人によって捉えかたは全く違う。さまざまな人の人生=ドラマを汲むのだから、まさにドラマなのだと思った。そして本作の脚本家・岡田惠和が紡ぐ物語の深さに改めて敬服する。
第8話は小倉家が離婚に向けて実動していく。ラストは小倉夫妻が離婚したとしても、どうか幸せな結末であってほしい。
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