吹かせたい風ランキング一位：先輩風／連載：小林私「私事ですが、」

2025.03.15 20:00

提供：WEBザテレビジョン

美大在学中から音楽活動をスタートしたシンガーソングライター・小林私が、彼自身の日常やアート・本のことから短編小説など、さまざまな「私事」をつづる連載企画。今回は、先輩と後輩の関係について綴ったエッセイです。

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3月10日渋谷TOKIO TOKYOにてMassclubとのツーマンを終えた。

去年はすんごい疲れたので年末辺りからライブ本数をめっきり減らしてみたが、少ないと少ないで寂しい。多さに文句を言うくらいでちょうどいいのかもしれない。いや、少なくていいんだが…。

と、葛藤するくらいには楽しかった。というかここ数年は本当に出たいライブにしか出ていないのでどれもこれも楽しい。ポケモンユナイトくらいには。

楽しいという感情は一律してその種類というのは相対する人によって本当に様々だ。今回のMassclubは、後輩のようでまあ後輩なんだけど後輩すぎはしないくらいの割には先輩扱いしてくれるという、こう絶妙なバンドなのだ。

俺はカッチリした上下関係の経験は薄いものの、部活やバイトをしていた頃は先輩にはそこそこ可愛がられるし後輩にもそこそこ好かれる最高の男だったわけで、それというのは俺はなりきりチャットかユナイトかLoLか、どれのせいかは分からないが役割（ロール）に身を任せることが割と好きだからだろう。いやすんません、人間性がとっても素晴らしいからというのもありますが（笑）←俺いつまでこういうこと言っていくんですか？

端的に言えば俺は後輩から尊敬されてチヤホヤされるのだ～いすきということだ。そんな実力も伴ってないのに…とか俺みたいなもんに申し訳ない…とか、思わなくもないが、そんなの考え始めたら死ぬまでそうだろうとも思うので甘んじてチヤホヤを享受している。リスナーとかは全然嫌。知らん人だから。知らん人苦手なんすよ俺。あと向こうも有名だともっと気持ちが良い。おいら有名な人とか実力のある人にいっそうチヤホヤされたいっすよ！気分が良いからね。

実家を抜け出せてから俺の人生はあれ以下ってことはないので、毎日ご機嫌極まりない。ちょっと体調悪くてマイナス18とかはあるにしろ、夢も楽しい夢ばっかり見るから寝てる間を含めても基本ゼロからプラスの間をさまよっている。

そこにチヤホヤが加わってみなさい。そら気持ちが良いですね。

あんまり褒められてこなかったし、褒められるようなことも大してしていないので喜びもひとしお。

脱線してしまったが、Massclubはチヤホヤしてくれるね～。ふわカニ（ふわふわのカニ（熊谷夏月））という、「小林さん好きだけど俺みたいのが誘えないっすよ！泣」と言いながらいざ誘ってくれたら2～4時間遅刻してくる最高の後輩がいるのだが、場合によってはそのふわカニよりチヤホヤしてくれる。

トキトキが組んでくれた対談では俺がなんか言うたびに「おお...（言葉に深みがあるなあ）」といった嘆息をついてくれていた。逆にバカにされてると思う。リモートでバカにされ出したら本当に終わり。

Massclubが東京遠征のなかで時間を作ってくれてスタジオ練習をしたときも「おいおいホンモンだよ」「流石にオーラが違うぜ」「やっぱ街中で話しかけられるんですか？」といった空気の中でリハをしてくれたし。やっぱりちょっとバカにされてないか？いいけど。遊んでくれるし。

遊んでくれるなら全然いいよな。最悪遊んでくれなくてもいいし。俺、言及されるの好きすぎてもうどっかで俺の悪口がたまに出ますとかでも教えてほしい。悪口嫌だな～がないわけではないが、話題に…あげてくれたんすか!?が流石に勝つから。

誰それが売れすぎて遊んでくれなくなる的な事象を考えると友達が売れてくのって良くないのか…？でもその場合は「俺、けっこー前から注目してて、ま、飯とか？食ったこともあんだけどサ…」って言えるんですか？じゃあ、win-winか…。大石さんのラジオ出たとき「連絡先交換しよう、今度ご飯でも」って言ってくれたことが嬉しすぎて（俺は大石昌良のラインを持っている...）ということだけをしがみ続けてまだばりばり味あるもんな。

俺、一回友達だと思った人と10年単位で疎遠でも、あのときのまま友達だと思ってるからさ。6、7年連絡とってなかった中学の友達に急に「明日遊ぼうぜ～！」って電話したこともあるし。仕事だったけど。土夜に聞いたのに。

そんな小さい人間が吹かせたい風ランキング一位、先輩風。